高岡氏がネスレ日本で実践してきたマーケティングについては前編で伝えた。新しい現実を見ながら顧客の問題を発見し、それに対するソリューションを作り、付加価値を生み出すのが、高岡氏が理論づけたマーケティングのプロセスだ。ソリューションを作る際に、高岡氏は新しい技術を積極的に取り入れてきた。
そのひとつの例が、ネスカフェのコーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を進化させたもの。高岡氏はコーヒーを1杯から楽しめるマシンを開発。さらにそのマシンにIoTを搭載し、複数のマシンをインターネット経由で通信させることで、離れて暮らす高齢の親の見守りができるなどの付加価値を提供した。
「気付いた新しい現実は、親が子どもと離れて1人暮らしをしているときに、心臓発作などで倒れても誰も助けに行けないことです。僕の母親も駅前のマンションに1人で住んでいましたが、前日までは元気だったのに、翌朝に妻がマンションに行ったら亡くなっていました。そういうことが現実に起きるのです。
そこで、親子で同じマシンを買ってもらって、IoTによってつなぐことを考えました。親がコーヒーを飲むためにスイッチを押せば、通知が子どものLINEに届いて安否確認ができます。IoTを搭載したマシンは、子どもが2台買って親に1台渡すケースもあれば、親が2台買って子どもに1台渡すケースもあります。発売から1カ月で30万台が売れました」
IoTを搭載したマシンは、他社の技術とコラボすることによって実現した。パートナーはソニーモバイルコミュニケーションズだった。すでに爆発的に売れていたマシンに、ソニーモバイルコミュニケーションズが開発したAI付きのエージェントを組み合わせた。その結果、エージェントに話しかけることによってコーヒーを淹(い)れたり、メッセージを送ったりできる未来型のコーヒーマシンが誕生したのだ。
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