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元ネスレ日本社長の高岡浩三が、ホリエモンの宇宙ビジネスに参画した理由ものづくりを21世紀型に変える(5/5 ページ)

» 2022年01月28日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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宇宙ビジネスがものづくりを21世紀型に変える

 IoTを搭載したコーヒーマシン以外にも、ソフトバンクのロボットPepperを大量にリース契約して、家電量販店での接客に活用したことも話題になった。それまでは販売チームが各店舗で接客をしていたが、ロボットの活用によって販促費が削減され、コーヒーマシンも売れた。新しい技術に目をつけたことで、世界的には伸び悩んでいたネスカフェの売り上げを、ネスレ日本だけが伸ばすことができたのだ。

 高岡氏は、ISTが開発する小型打ち上げロケットや人工衛星などの新しい技術が、これまでにないビジネスモデルを生み出す可能性を感じている。

 「東日本大震災の時に、ネスレで衛星電話を持たされていました。当時通信が使えなかったけれど、衛星電話のおかげでスイス本社と話すことができた記憶があります。これからは衛星通信によって飛行機に乗っていても、海や砂漠の真ん中でもどこでも通信ができます。地球を観測するリモートセンシングを使えばリアルタイムで誰がどこに行っているか分かるため細かい人の行動データが取得できるので、マーケティング活動に生かすこともできます。衛星によって取得したビッグデータをAI、IoTを活用することであらゆる産業でイノベーションを起こすことができるんです。

 日本はものづくり大国と言われながら現在は衰退していて、これまで培ったものづくりをどう生かせばいいのか分からなくなっています。それが宇宙ビジネスを契機にすることで、20世紀の技術を生かしながら、ものづくりを21世紀型に変えていくことが可能になります。

 特にこれからは、人工衛星の新しい技術を取り込んで、新しいビジネスモデルを作ることが必要です。ISTをはじめとする宇宙ベンチャーと多様な産業のコラボが広がることで、イノベーションを起こしていけるのではないでしょうか。

 新しい現実と諦めている課題を見抜くことで、ビジネスは生み出せます。大企業も、中小企業も、スタートアップもまだまだそういうことに気付いていません。宇宙ビジネスでマーケティングを展開して、イノベーションを起こす企業を増やしていきたいですね」

 高岡氏がISTのマーケティングアドバイザーに就任したのは、人工衛星の技術に可能性を感じると同時に、新しい産業や若い経営者を支援していきたいという思いもある。後編では、若い世代を支援する思いについて聞く。

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