「10年後の桜がいつ咲くか、そんなこともシミュレーションできれば」――携帯やPCを介してユーザーからの情報を集めながら、リアルタイムな気象情報を配信するインターネットサービス「SOLiVE24」が4月27日にオープンする。ウェザーニューズとフジテレビジョンが共同で企画し、テレビ番組制作のノウハウを生かしながら、専用のアプリケーション「ソラマド」によって視聴者とチャットでコミュニケーションを図ったり、グリッドコンピューティングの技術でユーザーのPCを情報解析の“頭脳”として利用したりと、“ネットメディア”ならではの価値創造を目指す。PC向けのサービスとして開始するが、今後は携帯、ケーブル/CS放送などマルチメディアに展開する構えだ。
携帯ユーザーからのリポートを基に、雨を10分単位でピンポイントに予測する「10分天気予報」をはじめ、ウェザーニューズではユーザー参加型のコンテンツ作りに力を入れている。2008年には「ゲリラ雷雨防衛隊」として名乗りを挙げたユーザーの力を借り、従来は観測が難しいとされていた局地的なゲリラ雷雨の80%弱を予測できた。今回のSOLiVE24でも、「ウェザーリポーター」と呼ばれる同社携帯サイトの会員に加え、PCの前にいるユーザーの“参加”が重要な役割を担っている。
SOLiVE24を視聴するための無料アプリケーション「ソラマド」を起動すると、デスクトップ上に8つの“窓”が現れる。その内の7つには、携帯サイト「ウェザーニュース」(http://wni.jp/)の会員コミュニティーから送られてくる日本各地の写真が表示され、リアルタイムに情報が更新される。現在、会員のリポートは1日に平均3000通で、多いときには5000通にも及ぶ。「夕暮れ時になれば、日本中から美しい夕日の写真が次々と投稿されてくる。ソラマドは、オフィスに居ながらでも日本の四季を感じることのできる窓」(ウェザーニューズ取締役・石橋知博氏)
残された1つの窓をクリックすると、SOLiVE24の番組を視聴できる。ここでは、天気のニュースや天気予報が作られる過程などを紹介する「SOLiVEゾーン」と、ユーザーが番組にチャットで参加できる「ソラマドゾーン」という、2つの放送枠を柱に展開。24時間生放送で、11人のキャスターが入れ替わりで気象情報を視聴者に届ける。またソラマドゾーンは、深夜帯に限りチャットのコメントを選別せずに次々とテロップとして表示することで「ある意味、ニコニコ動画のような状態になる」(フジテレビジョン 情報制作局情報企画部プロデューサー&ディレクター 福原伸治氏)。
グリッドコンピューティングの技術で、ユーザーのPCの処理能力を借りて気象データの解析に役立てるのもソラマドの大きな特徴だ。また、ユーザーが増えるほどに複雑な処理が可能になるこの仕組みで“10年後の桜の開花予想”といった、未来の気象のシミュレーションにも取り組んでいくと石橋氏は意気込んだ。
PC以外に向けたサービスに関して石橋氏は「ユーザーのトラフィックが集中する梅雨を迎える前の、5月から6月にはできるだけのことをしたい」と説明。ウェザーニューズ広報によると、モバイル端末向けのサービスとしては、動画コンテンツのストリーミング配信に向けて企画を進めているほか、ユーザーの生活エリアなどに合わせた気象情報のプッシュ配信なども予定しているという。
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