スマートフォンは果たして“スマート”になったのか?ITmediaスタッフが選ぶ、2012年の“注目ケータイ&トピック”(ライターせう編)

» 2012年12月19日 20時05分 公開
[Sho INOUE(K-MAX),ITmedia]

 2011年の今ごろ、筆者は“自由と束縛”の両立がスマートフォンの課題だ、ということを書いたような気がする。

 それは、スマートフォン、とりわけAndroidスマートフォンが自由に何でもできるせいで、フィーチャーフォン(ケータイ)が持つ“スマート”さがむしろ失われているのではないか? と思ったからだ。2012年、そのスマートフォンは本当の意味で“スマート”になったのか。そして、ケータイ派である筆者はどういう選択をしたのか。ふりかえってみようと思う。

富士通のAndroidスマートフォンは“進歩”した?

 世の中のスマホシフトに合わせて、当然、仕事もスマートフォンに関するものが中心である。さまざまなメーカー、さまざまな機種を比較的長い時間使っている。個人的には、2011年冬から富士通製のスマートフォンを“あえて”選び続けている。理由は色々あって、それを語るだけでも数ページ分の記事が出来上がってしまう勢いだが、枠も限られているので端的に言うと、同じメーカーを選び続けた方が“進歩”を見極められるだろうと考えているからだ。

 2011年冬モデルの「ARROWS X LTE F-05D」は、バッテリー持ちが致命的だった。11月にはAndroid 4.0へのバージョンアップが提供されたが、動作がものすごく軽快になり安定度も高まった代わりに、さらにバッテリー持ちが致命的になった。半日未満でバッテリーが切れてしまうケースすらある。これでは動作が良くても補助バッテリーが手放せなくて、何だかなぁ、という状態ではある。

 2012年の夏モデルである「ARROWS X F-10D」は、国内メーカー初のクアッドコアCPU搭載というのがウリであった。バッテリー容量も増え、確かにF-05Dよりは使える時間が長くなったのだが、発熱が激しく、それに伴う機能利用制限がすぐにかかってしまって、使いたい時にカメラが使えない――という由々しき問題が発生していた。

 そこで、違うメーカーのスマホをもう1台買おうと思っっていたのだが、急遽「REGZA Phone T-02D」を買うことにした。こちらはF-10Dと比べるとスペック的には控えめで、あまり目立つ機種ではなかったが、F-10Dと同じ容量のバッテリーを搭載していて、電池持ちも比較的良好だ。発熱も激しくない。“普通”に使えて良かった。

 そして、F-10Dの“反省”を踏まえて登場した「ARROWS V F-04E」は、発熱対策を徹底して行い、バッテリー容量もさらに増やしてきた。システムメモリー(RAM)や内蔵ストレージ(ROM)も増量して、より快適に使えるように仕上げてきた。実際、1年前のF-05Dと比べるとバッテリーは充分持つし、約半年前のF-10Dと比べると発熱はかなりのレベルで抑えられている。ようやく“普通”に使えるように“進歩”したのだ。

 これまで、富士通のハイスペックスマートフォンは「確かにハイスペックなのだが、どこかに難がある」機種が多かったが、F-04Eでやっと、ようやく実用的になったと言えるだろう。強いて挙げれば、バッテリー容量が大きい故、充電に時間がかかるようになった点が気になるが、それは他のメーカーも同様に課題だ。Androidスマートフォンは、省電力化は進んだが、より“スマート”に使えるようにするために“スマート”じゃない部分が出てきてしまったのが若干気になる。バッテリー容量に頼らずスタミナが持つように進歩してほしい。

photo F-05D、T-02D、そしてF-04E。使い込むとその進歩は確かに感じられる。F-10Dはどうなったかは……お察し下さい

「touch」で充分、と思っていたのに「5」を買ってしまっていた

 2011年はかなり中途半端なタイミングで「iPhone 4」を買ってしまったため、初めてiPhoneの新モデルを買わない、という事態に陥ってしまった。2012年は「iPhone 5」を買ってみようかな、と思ったのだが、予約に出遅れ、すぐに買えないことが確定してしまった。

 そこで、冷静に考えてみたところ「ムリしてiPhoneじゃなくても、iPod touchを買えばいいんじゃないか?」と思い、まず第5世代の「iPod touch」を購入した。この狙いは当たり、iPhoneと“ほぼ”同じような使い方ができて、ケータイやAndroidスマホと使い分けることで、最強の武器になると感じた。

 しかし、“ほぼ”と言うからには、違う部分がある。その一つが携帯電話ネットワークで通信できるか否か、である。iPod touchは無線LAN(Wi-Fi)で通信できる。普段だったら、自宅のアクセスポイントやAndroidスマートフォンでのテザリング機能で便利に使える。しかし、昨今、公衆無線LANアクセスポイントの“乱立”や、個人所有のポータブルルーターが普及したこともあり、人の多い場所で無線LANでの通信が確立できなかったり、できたとしても非常に不安定だったりすることが相次いだ。iPod touchで充分なはずなのに、無線LANを巡る環境によって、改めて携帯電話ネットワークで通信できるiPhoneの“強み”を痛感するに至ったのだ。

 そんなことから結局、iPhone 4からiPhone 5に機種変更することにした。相変わらず、“無線機”としての性能はほかのスマートフォン・携帯電話の方が良いと感じるが、必要充分な性能は備えていると思う。特に、LTE環境下では、絶対的なユーザーの少なさもあってか、普段から使ってきたドコモの「Xi」より遙かに快適に通信できる。「1年前はXiでもこれぐらい快適だったよなぁ」とか色々思いだしながら使っている。ユーザーが増えてもこの快適さを維持できるかどうかが、ソフトバンクモバイルの腕の見せ所だろう。

 それにしても、段々巨大化していくスマートフォンの中で、iPhone 5の“薄さ”は非常に印象的だ。薄いからと言って、LTE対応のAndroidスマートフォンと比べてバッテリー持ちが良くないか、というとそうでもない。この辺はハード・ソフトともに1社が掌握しているAppleの強みだろう。ただし、この強みもAndroidスマートフォンの洗練によってそこまで強烈では無くなっている。2013年、Appleがどのようなサプライズを与えることができるか、注目したい。

photo iPod touch(左)を買ったことによって、改めてiPhone 5(右)のメリットを実感できた

一方、ケータイは“進歩”しなくなる…?

 2011年、メインの携帯電話機として富士通製の「F-02D」を購入した。2011年の本企画でも書いたとおり、CPUを始めとして、プラットフォームが刷新されたiモードケータイだ。いくつかの新サービスに対応し、iアプリも機能拡充された。

 スマートフォン普及が進んだ結果、iモードケータイは1年ごとにモデルチェンジをする方針に変わり、今冬、1年ぶりに新しいiモードケータイが投入された。密かに、“どんな新機能が搭載されるのかなー”と期待していたのだが、蓋を開けてみると、昨冬モデルをベースに、デザインをリファインし、ドコモ謹製のFacebookアプリを追加プリインストールし、といった感じのモデルが並ぶに留まった。新機能は当然追加なし。スペックも据え置き。ケータイが遂に“進歩”しなくなったのだ。個人的にはとてもガッカリなできごとだった。

 あまりにショックだったので、F-02Dを有償の外装交換修理(5145円)に出して、“続投”させることにした。自分のケータイライフで、同じ機種を1年以上に渡りメインとして使うのは異例中の異例だ。

 「だったらハイスペックなスマホを買えばいいじゃん」と思う方もいるかもしれないが、やはり、ケータイは“電話”としては非常に重宝する。余計な通信を勝手にすることはほとんど無いので、スマートフォンより充電頻度は少なくて済むし、何より片手で操作しやすい。折りたたみボディなので、耳に挟んでメモを取りながら電話、ということも容易にできる。デジタルなものが好きだけど、行動はアナログ寄りな筆者にはもってこいの存在であることは変わりない。

 ハイスペックな機能を求めるならスマートフォンで――、というメッセージなのだろうが、「電話」であることを第一義とするならば、せめて通話品質・機能を更に突き詰め進化させたケータイはあっても良い。ケータイにこそ、進歩を――そう思わずにはいられない。

photo F-02Dは外装交換の上、現役続行です

結局は“適材適所”です

 自由さを求めるならスマートフォン、束縛を求めるならケータイ――この構図は今年も完全に変わることは無かったように思う。折り合いという意味では、昨年よりも進歩しているが、まだまだ、乗り越えるべき課題は残っている。

 現状、自由も束縛もと、両方求めるとするならば、ケータイとスマホを使い分けざるを得ない状況に変わりがない。ということで、現在は、ケータイ、Android、iPhoneと少なくとも3台の端末を持ち歩く状態だ。持ち歩き的な意味では“スマート”からはほど遠いが、使い勝手的には、この組み合わせがより適材適所な使い方ができて“スマート”だと感じる。いつ、1台だけで満足に使える日が来るのだろうか。来年こそは、来年こそは……

photo 3台持ち歩いた方がスマート、という状況を早く卒業したい……

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