――主要なユーザーと鋼材の値上げ交渉をしていますが、どのようなスタンスで臨まれているのでしょうか。
鉄鉱石の価格は2000年まではほとんど横ばいでした。その後、中国が大量に鉄鋼を生産するようになり鉄鉱石価格や原料炭価格が急騰しました。鉄鋼メーカーとしてはこのコストアップ分を製品に転嫁せざるを得なくなりました。
従来の主原料反映スキームでは、原料価格の変動が後から交渉に反映されるので、どうしても収益に影響が出ています。ですから原料価格の変動をもっと早く鉄鋼製品の価格に反映させてほしいと思います。また高機能製品はエキストラ(追加料金)をもらっていますが、これも十分ではないという意識があります。
これまでは「ほかで儲(もう)かっているからいいではないか」といった丼勘定の部分もあったと思いますが、これからはカーボンニュートラルによって鉄鋼メーカーは膨大な投資が必要になります。日本の自動車メーカーにとって、素材サプライヤーとしての日本の鉄鋼メーカーは欠かせないと思うので、それなりのコストを見てほしいと思います。
国際比較でも日本の鉄鋼製品価格は決して高くはなく、むしろ安くなっている面があります。
カーボンニュートラルで当社は国から援助していただいていますが、この大きな負担は社会全体で負担すべきでないでしょうか。鋼材の値上げは車の価格に反映し、最終的には利用者に影響します。全体で負担する構図になると思います。
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