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旭化成・小堀秀毅社長に聞く「DXを成長戦略に据える理由」 社内外にコネクトして新規分野を開拓旭化成・小堀秀毅社長を直撃【前編】(3/3 ページ)

» 2021年12月21日 10時18分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]
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EV向けリチウムイオン電池用セパレータが好調

――マテリアル、住宅、ヘルスケアの3本柱で事業を展開していますが、それぞれの分野で今後期待していることは何でしょうか。モビリティ分野ではEV向けのリチウムイオン電池用セパレータが好調のようで、23年度は19億平方メートル、中期計画では30億平方メートルにまで増やす計画ですが、今後も伸びが期待できますか。

 セパレータはリチウムイオン電池用、鉛蓄電池用の両方を持っています。セパレータは車の用途だけと見られがちですが、リチウムイオンの用途としては電池だけでなく、ESS(エナジー・ストレージ・システム)の用途があります。ESSは太陽光発電など再生可能エネルギーを蓄電しておくシステムです。このマーケットは成長が見込めるとみています。

 23年度の19億平方メートルはほぼ視野に入っていますが、30億平方メートルは市場の動向を見ながら進めていきたいと考えています。競争優位性を常に維持し、リーディングカンパニーとしてこれを伸ばしていきたいと思います。

リチウムイオン電池用セパレータ「ハイポア」

――ヘルスケア分野では着用型自動除細動器「LifeVest」が好調のようですが、今後の可能性をどうみていますか。

 「LifeVest」(ライフベスト)は心臓突然死のリスクのある人が使用する着用型自動除細動器です。着用中は心臓の動きをモニタリングし、異常があれば電気ショックを与えます。米国の保険償還システムの中に組み込まれ、米国を中心に販売している特徴があり市場をリードするビジネスで非常に好調です。

 ヘルスケアマーケットは景気の好不況に影響されにくいので、強くてユニークなビジネスをしっかり確立できれば着実に伸びていきます。常に病気、疾患がある人々に役立ちたいという共通の思いと価値観が従業員の一体感を生み出し、ベクトルを合わせて活動できる点が特長です。

12月22日に後編をお届けします。お見逃しなく!

着用型自動除細動器「ライフベスト」
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