前回紹介したようにDoccicaの通信速度は、3G標準の384kbpsを超えることはあっても、なかなかメガの速度では利用できない。また定額制でもないため、モバイル“ブロードバンド”と、呼びにくいのも事実だ。しかし、FOMA網を必要な時に必要なだけ使えるというコストパフォーマンスの高さはほかにはないものだ。
さて、速度とエリアの次にデータ通信サービスで気になるのが、使えるサービスに制限があるかないかだ。イー・モバイルは利用するサービスに制限は設けていないが、ドコモの「定額データプラン」では、ボイスチャットが可能なVoIP対応のインスタントメッセンジャー(IM)やストリーミング形式の動画配信サイト、オンラインゲームが利用できない(MSN Web Messengerなど、Web上で使うIMは利用できる)。Doccicaはドコモ網を使うが、特に制限は設けておらず、IMやストリーミング形式の動画配信サイト、オンラインゲームも利用できる。IMについてはビジネスシーンでも利用するケースも多いため、外出先からも使えると何かと便利だ。
とはいえ、帯域制御された通信速度を考えると、FTTHやADSLなどの固定回線と同じように使えるとは限らない。SkypeやWindows Live Messengerなどでテキストメッセージをやり取りする分ならなんら支障はないが、ボイスチャットとなるとやや途切れ途切れになった。
またFlashを使って比較的短いコンテンツを配信するYouTubeやニコニコ動画、zoomeなどでは、データを読み込むまで若干のタイムラグがあったが比較的快適に使うことができた。動画データをキャッシュしてしまえば回線を切っても再生できるので、小まめに接続を切れば、チャージ分を節約しながら動画共有サービスを利用できる。
一方、Silverlightを使って映画やドラマなどの比較的長いコンテンツをストリーミング配信するYahoo!動画やGyaOでは、提供側が推奨する通信環境(500kbps〜2Mbps以上)ではないためか、ページは開くが番組が流れない状態になった。ただ、時間をかけてバッファリングを行うと、CMなどは流れたので、サービスの制限というより通信速度の面で制約を受けているようだ。もっとも、時間課金であることを考えると映画のような長時間コンテンツを見るのはDoccicaのコンセプトにそぐわないかもしれない。
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