買収でボーダフォンユーザーはどうなる?(2/2 ページ)

» 2006年03月18日 01時18分 公開
[園部修,ITmedia]
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新端末は市場に合ったものを国内外から調達

 端末に関しては、一時期海外製品と仕様を共通化したモデルを投入していたことから、「品ぞろえやデザインが日本市場にあまり合っていないのではないか」(孫氏)という印象を持っていたという。ただ、モロー氏がボーダフォンの社長に就任してからはその点は改善されているので、今後も日本市場に合った製品を展開していくと言うにとどめた。すでにBBモバイルとして検討していたものも含め、端末は国内外を問わず調達するとしており、日本製の端末だけでなく、海外製の魅力的な端末や安価な端末が日本で利用できるようになる可能性もある。

Photo 端末は過去の反省も踏まえ、日本市場に合ったものを投入していく。海外製の端末なども積極的に導入するという

 またエンドユーザーには直接の影響はないことだが、ほかの2キャリアに比べて弱いとされるボーダフォンの営業面も、ソフトバンクが持つ強力な営業部隊がバックアップできるとしている。ただ、今までのように「あまり泥臭いやりかたはしたくない。かっこよくやっていきたいと思う」(孫氏)と話し、モデムを無料配布して、力ずくで進めたヤフーBBのADSLサービスのような展開は行わないことを示唆した。

 これらの話を聞く限り、積極的なエリア展開と、コンテンツや端末の充実が見込め、エンドユーザーにも長期的にはいろいろメリットがありそうだ。

 なお、Vodafoneグループの強みである国際ローミングサービスは買収後も継続される。ソフトバンクが発売する端末も、世界のVodafoneのネットワークで利用可能になる可能性は高いと見られ、海外利用に強い点に魅力を感じていたユーザーには心強いだろう。

 ボーダフォンが積極的に推進しようとしていたMVNO(2005年11月16日の記事参照)も引き続き進める予定だ。2.5GHz帯の周波数を利用したWiMAXのサービス(1月5日の記事参照)も、免許取得に向けて取り組んでいく。これらを活用した新サービスが利用できる可能性もあるだろう。

ブランドの変更が与える不安

 ただ1つ気になるのは「ブランドは新しいものにする」と孫氏が明言した点だ(3月17日の記事参照)。ショップからカタログなどの印刷物、端末まですべて新しいものにするという。既存の端末やサービスが使えなくなるわけではないものの、ユーザーは不安になるだろう。

 2003年10月に「J-フォン」から「ボーダフォン」へのブランド変更、そして社名変更を行った際には、ユーザーの間で混乱を呼び、純増数の減少が起きた。2006年11月にはナンバーポータビリティが始まることもあり、新しいブランドやサービスが、好感の持てる受け入れやすいものでなければ、ユーザーがほかのキャリアに流れてしまう可能性がある。

 ユーザーが減れば、キャリアの収入が減るうえ、参加するコンテンツプロバイダが減ってサービスの質が下がったりすることも起こりうる。たとえヤフーやソフトバンクグループが総力を挙げてコンテンツやサービスを提供するといっても、それだけでは限界がある。魅力的なコンテンツやサービスが減り、さらにユーザーが減るといった負のスパイラルに陥るようなことだけはないことを祈りたい。

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