5分で分かる、先週のモバイル事情9月6日〜9月12日

» 2008年09月16日 19時20分 公開
[ITmedia]

KDDIからもスマートフォン――活気づくスマートフォン市場

 先週はスマートフォンに関するトピックが目白押しの1週間だった。9月9日にはイー・モバイルがHTC製のタッチパネル端末「Touch Diamond」を10月上旬に発売すると発表。9月11日にはKDDIが、タッチパネル+QWERTYキー搭載のHTC製端末「E30HT」を2009年春に投入することを明らかにした。

Photo イー・モバイルが10月上旬に発売する「Touch Diamond」(左)。KDDIは2009年春に「E30HT」を投入する(右)

 KDDIがスマートフォンの投入を発表したことで、ドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDI、ウィルコム、イー・モバイルの大手携帯5キャリアがスマートフォンを展開することになり、ビジネスコンシューマー市場や法人市場におけるシェア獲得争いの激化が予想される。

 なお、海外では英Sony Ericssonが、同社のWindows Mobile端末「Xperia X1」を9月30日に英国、ドイツ、スウェーデンで発売すると発表。RIMはコンシューマー市場に本腰を入れるとし、チケット販売の米Ticketmaster、インターネットラジオサービスの米Slacker、DVR(デジタルビデオレコーダー)の米TiVoとの提携を発表。端末についても、同社初となる折りたたみ型BlackBerryの「BlackBerry Pearl Flip 8220」を披露した。

Photo RIM初の折りたたみ型BlackBerry「BlackBerry Pearl Flip 8220」(左)と、欧州での発売日が決まった英Sony Ericssonの「Xperia X1」


Apple、新製品発表――iPhoneのバージョンは2.1に

 Appleが9月10日、新たなiPodファミリーを発表した。iPod nanoは加速度センサーを搭載した縦長スタイルのフルモデルチェンジ版として登場。iPod shuffleはブルーとグリーンがメタリックな色調になり、iPod classicは120Gバイトモデル1本に絞られた。iPod touchは、音量調節ボタンとスピーカーを新たに搭載し、「Nike+iPod」のセンサーを内蔵した。

 また新サービスとして、プレイリスト作成機能の「Genius」を発表。iTunesを使用するユーザーの活動データを収集し、それに基づいてプレイリスト候補を表示するというもので、クリックするだけでライブラリにマッチしたプレイリストが自動で生成される。

Photo フルモデルチェンジ版で登場したiPod nano

 9月12日、iPod新ラインアップの発表会「Let's Rock」で講演を行った米Apple CEOのスティーブ・ジョブズ氏は、iPod touch向けのファームウェアバージョン2.1を9月9日から、iPhone向けの2.1を9月12日から配布すると発表。アップデートによりiPhone 3Gのバージョンは2.1となり、(1)バッテリー寿命の向上(2)通話発信時のエラーと通話中のエラーによる回線切断の発生頻度の減少(3)メールの信頼性の向上(4)パスコード入力に10回失敗するとデータを消去するオプション(5)Geniusプレイリスト作成機能 など多数の機能が改善されるという。

 なおiPhone 3Gについては、ソフトバンクモバイルが法人向けの活用を積極的に提案しており、9月10日に開催された法人ユーザー向けの商品・サービス説明会「SoftBank Summit 2008」で講演に立った同社社長の孫正義氏は、講演の大半をiPhone 3Gのビジネス活用の可能性に関する説明に費やした。

フィルタリング、18歳未満はブラックリスト方式を原則適用へ

 電気通信事業者協会(TCA)とNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルの5社が9月12日、青少年の有害なサイトへのアクセスを制限するフィルタリングサービスの認知拡大・利用促進策を発表した。

 キャリアは18歳未満の既存契約者に対するフィルタリングサービスの周知を十分に行い、親権者が「不要」と申告しない限り2008年度内にブラックリスト方式のフィルタリングサービスを設定する。

 なおブラックリストに掲載されているサイトでも、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)が認定した「健全サイト」については、閲覧可能にする方針。カテゴリーや基準については、EMAを始めとする第三者機関の意見を踏まえつつ改善するとしている。

 また、現在提供しているフィルタリングサービスに加え、ユーザー自身が個別に閲覧不可とするサイトを設定できるようなサービスの提供も目指していく。

MediaFLOとFeliCaの可能性を検証――島根ユビキタスプロジェクトがスタート

 9月11日、「ユビキタス特区」事業の1つである「島根ユビキタスプロジェクト」の推進協議会が設立され、実証実験の模様や利用設備などが報道関係者向けに披露された

 同プロジェクトは、代表申請者であるメディアスコープが中心となって実施するもので、産学公民の連携を重視することから島根大学・学長の本田雄一氏を筆頭に、島根県知事の溝口善兵衛氏、松江市長の松浦正敬氏など、地元の大学や自治体トップが名を連ねる。ICT業界からは、クアルコムジャパン代表取締役会長の山田純氏、フェリカポケットマーケティング代表取締役社長の納村哲二氏、トヨタ・電通・ソニーの3社が出資するメディアラグの代表取締役社長、藤井雅俊氏などが参画し、MediaFLOやFeliCaがどのような形で利用者の生活向上や地域の経済振興に貢献できるかを検証する。

 実験の1つとして注目されるのは、屋外では日本初となるMediaFLOの試験放送。約3年をかけて、UHF帯におけるMediaFLOの電波伝搬実験を実施し、プロジェクト全体を支えるインフラとして機能させながら、技術的な改良や改善を図る。

 実験当初はストリーミングによるリアルタイム放送を展開し、近日中にはクリップキャスト(蓄積型マルチメディア放送)やIPデータキャストの実験も追加するとしている。

 同プロジェクトでは、多様なポイントやクーポン、会員情報を1枚のカードやおサイフケータイにまとめるアプリケーションシステム「FeliCaポケット」の実証実験も実施。FeliCaポケットの仕組みを利用した独自の地域カード「あいポケット」「あいポケット WAON」を発行し、メディアスコープと地域の商店街が連携して、店頭のサイネージ端末からの電子クーポン受け取りシステムや、地域ポイントプログラムの構築などを行う計画だ。

MVNO向けレイヤー3接続プランを公表――イー・モバイル

 イー・モバイルが9月10日、MVNO向けのネットワーク接続料金を発表した。総務省が5月19日に改定した「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」に沿って策定・公表したもので、イー・モバイルをMNOとしたMVNOサービスを検討する事業者向けに、モバイルデータ通信サービスの概要やMVNO事業者が負担する各種費用、技術的条件、運用、サービス開始までの手順などを説明している。

 標準プランの接続プロトコルはレイヤー3となり、端末はイー・モバイル側が有償で用意。端末はMVNO側で独自に調達することも可能としている。端末にセットするSIMはイー・モバイルからMVNO側へ貸与し、MVNO事業者が負担する費用については、月額利用料を基本とし、さらに事務手数料、工事費等によって構成される。

シャープ、アクロディア、ブライセン、エイチアイが参画――Symbian Foundation

 Symbian Foundationは9月9日、新規メンバーとしてアクロディア、ブライセン、エイチアイ、Ixonos、KTF、Opera Software、シャープ、TapRoot Systems、UIQ Technologyを迎えたと発表した。

 Symbian Foundationは、2008年6月にAT&T、LG Electronics、Motorola、Nokia、NTTドコモ、Samsung Electronics、Sony Ericsson、STMicroelectronics、Texas Instruments、Vodafoneを設立メンバーとして発足し、これまでに計40社が参加を表明している。

 同団体では、Symbianをベースとしたオープンな共通プラットフォームを開発し、それを利用することで、端末開発のコスト低減や開発期間の短縮を目指す。Symbian Foundationに加盟する団体には、共通プラットフォームおよび共通UIフレームワークが提供される予定で、特許使用料不要ですべてのソフトウェアを使用できる。

7月のケータイ出荷台数、400万台割れ――JEITA

 電子情報技術産業協会(JEITA)が9月10日、2008年7月の携帯電話・PHS端末の国内出荷台数実績を発表した。累計出荷台数は377万9000台で前年同月比70.7%となり、500万台超を出荷した6月の実績を大きく下回った。

 携帯電話の出荷台数は363万4000台で、前年同月比71.1%。ワンセグ搭載モデルの出荷台数は289万1000台、前年同月比154.7%と好調に推移しており、搭載比率は79.5%と8割到達が目前に迫っている。

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法人向けカメラなし端末、法人向けプリペイド3Gサービス登場

 9月11日、KDDIが京セラ製の法人向け端末「W63K」を発表した。W63KはKCPを採用したストレート型のau端末。カメラと外部メモリスロットを非搭載とし、オートロック機能/遠隔オートロック機能や遠隔データ消去機能を搭載することで、紛失、盗難時の情報流出を防ぐ。

 日本通信は法人向けのプリペイド3G通信サービス「b-mobile3G hours500」を9月19日に発売すると発表した。中ZTE製のUSB接続型HSDPA端末と500時間分の接続料金がワンセットになった製品で、接続料金は1分ごとに減算。個人向けのb-mobile3G hours150よりも長時間かつ長期間の利用を想定しており、日本通信によると、1カ月のうち20日で1日75分利用した場合、20カ月間の月額料金は4990円(端末代、プロバイダ料金込み)になるという。

Photo KDDIの法人向け端末「W63K」(左)と、日本通信の法人向けプリペイド3G通信サービス「b-mobile3G hours500」(右)


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