これらを単純に損得勘定で考えるてみるとどうだろう。
ドコモとauは分離プランで加入、もしくは移行してしまえば、利用料金と端末代金の関連はおおむね断ち切れる。つまり、1台の端末を長く使うと端末代金が余計にかからない分、月々のコストが低くなるほか、今まで月々の利用料金の一部が他人の新規端末購入時の値引き(新規顧客獲得のため)に延々使われていてたという“見えない損”もなくなる。
その反面、次に機種変更などで端末を購入する場合は、はじめに分離プランに移行した時のようには基本料金は下がらない。実際には従来より利用料金が安いまま(値下げされているまま)ではあるのだが、ここに「端末価格が高いという錯覚」を感じる場合はあると思う。
ソフトバンクモバイルとウィルコムは、ある程度従来と同じ図式が成り立つ。利用料金からの割り引き額が適用されるのは端末購入から約24カ月間で、それは端末を購入するたび適用(更新)される。
例えば48カ月間(4年)同じキャリアを利用する場合。最初に購入した端末を48カ月使い続けると、割り引きははじめの約24カ月間だけとなる。対して、24カ月おきに機種変更すれば、まるまる48カ月間割り引きが受けられる。もちろん48カ月間の端末代金と月額料金の合計コストを考えると1つの機種を長く使い続けるほうが安価な場合があるものの、割り引き期間が短い分、損していると思ってしまう人も多いと思われる。
ただしソフトバンクモバイルとウィルコム端末は「実質0円端末」という機種が現在、当たり前にある。これは「購入時の頭金なし、月々の端末分割代金と割り引き額が同額」であるため、割り引きを全額受けると“実質”0円で入手できるもの。このような端末を選べば、48カ月で2つ分の端末代金を0円で済ますこともできる。ともあれ、1台の端末を長期間使い続けるのが“決して安価とは限らない”のがなかなか困惑させるところである。
さらに、ソフトバンクモバイルとウィルコム端末は原則として新規より機種変更のほうがやや高価(端末価格そのものが高いか、あるいは割り引き額が低い)に設定されるのに対して、ドコモとau端末は新規も機種変更も原則は同じ価格。つまり、端末購入のたびに割り引きが受けられるからといって、ドコモやauよりお得とは限らないのも注意したいところだ。
まとめると、ドコモとKDDIは分離プランにより1台の端末を長く使い続けると得であり、新規契約と機種変更にも端末の価格差がないのが魅力である。加えて「分離プラン」の差が理解しやすい。対してソフトバンクモバイルとウィルコムは、端末を購入するたび月々の割り引きが受けられる仕組みが特徴。割り引きを大いに活用しつつ、定期的に端末を買い換える人だとより得になる可能性が高いと言える。
次回は、“分離プランによる年数縛り”がそろそろ終わる人もいるであることも想定し、分離プラン端末における機種変更のタイミングを考察する。
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