第3回 OMNIAとiPhone 3G、どこが似ていて何が違うのか現地版「OMNIA」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年09月19日 12時56分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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PCとの連携に優れたiPhone 3G、単体で完結できるOMNIA

 もう少し個別の機能にフォーカスしてみると、両者の設計思想の違いが如実に現れてくる。例えばメディアファイルの再生機能を比べてみよう。

photophoto iPhone 3Gは、iTunesを軸にしてPC内のメディアファイルを本体に同期、転送できる。OMNIAもActiveSyncなどの同期ツールが使えるが、それ以外の転送方法もあり、標準で対応するメディアファイルは多い。本体でちょっとした動画編集なども行える

 iPhone 3Gはまず、端末内のデータフォルダや保存先という概念が基本的にない。PCに保存する音楽や動画、写真データなどをiTunesで同期し、iTunesで再生できるメディアファイルをそのまま持ち出せる。普段PCのiTunesでメディアファイルを管理するユーザーにとって特別に意識することなくデータを同期できるので、使い勝手が大変よい。

 OMNIAもWindows Mobile標準のActiveSyncを利用して各種データを同期できる。しかしActiveSyncは汎用ソフトウェアであるために同期するフォルダやファイルの指定が必要な場合もあり、iTunes+iPhoneほどスムーズな連携はできない。しかし、PC上で同期する操作に限らず、本体の適当なフォルダにファイルをコピーさえすればよいというメリットもある。ちなみにOMNIAの内蔵メディアプレーヤーはDivXやXviD形式ムービーなどにも標準で対応するので、利用できるファイルの幅はかなり広い(動画はDixX/XviD/H.263/H.264/WMV/MP4、音楽はMP3/AAC/AAC+/WMA/OGG/AMRに対応)。

 そして、設計思想の差が最も出ているのがカメラだ。想定する“カメラを利用するシーン”が大きく違う。

photophoto OMNIAのカメラは、AF付きの500万画素。設定項目も一般的なデジカメなみに豊富で、顔認識AFやスマイル(笑顔認識)シャッターなども備える。対してiPhone 3Gのカメラは“ただ写すだけでOK”のシンプル仕様

 OMNIAのカメラは500万画素のオートフォーカス(AF)付き。顔認識AFやスマイルシャッターといった流行機能とともに、設定項目も豊富で、一般的なデジタルカメラに迫る機能を搭載する。動画撮影にももちろん対応し、本体内で動画を編集することも可能だ。OMNIAのカメラはほかのケータイと比較してもハイエンド寄りの仕様であり、十分“デジカメ代替”となりうる資質を備える。

 対してiPhone 3Gのカメラは“笑っちゃうほど”何もない。スペックは200万画素で固定焦点タイプ。設定項目はなく、ユーザーはカメラを向けてシャッターを押すだけ。このように、iPhoneのカメラはデジカメの代替として搭載されるものではない。足りない機能は別途iPhoneアプリでまかない、必要なものだけを追加する。そして、写真を印刷したり、編集したり、PCの大画面で楽しむということより、日常的な記録を手軽に残したり、Webサービスと組み合わせて共有するなど、新しいコミュニケーションの道具として利用するのに適した設計になっている。


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 このように両端末を実際に使い比べると、タッチパネルディスプレイを搭載するストレート端末という共通項目はあるもの、その設計思想は違うと改めて思える。

 iPhone 3GがPCとの連携を重視したのは、そもそもが音楽プレーヤーであるiPodから進化した端末だからだ。iPodに無線LANと携帯電話機能を備え、“持ち歩けるインターネット端末”としてのを融合させた、今までになかった分類不能の新しい機器である。

 対してOMNIAは、これ1台で完結できるほど強力な機能を搭載したハイエンド携帯電話だ。OSにWindows Mobileを採用したのも機能向上のためであり、独自UIの「TouchWiz UI」を備えて操作性を向上させる工夫を盛り込んだ。両端末とも当初のターゲットはアーリーアダプターやハイエンドユーザーが中心になるだろうが、設計思想の差がそのまま使い勝手や機能の差につながっているといえ、好みはかなり分かれると考えられる。改めて思うが、そもそも両者を比べるのは無粋だった。

 OMNIAは2008年7月のシンガポールでの発売を皮切りに、日本以外のアジア圏やヨーロッパでも発売された。そして、2008年内に日本でもTouchWiz UIを搭載するOMNIAあるいは同系のタッチパネル端末が登場すると言われている。次回はSamsung電子の端末戦略などから、“日本版”がどのような製品として登場するか勝手に推測してみたい。

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