パナソニック モバイルコミュニケーションズは5月20日、2009年夏商戦向け携帯の新製品発表会を開催した。会場では新モデルの訴求点に加え、今後の展望を語った。
同社は2007年に“VIERAケータイ”を発表して以来、携帯電話のメーカー別シェアを着実に伸ばし続けている。今回もVIERAケータイとしてNTTドコモから「P-07A」「P-08A」「P-10A」が、ソフトバンクモバイルから「931P」が登場し、計4機種のラインアップでブランドの存在感は一層高まった。
新しいVIERAケータイのポイントは、「Wオープンスタイル」と「カメラ・画質」の進化だ。ディスプレイが横にも開くWオープンスタイルは初代VIERAケータイ「P905i」から継続して採用されているが、2009年夏モデルでは新たに「防水」や「大型サブディスプレイ」という特徴と組み合わせて、利用シーンの幅を広げている。また、800万画素級の撮像素子やシーン自動判別機能の「おまかせiA」を採用したカメラ、進化したフレーム補間技術を取り入れたワンセグなど、既存の機能にも磨きをかけた。
そして、VIERAケータイとともにスリムケータイのラインアップにも注力した。基板を樹脂で固める「ボードモールド工法」などの技術によって、業界トップクラスの薄型端末を世に出してきた同社だが、新モデルでは薄型ボディに“充実した機能”を盛り込むことで付加価値の向上を目指した。ソフトバンクの「832P」には、ワンセグやカメラに加え世界最多(同社による)という10種類の辞書コンテンツを搭載。ドコモの「P-09A」は“充実系スマート”として、通話音質をデジタル処理で改善する「ナチュラルトーク」を搭載したほか、「iウィジェット」にも対応した。
今後の事業展開に関しては、2008年の新製品説明会でも説明された「モバイルリンク」をキーワードとして挙げる。総合家電メーカーであるパナソニックグループの強みを生かし、AV機器などとの連携をさらに推し進めていく構えだ。また、今後さらなる高速化・大容量化が見込まれる通信環境の進化にも触れ、次世代の通信規格であるLTE(Long Term Evolution)においても、「世界のトップグループとして進化に貢献していきたい」(モバイルターミナルビジネスユニット 商品企画グループマネージャー 津村敏行氏)と意気込みを見せた。
また、前回の発表会でも示唆された、2010年度以降のグローバル市場への参入に関してもその意志に変わりはなく、「具体的な検討を進めている」(モバイルターミナルビジネスユニット長 石井圭介氏)という。さらに「Androidケータイを出す予定はあるか」という記者からの問いに石井氏は、「Androidに限らず、オープンOSはさまざまに存在するが、こうしたスマートフォンの市場は今から3年後には世界レベルで年間1億台ほどの需要があるとみている。もし(端末の)単価が3万円台になれば、兆単位の市場ができる。パナソニックとしてもそうした大きな市場に向けて取り組みを進めており、具体的なプレゼンテーションをする時期がせまっているのではないか」と答え、同社製のスマートフォンが登場する可能性を示した。
auは2009年夏モデルを5月20日時点で発表していないが、その発表を待たずに新製品発表会が行われたことを受け、auのパナソニック モバイル製端末の展開についての質問も挙がった。石井氏は「提案した商品が採用されるかどうかはKDDI次第であり、夏商戦については見送られた」ことを明かし、「商品の“強さ”が足りなかったと反省している」と話した。また石井氏は、ドコモとソフトバンクが通信方式としてW-CDMAを採用しているのに対し、auではCDMA2000を採用していることに触れ、CDMA2000方式への十分な対応ができなかったことが、今回の見送りにつながったとの考えを示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.