愛すべき賢くなったカーソル、新しい文字に触れるインタフェース──進化した入力環境iPhone OS 3.0がやってきた(1)(2/2 ページ)

» 2009年06月18日 05時19分 公開
[松村太郎,ITmedia]
前のページへ 1|2       

「文字に触る」感覚──入力は至れり尽くせり

 もう1点、iPhoneで不満だったのが、文節を区切った修正や変換に対応していなかったこと。

 iPhone OSが2.1にアップデートされたときに、漢字変換はある程度使いやすくなったが、文節を区切った変換ができなかった。一度に長めの文章を入力してしまうと、うまく変換ができなくて、確定してから修正したり、入力からやり直す必要があった。

 また文字入力にしても、変換を確定する前の文字に入力ミスが見つかった場合、全部消してから打ち直さなければならなかった。ソフトウェアキーボードに慣れれば慣れるほど、調子に乗って1文が長くなってきて、間違えたときのダメージが大きい。この仕様には、何度となくがっかりしてきた。

 iPhone 3.0では、文字に触るユーザーインタフェースを備えることによって、この不満点を改善している。

 文字入力をしているときに文字を打ち間違た場合、未確定の文字列を指で押さえると、虫眼鏡のように文字列とカーソルが拡大される。これでカーソルを動かすと、文字を削除して書き直したり、追加したりする修正が可能だ。

 そして文節を区切って変換するときも、文字修正と同様の動作でカーソルを動かすと、カーソルがある位置までの文字に対する候補を表示してくれる。変換した部分を1つ1つ確定していくこともできる。文節を選ぶとそのつど変換候補が出てくるので、いちいちスペースキーや変換キーを押し直さなくていいのもスマートだ。

 iPhone 3.0にすると、慣れてきて気持ちよくタイピングをしているユーザーは、そのリズムを崩したり、削除して立ち戻ったりせずに適切な漢字変換の結果を得ることが可能になる。小さなことかもしれないが、とても大きな進歩だと思う。

PhotoPhotoPhoto
PhotoPhotoPhoto 文字を入力していて打ち間違えた場合は、未確定の文字列を指で押さえ、文字列を拡大表示させ、カーソルを移動して修正できる。文節を区切って変換するときも、文字修正と同様の動作でカーソルを動かすと、カーソルがある位置までの文字に対する候補を表示してくれる

シェイクでアンドゥ、絵文字変換

 文字入力で気になった点をもう少し紹介しよう。

 まず1つは、意外にも便利なシェイク・アンドゥだ。文字入力や編集をしているときにiPhoneを振ると、直前の動作を取り消したり、取り消した動作をやり直したりするダイアログがすっとスライドインしてくる。そこで取り消したりやり直したりを選べるわけだ。これもシンプルなインタフェースだが、意外に多用してしまう。

PhotoPhoto 文字入力や編集をしているときにiPhoneを振ると、直前の動作を取り消したり、取り消した動作をやり直したりするダイアログがすっとスライドインしてくる

 もう1点は絵文字。iPhone 3.0になっても、依然として絵文字キーボードはSMS/MMSでしか有効にならないが、SMS/MMS編集画面ではひらがなからの絵文字変換ができるようになっている。例えば「くも」「あめ」「はーと」と入力すると、該当する絵文字が変換候補に現れる。

 絵文字の読み仮名について学んでおく必要はあるが、いちいち絵文字キーボードに切り替えなくても入力できるので、SMS/MMSを多用する人にとっては重宝する存在になりそうだ。

PhotoPhoto 絵文字が入れやすくなったのもiPhone 3.0のポイントの1つ。「くもり」「はーと」などの文字に合わせて絵文字が出てくるようになった

愛すべき賢くなったカーソル、新しい文字に触れるインタフェース

 今回、iPhone 3.0で注目すべきポイントは写真や映像関連ではなく、文字に関する点だった。リッチなモバイル・インターネット環境を実現する点が強調されるiPhoneにおいて、テキストの強化はスマートフォンとしての足場を完璧なものにすると同時に、マウスとキーボードを使わないテキストを扱うインタフェースの最適解を求めるものだ。

 文字入力、日本人にとっては漢字変換、そしてカット・コピー&ペーストの操作は非常にシンプルで鮮やかな仕上がりだと感じた。iPhone 3.0に変わって、ちょっとフェードがかかって点滅している文字カーソルは愛すべき存在になったし、コピペ動作などをナビゲートしてくれる賢い存在にもなった。


 今回は、iPhone OS 3.0のファーストインプレッションとして、講演などではあまり詳しく語られてこなかった、文字入力に関する強化点を見てきた。このほかにもアップデートのポイントはまだまだある。日本のiPhoneにとって大きなインパクトになりそうなSMS/MMSや、Macと遜色ないほど強力なSpotlight検索、ボイスメモに関しては、追ってリポートしたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年07月27日 更新
  1. 小型スマホを使っている理由は? 選択肢のなさを嘆く声も:読者アンケート結果発表 (2024年07月26日)
  2. 「ハンディファン」「ネッククーラー」の選び方とやってはいけないこと 炎天下での利用は要注意 (2024年07月23日)
  3. IIJ×OPPO、Xiaomi、モトローラが語るスマホ戦術 おサイフケータイは「永遠の悩み」、IIJmioは「モバイル業界の宝石箱」 (2024年07月26日)
  4. 貼らない保護フィルムケース「スマハラ」、iPhone 15シリーズ向けに発売 丸洗いもOK (2024年07月26日)
  5. スマホの充電でやってはいけないこと 夏に気を付けたいNG行為は? (2024年07月26日)
  6. OPPOがFindシリーズを2024年内に国内発売へ 競合メーカー担当者の前でサプライズ告知 (2024年07月26日)
  7. 約2万円の折りたたみケータイ「Orbic JOURNEY Pro 4G」を試す シンプルで使いやすいがローカライズに課題も (2024年07月27日)
  8. 外出先から自宅のエアコンを遠隔操作、部屋を先に涼しくして“真夏の天国”を作っておく方法 (2024年07月25日)
  9. KDDIは通信障害をどのように検知してインフラを守っているのか ネットワークセンターに潜入 (2024年07月24日)
  10. 中国の“音楽特化スマホ”「MOONDROP MIAD01」を試す 重厚なサウンドに驚き、作り手のエゴを存分に感じた (2024年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー