新たな市場で火花を散らす──ケータイ4キャリアの法人戦略、最前線(2/2 ページ)

» 2007年09月12日 00時23分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
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法人利用で重要な“予算化できる”定額、各キャリアの取り組みは

Photo ウィルコム ソリューション営業本部 副本部長の青木伸大氏

 法人がモバイルを導入する上で重要視する要素の1つに「定額」がある。業務には予算がつきもので、それが一定額だと予算化しやすいからだ。音声とデータで定額プランを提供するウィルコムの青木氏も「予算化もふくめて、法人利用で管理のしやすさは必須」だと話す。

 他のキャリアも、法人利用をうながす上で定額が重要なことは理解しているものの、“電波は有限”という制約との間でどんな解決策があるのかを探っている状態だ。

 「電波は有限であり、定額はそれと裏腹。バランスを取りながら提供するためには、技術的な制限のかけ方で納得してもらえる定額と、常時接続の両立を可能にする技術が必要」(山本氏)

 この10月にも、HSDPA端末を利用した64kbpsパケット通信を4200円の定額で提供する予定(4月27日の記事参照)のドコモも事情は同じだ。「管理面も含め、ある程度のレベルでの定額が必須になってくるが、現状の仕組みだと時間で切るかエアの部分を少しだけ冬眠させるなどするしかない」(武藤氏)

法人市場への取り組み、ひと言でいうと

 さまざまな課題がある法人市場で存在感を示していくために、各キャリアはどのような取り組みをしようとしているのか。

 ドコモの武藤氏は、セキュリティや管理面の強化、さらなる通信速度の高速化に加え、オープン化の推進を挙げる。「各企業が本格的に実業にモバイルを取り込む中、オープン化による業務連携が重要になってくる。(『HT1100F1100』などの)Windows Mobileを使ったオープンな環境の上で、顧客のニーズに合ったアプリがきちんと動くようにする」(武藤氏)

 KDDIの山本氏は、少し先を見据えた取り組みとして、ビッグパイプ(大容量の回線)とスーパーデータベースの提供を挙げる。「この2つがないと、SaaSやICT、テレワークが要求される時代に、キャリアとして対応できない」(KDDIの山本氏)

 例えば、時間や場所を選ばない働き方を可能にするテレワークが普及したときには、どこからでもストレスなくアクセスできるようビッグパイプでつなげるべきであり、1人が競合する会社の仕事をする場合には、きちんと管理されたデータベースが必要というわけだ。

 また、J-SOX法の施行などに伴い、PCや携帯などに分散しているデータは集中の方向に向かい、将来的にはモバイル環境でもシンクライアントへの対応が求められる可能性が高い。「そのためにも、ビッグパイプとスーパーデータベースを提供し続けなければならない」(木村氏)

 リリースに向けて準備を進めているというスマートフォンについては、「各社がスマートフォンを出しているので、サプライズのある形で出すべきではないかという声が社内で出ている。何とか、驚きのある端末をリリースしたいと考えている」(木村氏)と期待を持たせた。

Photo ソフトバンクモバイル法人事業統括部 副統括部長兼ビジネスマーケティング本部長の白石美成氏

 ソフトバンクモバイルが目指すのは、豊富な端末ラインアップとパートナープラグラムの充実。「法人向けスマートフォンは2004年以降、8機種16バリエーションを投入したが、まだまだ不十分」(白石氏)。ソフトバンクモバイルの白石氏は企業のニーズが多様化する中、(ほぼ無限大のカスタマイズが可能な)「fanfun 815T」なみにソリューションと端末ラインアップの組み合わせを増やす必要があると話す。

 パートナープログラムについては、顧客の要求にスピーディーに対応できる体制作りを目指すとし、グループ内で扱う26万におよぶIT商材を生かしながら、各種パートナーとアライアンスしやすくする仕組み作りに取り組むという。

 ウィルコムの青木氏は、“ウィルコムならでは”“PHSならでは”の強みを生かした展開を図ると話す。PHSの強みとなる“低電磁波で高音質”“大容量で定額”という特性に、W-SIMやスマートフォンを軸とした水平分業モデルを組み合わせて新たな法人ニーズを掘り起こしたい考えだ。またPHSが得意とする事業所内コードレス電話網とPHSのネットワーク連携させ、“企業内とモバイル間をワンナンバーで定額”で使えるようにすることにも取り組むとしている。

Photo 法人市場のシェア獲得に向けたドコモ、au、ソフトバンクモバイル、ウィルコムの戦略

法人市場で一番大事なキーワード、各キャリアの答えは

 モデレーターの土谷氏が、キャリア代表の面々に最後に投げかけた質問は「法人市場でモバイルを展開するにあたって、一番大事だと思うキーワードは何か」というものだ。

 その答えは、「サポート」(ドコモの武藤氏)、「運用」(KDDIの山本氏)、「スピード感」(ソフトバンクモバイルの白石氏)、「スマートフォン」(ウィルコムの青木氏)。同じ課題を抱えながら、急成長する法人市場で火花を散らす4キャリアの動向に注目したい。

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