NTTドコモは、6月18日に株主総会を行い、同社代表取締役社長の加藤薫氏が、2012年度の事業業績と2013年度の事業展開について説明した。また、株主との質疑と応答において、2013年夏モデル“ツートップ”選定理由や2013年冬モデルにおけるバッテリー駆動時間の目標などについて答えている。
加藤氏は、2012年度の事業業績として、ドコモクラウドのdマーケットやインテリジェントサービス、ストレージサービスなどの新しい取り組みや、LTE回線を利用する「Xi」サービスの拡充を取り上げた。Xiのエリア拡充では、全国地下鉄の412駅500駅間、新幹線全97駅と53の空港でXiが利用できることを紹介。また、災害対策でも通信設備を九州と大阪に分散し、Xi対応移動基地局車両を導入したことを挙げた。さらに、研究開発では、LTE-Advancedや、本体を握って操作する“Grip UI”の取り組みを紹介している。
2013年度事業運営方針では、「スマートライフのパートナーへ」という指針を掲げ、モバイル領域の事業における競争力を強化するために、端末ではスマートフォンへのシフトを進め、ネットワークではXi品質の強化を図る。一方で、新領域への取り組みも加速するために、ドコモクラウドで提供するサービスパックを導入し、dマーケットを拡充すると述べた。
端末においては、ユーザーが「分かりやすく選びやすい」ラインアップにするため、ドコモがユーザーに勧める機種を明確化することで、2013年度におけるスマートフォン販売台数は1600万台を目指すとしている。また、この方針に従って2013年夏モデルでは、Xperia A SO-04EとGALAXY S4 SC-04Eを“ツートップ”として訴求しているが、販売実績として、Xperia A SO-04Eは64万台、GALAXY S4 SC-04Eは32万台に達したことを明らかにした。
新領域への取り組みでは、「メディア・コンテンツ」「コマース」「M2M」「環境・エコロジー」「金融・決済」「メディカル・ヘルスケア」「サービス基盤」「安心・安全」の重点8事業を取り上げ、それぞれの事業で、外部企業との協業を図っていくことを紹介した。また、海外でのビジネス展開でも、従来のインフラ事業からデジタルコンテンツの配信やサービスプラットフォームへの展開にシフトすると語っている。
加藤氏は、以上の取り組みによって、2013年度の新領域事業の収益で5350億円を目指すほか、2015年度では1兆円を目指すとした。なお、NTTドコモ全体の営業収益では、2013年度に4兆6400億円と微増となっているが、加藤氏は「ほぼ横ばいだが、(業績回復にむけた)反転への礎としたい」と株主へ理解を求めた。
加藤氏により事業説明の後は、株主からの質問と要望にNTTドコモが回答した。
スマートフォンにおけるバッテリー駆動時間が短いという指摘については、バッテリー駆動時間はユーザーの要望で最も多く、ディスプレイやプロセッサーの省電力を進めて改善しており、2013年夏モデルでは、すべての製品で45時間以上のバッテリー駆動を実現したことを紹介した。その上で、2013年冬モデルでは、3日間のバッテリー駆動時間を目指して開発を進めていることを明らかにした。
また、2013年夏モデルで訴求する“ツートップ”の選考理由や、それ以外の国内メーカーに対する扱いの質問には、ツートップモデルの選考において、日本メーカーも海外メーカーも問わないのがドコモの原則であると説明した上で、メーカーを選別するのではなく、ユーザーに受け入れてもらえる“商品力”の高いモデルの提案を期待していることを強調した。
2012年度の営業利益が目標を下回った理由に関する問いでは、競争の激化に対抗するために行った長期利用者向けの優遇割引や、家族セット割対策の費用が増大したことにあわせて、2012年10月のiPhone 5の登場に対抗するための費用も理由として挙げている。
なお、フィーチャーホンで利用できた「2 in 1」サービスをスマートフォンでも利用したいという要望が出たが、OSのAndroidで複数の電話番号やメールアドレスを扱うことが困難なため、現在のところ、スマートフォンで利用できる目処が立っていないと回答している。
また、ハンディ割引において、聴覚障害者向けを想定したプランを望む意見が出たが、「視覚障害者には目の代わりに使ってもらえるように、らくらくホンでは、読み上げ機能を用意している」と視覚障害者のメリットを繰り返して説明したものの、聴覚障害者を想定したハンディ割引については、「これから検討していく」と答えるにとどまった。
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