「時短社会」「働き方改革」……。働く時間はどんどん短くなるなかで、時間に追われながら、毎日をがむしゃらに生きる。しかし成果主義のこれからの社会では、その努力は報われそうにない。そんな生きづらい社会のなかで、「遅刻はするけど、きちんと成果を出す」のがひろゆきこと西村博之氏だ。
ゼロからイチを生み出す独自のアイデアで“2ちゃんねる”“ニコニコ動画”を創出し、日本のインターネットメディアをけん引してきた。彼が考える仕事において「本当に頑張るべきこと」とは何なのか。
なまけるのが苦手で、頑張りすぎてしまうビジネスパーソンは、いったい何を意識して働けばいいのか。「成果社会で生き抜くための時間の使い方」を伝えた『なまけもの時間術 管理社会を生き抜く無敵のセオリー23』(学研プラス)の中から、ひろゆき流の「なまけもの経営術」をお届けする。
僕が思う「頭を使う」というのは、「どれくらい集中力を切らさないでやるか」ということです。
例えば学校の試験など、時間がすごく限られた中で、1秒もムダにせずひたすら問題を解き続けるみたいなのは、頭を使っているという感じがします。
あるいはアクションゲームとかでも、0コンマ何秒単位で操作しないといけません。ほんの一瞬でもボタンを押すのが遅れるとゲームが終わってしまう、というのを30分とか続けるわけです。ゲームをやっている人にしか分からない感覚かもしれませんが、これも頭を使っている感じがします。
でも、仕事において、それほどの集中が求められる状況は、あまり思い浮かびません。
どうでしょうか。仕事で1秒もムダにできないとか、一瞬も遅れてはいけないとか、そんな状態が続く事態に陥ることなんて、ほとんどありませんよね。
「この資料を今日中に仕上げなきゃいけない」とか「この商品を午後3時までに納品しなきゃいけない」みたいなことはあるかもしれませんが、かといって会社帰りに、「はー、今日は1秒もムダにせずに仕事した!」なんて、誰も思わないはずです。
そう考えると、ある意味仕事ってけっこうぬるいですよね。究極のことを言えば、仕事は頭を使わなくてもできるものだし、頭を使ってするべきものでもない、という気がするのです。
例えば営業職などでも、頭を使ったかどうかで結果が大きく変わる場面って、それほど多く出会わないんじゃないかと思います。
「うちには、こういう商品があります。あなたにとって、こんなメリットがあります」という情報を伝えて買ってもらうのが、一般的な営業の仕事です。
相手のニーズをうまく聞き出すコミュニケーション能力や、多少話を盛って商品をよさげに見せるといったプレゼンテーション力で結果が変わることは、当然あるでしょう。でも、それって、売れる営業マンは「いつものテクニックを使っている」に過ぎなくて、「頭を使う」っていうのとは違う気がします。
プログラミングなんかもそうです。
画面上に何かを表示させるために、必要な指示を並べていくのがプログラミングですが、それは「やるべき作業をこなしている」だけであって、別に「頭を使っている」わけではありません。
「あるべきものを、あるべき場所に並べていく」という意味では、プログラミングは、掃除や片付けに近いですね。
あるいはデータ分析も、同じです。
データを作るときの計算だって、頭を使って暗算するより、計算機を使ったり、エクセルの表計算機能を使ったりしたほうがラクで正確ですよね。そして、「数字を入力する」こと自体に頭は使いません。
で、計算機やエクセルではじき出された答えでもって人に説明したり、提案したりする。それも相手を納得させるというゴールに向かって、「情報を順番に提示している」だけで、たぶん誰がやっても、だいたい同じ順番で話すと思うんですよね。
そして話す情報は全てエクセル上にあって、ただ「数字はこうです。ついては、こうしたらどうでしょうか」と言うだけなので、そこに新しい発想は必要ありません。だから、これも頭を使ってやることではないはずです。
企画会議とかで、いくつか案があって、どれを選ぼうかみたいなときだって、ウンウンうなって頭を使ったからといって、売れるものを選べるわけではありません。
比較検討する際には、「最近はどういったものが流行っているか」「類似商品には、どういうのがあるか」などの情報を参考にするものです。そのためには売り場に行ったり、ネットリサーチしたりすればいい。売り場に行くのは「体を移動させる」こと、ネットで検索するのは「キーワードを入れる」ことです。
だから、仕事って「体を動かす」ことがメインになる場合が多くて、「頭を使う」ことはかなり少ないと思うのです。
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