Xperia Z1やGALAXY Note 3でKDDIと横並びになってしまったドコモ。ディスプレイやバッテリーといった機能に差分はあるが、「AQUOS PHONE ZETA SH-01F」や「ARROWS NX F-01F」も、3社が持つブランドだ。一方で「Xperia Z1 f SO-02F」や「GALAXY J SC-02F」といった端末は、“ドコモだけ”にしかない。KDDIの田中氏と表現の仕方は異なるが、ドコモの代表取締役社長 加藤薫氏も「ドコモにとっては全部が顔」と、幅広いラインアップの中から選べる重要性を強調しながら次のように語る。
「ある機種だけという方は少ない。こういうものが欲しい、今まで使っていたものとの連続性がいるという方もいる。一定数のユーザーがいる以上、選択のバラエティというのは必要」
このようなラインアップをそろえながらも、AndroidはXperia Z1 f、AQUOS PHONE ZETA、ARROWS NXを「おススメ3機種」として、夏モデルのツートップのように価格やプロモーションで優劣をつけて展開する。ただし、加藤氏が「販売価格はありていに言うと、1万円から1万5000円、2万円の間で展開していきたい。その価格は簡単には出てこないもの」と言うように、5000円台の実質価格がつけられたXperia Aほどの大幅値引きにはならない模様だ。
一方で、ドコモ関係者によると、全機種ともMNPなら実質価格0円に近くなるという。すでにドコモオンラインショップで予約開始されている機種を見ても分かるが、おススメ3機種に入っていないXperia Z1やGALAXY Note 3に関しても、MNPでは月々サポートが大幅に増額され、実質価格は0円になる。ことMNPに関しては、ツートップやスリートップどころではなく、ディフェンダーやキーパーまでもが敵陣ゴールに攻め込む布陣を引いているようだ。
端末ラインアップと同じか、それ以上にインパクトが大きかったのは、ドコモの「キャリアフリー」宣言だ。かねてから進めていた「dビデオ」「dアニメ」「dヒッツ」を初めとする「dマーケット」のサービスを、順次他キャリアにも開放していく。すでに「dゲーム」は他社ユーザーも利用できるが、今後は、ほかのサービスでも「docomo ID」でログイン可能になる。つまり、認証の方式を通信回線にひも付いたものから、インターネットで一般的なID、パスワードに変えていくということだ。ドコモのサービスには賛否両論あるが、中でもdビデオは460万、dアニメは100万を超えるユーザーを獲得しており、コンテンツの充実度に対する評価も高い。
また、dマーケットの新たなサービスとして、買収したマガシークと一緒に「d fashion」をオープンする。元々ファッション分野に強かった会社が運営しているだけに、品ぞろえも充実している。ファッションはAmazonや楽天がやや手薄で、国内では「ZOZOTOWN」のシェアが高い分野だが、「d fashion」も「品ぞろえも競合に比べてそん色ない」(担当者)という。他キャリアのユーザーを上手に取り込めれば、ドコモの成長の源泉にもなりそうだ。また、JTBとタッグを組んで始める「dトラベル」や、子ども向けコンテンツを充実させた「dキッズ」も、他社にはない取り組みで面白い。
マルチキャリア展開を打ち出したという点では、3M戦略を掲げていたKDDIより一歩先を行った印象を受ける。KDDIはマルチユース、マルチネットワーク、マルチデバイスの3つを掲げているが、これらのサービスはあくまでKDDIとの契約にひも付いているものがまだまだ多い。ドコモがここに先がけ、4つ目のMである「マルチキャリア」を打ち出したことからも、dマーケットにかける意気込みが見て取れる。
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