「ロボットレシピ」もぜひ遊んでみよう。KOOVには全部で22のレシピが用意されている。まずはオリジナルの作品を作るよりも、レシピを1つずつクリアしながらプログラミングの基礎を着実に身につけて行くことにした。レシピには1つずつ「プログラムのあり・なし」や「難易度」がアイコンで示されている。筆者は「大人なんだし」と見栄を張って、「難易度=ふつう」の「りす」を選んでみた。
レシピはPCのアプリケーションの画面にステップ・バイ・ステップで表示される「3D組み立てガイド」を見ながら作っていく。「りす」はなんと“50ページ”もある超大作。筆者は作り始めてから、途中で画面のキャプチャーを取りながらとはいえ、完成までおよそ45分もかかってしまった。後で磯津氏にインタビューした際、「りすは比較的難易度高め」とうかがって安心したのだが、きっと頭の柔らかい子どもならもっと時間をかけずにパパッと組み立ててしまうんだろう。
各レシピについては「ビジュアルプログラミング」もできあがっているものが用意されているので、あとはロボットの心臓部である「コア」とバッテリーボックスに完成したブロックを接続して、PCとUSBケーブルでつなげば、りすが動かせるようになる。プログラムをコア内部のメモリーに転送すれば、PCとつながずにロボットがスタンドアロンでも動くようになる。ちなみに、りすは赤外線フォトリフレクタの上に指先や木の実などを置くとクンクンと臭いを確かめるような動作をする。なかなかかわいくて愛着もわいてくる。プログラムに入力されている数値に手を加えたりすると、りすの反応が変わったりするのでさらに面白い。1つのレシピで色んな楽しみ方が広がる。
せっかく1時間近くかけて作ったレシピだが、崩してまた新しいレシピにチャレンジすることが正しく潔いKOOVの楽しみ方だ。だが、その前に一所懸命作りあげた、愛しいりすを写真に撮って、感想のコメントと一緒にコレクションにアップしておこう。マイ・コレクションはソニー・グローバルエデュケーションが用意するコミュニティサイトにアップして、他のユーザーと成果をシェアすることも可能になる。磯津氏によれば「後には当社のスタッフがコメントなどをチェックしてから、広くオンラインのKOOVユーザーどうしがシェアできる環境を作る」ことも計画されているという。
いくつかの学習コースをクリアして、ロボットレシピを作ってみたが、大人でもKOOVを体験してみる価値はおおいにあると実感した。いわゆる“理系のおとうさん”ではなくても、工作感覚で子どもと一緒に遊びながら簡単にロボットプログラミングを自分のペースで身に付けられる。本連載でいつもご紹介しているスマート家電やIoT機器がどんな原理で動いているのか、仕組みが気になり始めると、色んなエレクトロニクス機器を見る目が自然と変わってくるから不思議だ。
そして、ロボットを組み立てることと同時に、KOOVからはもう1つ「遊び終わった玩具は片付ける」ことの大切さも学ぶことができる。KOOVのロボットレシピは1つ1つが複雑なものではないが、種類が異なるそれなりの数のブロックや電子パーツを使うので、何度も繰り返し気持ち良く使うためには、ブロックの種類をきちんと区別しながら、元の状態に整然と後片付けすることが大事だ。KOOVの各キットにはそれぞれのパーツが袋に小分けになった状態で入っている。より素速くブロックを出し入れするのであれば、ホームセンターで仕分け用にアクリルボックスなどを買ってくるといいかもしれない。
学ぶほどにロボットプログラミングの奥深さが感じられるKOOVだが、ソニー・グローバルエデュケーションではユーザーを飽きさせないように、新しいロボットレシピを順次追加していく予定だという。「がくしゅうコース」にもぜひ新しいメニューを追加してほしいと思う。またKOOVのブロックを組み立てて作れるロボットのアイデアは無限大ではあるものの、1人で広げられる範囲には限界がある。今後は公式の“カリスマ・ブロックアーティスト”を仕立て上げて、誰もがあこがれるようなブロックアートをKOOVのサイトなどで公開して盛り上げていくことも必要だ。
そして何よりKOOVをオープンに体験できるワークショップを繰り返し、さまざまな場所で実施していくことがKOOVの認知拡大には肝要である。ソニーストアの銀座・名古屋・大阪・福岡天神では体験展示も行われているようなので、この機会にKOOVに触れてみてはいかがだろうか。
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