NTTドコモに聞く、spモードメールとアドレス帳を「クラウド」にする理由キャリアメールのマルチデバイス対応も(2/2 ページ)

» 2012年12月05日 19時30分 公開
[佐野正弘,ITmedia]
前のページへ 1|2       

友達に直接プロフィールの変更通知ができる「ドコモ電話帳」

 一方のドコモ電話帳は、従来端末側で管理していたアドレス帳のデータをクラウドに持ち、クラウド上で電話帳を管理するアプリ。spモードを契約したAndroid 4.0以降の端末に対応し、11月に発売された「Xperia AX SO-01E」から順次対応が進められている。

photo ドコモ電話帳の概要

 スマートコミュニケーションサービス部 コミュニケーションサービス企画担当の河内みずき氏は、電話帳をクラウド化することで、3つのメリットが得られると解説する。1つ目はドコモメールと同様、docomo IDを用いることにより、アドレス帳のデータをWebブラウザ経由で、PCでも閲覧や編集ができること。ちなみにこの機能は、2013年2月から利用可能になる予定だ。2つ目は、機種変更時のアドレス帳データ移行が楽になること。クラウド化することによって、従来は機種変更の際に、microSDや赤外線などを用いて電話帳を移行していた手間を省くことができる。

photo ドコモの河内氏

 そして3つ目は、「電話帳変更お知らせ機能」が利用できることだ。これは、自分のプロフィールを編集してどの項目を“だれに”通知するかを選ぶと、同じくドコモ電話帳を利用しているユーザーに変更通知が届くという機能。通知を受け取った側は、詳細画面を開いて修正したい項目を選び、ボタンを押すだけで自分のアドレス帳の修正が可能になる。従来のようにメールで変更通知を受け取り、それをコピーして貼り付けるなどの手間が必要なくなるという。「開始当初は利用者が少ないことからメリットが少ないが、利用者が増えていくことでメリットが大きくなる」(河内氏)

photophoto アドレス帳に登録しているメンバー間で変更通知が送信できる「電話帳変更お知らせ機能」

 また、あらかじめ各種SNSのアカウントを登録しておくことで、友人のドコモ電話帳に自分の日記などを通知できる「フレンド通知」という機能も用意した。この機能には「SNSの利用者は日本人の3割くらいで、7割くらいは体験していない。そうした人たちにもSNSを知ってもらうきっかけになってもらえれば」(河内氏)という狙いがあるようだ。

クラウド化のメリットをどう訴求していくのか?

 ドコモ電話帳はアカウントを登録した後、新規の場合は30秒程度、件数が多い場合でも数分程度でクラウドと同期し、利用できるようになる。ただし圏外などで同期ができない場合もあるため、その場合は25時間に1回サーバーと通信して、差分があるかをチェックする。利用できる容量は、50Mバイトまたは3000件までだ。

 このドコモ電話帳は、端末側から人為的に削除した連絡先はクラウド側でも削除されてしまうため、端末上にデータを残さず、すべてクラウドのみで管理するという設定も用意されていない。

 「個人情報に相当するデータを預かる上、クラウド上のデータが消失する可能性が全くないわけではない」(河内氏)ことから、必ずしもバックアップ用途に適した仕組みではなく、あくまでユーザーの利便性を高めるためにクラウドを用いている。それゆえバックアップには、「ケータイデータお預かりサービス」や端末のmicroSDなど、専用の仕組みやサービスを利用してほしいとしている。

 ちなみに、スマートフォンとタブレットなど“2台持ち”のユーザーが、双方でアドレス帳を共有しようとした場合はどうなるのだろうか。河内氏によると、ドコモメールと異なりアドレス帳を2台で共有するシーンが想定しにくいことから、アプリとして仕組みを用意する予定はないとしており、一方はWebブラウザから利用してもらう形になるとのこと。マルチデバイス対応については、今後ユーザーニーズを分析した上で、検討したいとしている。

 アドレス帳のクラウドにはさまざまなメリットがある一方で、多くの個人情報を含むことから、クラウドに預けることに抵抗感を示す人も少なからずいる。これに対し河内氏は、「我々としてはクラウドを使ってもらうべく訴求していきたいが、無理やりというわけではない。クラウドとの同期を“オン”にしなくても利用できるが、クラウド化のメリットを理解してもらい、使いたい人からオンにしてもらいたい」と話し、まずはクラウドに対する理解を深めてもらうことが重要との考えを示した。

 また太口氏は、メールやアドレス帳などさまざまなサービスがクラウド化されることで、「他のサービスとの連携がしやすくなり、例えばアドレス帳からメールのアドレスを逆引きするなど、個々のサービスの価値だけでなく、複合的な価値をもたらすこともできる」と話している。ドコモクラウドの各種サービスをドコモメールやドコモ電話帳と連携させることで、よりユーザーの利便性を高めていきたい考えがあるようだ。

 しかしながら、特に最近スマートフォンに買い替えた利用者などは、必ずしもITに明るいとは限らないため、クラウドの概念自体を理解しにくい部分もある。そうした利用者に向けてサービスを提供する上で、河内氏は「iモードの時代に比べると、1つ1つのサービスを認知してもらうのが難しくなっているのは事実。1つのサービスだけをプロモーションしても知ってもらうのは厳しいが、ドコモクラウドのほかのサービスも含め、多方面からクラウド化することの価値を理解してもらえるよう取り組んでいきたい」と、今後の課題であることを示した。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年