今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?
今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?
あなたにとって「働く」とはどういうことだろうか。何のために働き、そして働くことそのものをどう感じているのか。
働くことに不満を抱いている人は多い。「仕事が楽しい」「毎日が充実している」――そう心から言える人がどれくらいいるだろうか。
私は2つの会社の会社員を経て、独立した。会社を離れて初めて感じたのが「なぜこんなにも、苦しんで働いているのだろうか」ということである。飲み屋に行くと、後ろの席から会社への不満が漏れ聞こえてくる。街中を歩いていても、道行く会社員の表情に覇気が感じられない。みんなが「苦しそう」なのだ。
不況下で企業もまた悲鳴をあげている。業績回復に躍起になるものの、なかなか抜け出せない状況。そのため従業員の給与は伸び悩み、残業時間も増えている。サービス残業が常態化している会社もあるだろう。経営難によるリストラももはや珍しくない。
会社がいくら平然を装っていても、小さなことから社員は変化に気付くものだ。例えば私も、会社員として働いていた際にこんなことがあった。
名目上は「業務効率化」「環境への取組み」「既存社員への教育重視」などを謳っていたが、その背景は見て取れる。もちろん全ての企業がそうではないが、その理由は「コスト削減」。当然社員は気付くし、そして不審や不安を抱くのだ。
よく知り合いから転職の相談を受ける。その理由のほとんどが、以下のようなマイナス思考だ。
こうしたマイナス思考が次々と生まれて「仕事=苦しいもの」という方程式が頭の中をぐるぐると回り出す。仕事に対する意欲は減り、もちろん何のために働くのかなど考える余地はない。ただ毎日、仕方ないから仕事をするのだ。
もちろん、全ての人がそういうわけではない。仕事を生き甲斐とさえ感じている人はいるし、もしかしたら同じ職場の同僚だって「仕事が楽しい」と思っているかもしれない。それならば、あなたにだって今のマイナス思考から抜け出す手立てがあるはずである。
私が本当に仕事を楽しめるようになったのは、独立してすぐではない。当初はとにかく大変で、何度も会社員に戻ることを考えた。しかしちょうど1年半ほど前のこと。Twitterで面白いツイートを発見した。複数の仲間でやり取りをしているようで、タイムラインを追っているとあり得ない内容を目の当たりにしたのだ。
ある1人の男性が、「上海に行くことにしたけど、誰か行く?」とTwitter上で呼び掛けた。するとすぐ他に3人が集まり、週末旅行へと出掛けてしまったのである。彼らの中には、もちろん会社員もいた。しかしこうも簡単に4人もの社会人が上海へ行くことになり、驚きを隠せなかった。
後日、Twitterを通じて彼らを会う機会を得た。そのことをキッカケにして、今はとても刺激的で楽しい仲間との出会いに恵まれている。働き方など関係なく、誰もが目標や夢を持って全力で取り組んでいること。そしていつでも、楽しそうであること。これが、彼らに共通することだ。
そんな中で私は、自分がどれだけ小さな枠の中で生きていたのかに気付いた。世の中はこんなにも楽しくて、仕事だってそんな楽しみの1つなのだ。それからというもの、私は毎日が楽しくて仕方がない。そう、私もマイナス思考から抜け出して、仕事を楽しめるようになった人の1人なのだ。
先の質問に戻るが、あなたにとって「働く」とはどういうことだろうか。
いろいろな回答があって当然だし、誰もが納得できるような正解はないだろう。ではそのために、何が必要なのか。どうすれば、自分の描く「働き方」に近づけるのか。
思いっきり足掻けば、もしかしたら会社が変わってくれるかもしれない。しかし周囲を変えるということは、考えている以上に大変である。まして会社という「組織」を変えることは、なかなか一筋縄ではいかない。
では、自分を変えるならどうだろうか。何も性格を変えろとか、今抱いている不満を忘れろというのではない。「働くこと」そのものに対する考え方を変えてみたらどうかと思うのである。
例えば満員電車に乗るのも、ただ職場に行くために仕方なく乗っていると思えば辛いだけだ。しかし通勤があるから早起きするキッカケとなり、移動時間という「誰にも邪魔されない時間」を自由に使えると考えたら、どうだろうか。
もちろん、それだけで全てが解決されるわけではないだろう。しかし今より少し気持ちを軽くして、仕事への苦しみから解放されることはできる。
ノマドやフリーランスといった働き方が増えているが、何も会社そのものから離れる必要はない。彼らは一見すると自由に見えるかもしれないが、以前の私のようにさまざまな苦悩を抱えている人は多いのだ。
とはいえ収入がなければ生活ができないわけだから、仕事を辞めることはできない。それならば、仕事を楽しいと感じられるようになれば良いのではないか。この連載では、そのためのヒントをお届けしたい。
仕事というものは、よく考えればかなりの時間を費やしている。週5日、1日8時間ほどに加えて、残業と休日出勤。そのため「時間がない」という人が多いが、本当にそうだろうか。
私はこの「時間」に、大きなポイントがあると見ている。なぜなら周囲を見渡してみても、仕事を楽しんでいる人は「仕事以外の時間」も充実させているからだ。私自身も以前と比べると、この「時間」の使い方は大きく変わっている。
ワークライフバランスとは良く言われるが、つまり時間の使い方にこそ働くことの苦しみから逃れる術が潜んでいるのではないだろうか。そこで次回は、この「時間」について少し追求してみよう。
1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。
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