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元ネスレ日本社長の高岡浩三が、ホリエモンの宇宙ビジネスに参画した理由ものづくりを21世紀型に変える(3/5 ページ)

» 2022年01月28日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

日本の宇宙ベンチャーの課題は投資の呼び込み

 世界の宇宙ビジネスの市場規模は、21年時点で約40兆円と見られている。40年には110兆円規模に成長する見通しだ。ただ、米国企業に莫大な資金が集まっているのに比べ、日本の宇宙ベンチャーへの投資規模はまだまだだと高岡氏は指摘する。

 「宇宙ビジネスは大きなイノベーションです。しかし、投資の金が回ってこないと、イノベーションはできません。現状では米国や中国と比べて、日本の宇宙ベンチャーへの投資は2桁以上少ないのです。このままでは将来の日本は沈没するだけではないでしょうか。いくら政治家が分配するといっても、成長のない分配はますます貧しくなるだけです」

 そこで高岡氏が目指しているのは、日本企業に宇宙ビジネスに目を向けてもらうことだ。同時に、宇宙を舞台にした新しい技術開発に取り組むISTに対して、積極的に投資をしてもらう環境を作ることを狙う。

 「今までのISTは、ホリエモンのネットワークでしかお金を集めることができていませんでした。しかし、それでは足りず、ファンドも含めた投資家との関係を構築しなければいけません。

 その際に、人工衛星の技術を使ってどんなイノベーションを起こせるかを、企業に説明する必要があります。農業に活用できることを知ってもらえれば、トラクターなどの農機メーカーからの投資を呼び込めます。もちろん、自動車産業にも活用できます。

 さまざまな産業で使えることを知ってもらい、投資に名乗りを上げてもらうことによって、日本の宇宙産業も大きく成長できます。超小型の人工衛星を安価に打ち上げることによってイノベーションが生み出せることを説明し、企業から投資を呼び込むことが、ISTでの僕の役割です」

今までのISTは、ホリエモンのネットワークでしかお金を集めることができていなかった

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