IT戦士、パスネットに怒る Mobile Weekly Top10:

» 2006年04月13日 21時38分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 今週もっとも多く読まれた記事は、「MUSIC PORTER X」の価格記事(4月10日の記事参照)。携帯の新規価格が約5万円というのは、たしかに非常に高い値段だが、1Gバイトメモリを搭載した多機能なデバイスの値段として考えればむしろ安いくらいかもしれない。その一方で6位には「“0円ケータイ”の使い方」という記事が入っており、奇しくもケータイの値段、ひいてはインセンティブモデル(2003年2月6日の記事参照)について考えさせられるランキングとなった。

 ところで、このランキングには入っていないが、今週ビジネスモバイルで多く読まれたのが、関西の私鉄やバスで使える共通乗車券「PiTaPa」についての神尾寿氏のインタビュー記事だ(前編後編)。

 これを読んだIT戦士こと岡田有花記者から、編集担当の記者宛にメールが届いた。京女である彼女は、PiTaPaの前身といえる磁気式の「スルッとKANSAI」カードユーザーだったそうで、曰く「磁気式のスルッとKANSAI対応カードは残額10円でも入場可能だったのに、東京に来てパスネットを初めて使った時、残額が2桁(=初乗り料金に足りない)だと入場できず『なんて不便なんだ!』と怒りました」とあった。

 パスネットやイオカードの残金が初乗り料金に足りず、自動改札に閉め出されて慌ててカードを買いに行った経験は記者(東京出身)にもあるが、残金が足りなければ入場できないのが当たり前だと思っていた。それで電車に乗り遅れても、腹を立てたことはなかった。むしろPiTaPaの記事を読んで「たしかにとりあえず入場してしまって、降りるときに払えれば便利だなあ」と感心したくらいだ。

 インタビュー記事によれば、関西でも磁気式プリペイドカードの残額が初乗り以下だと入場できない時代があったが、お客さんに毎回「降りるときに精算するんやから、ええかげんにしいや!」と怒られ、改善されたという(4月12日の記事参照)。ユーザーからの不満の声が、良いサービスを生んだ好例といえそうだ。

 この記事を編集するとき、記者は「Suicaやパスネットに慣れていると、ポストペイって新鮮だな〜」と思っていたのだが、岡田記者の「磁気式の時に“残額不足でも入れる=ポストペイ(後払い)”だったので、PiTaPaも同じ考え方(ポストペイ)で作ったのかなと思ってました」という1行にすっかり感心。関西人的メンタリティから見れば「使った分だけ後から払うポストペイ」は当然だったのかもしれない。

 初乗り運賃の件だけでなく、きめ細かな割引サービスやポイントサービスとの連携、オートチャージ、子ども料金への対応など、PiTaPaにはSuicaより進んでいるサービスがいろいろある。Suicaとパスネット(改め「PASMO」)が相互利用できるようになる2007年3月のタイミング(2005年12月21日の記事参照)で、関西発の良いサービスが導入されるといいなあ、と東京出身者としては思わずにはいられない。でもそれにはやはり我々も、改札で怒らないとダメなのかも……。

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