KDDIは、2月13日に電子マネーカード構想「au WALLET」を発表した。運用開始は2014年5月を予定している。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、au WALLETの流通規模について、「2016年度までに1兆円」を目標に掲げている。
au WALLETは、au IDと連動してユーザー単位で管理することで、KDDIがauサービスで提供しているコンテンツサービスの購入代、オンラインショップの支払い手段として利用できるほか、“物理的なカード”を発行して、これをサーバ管理型Webマネー「WebMoney」とクレジットカードのMasterCardを連携したチャージ対応のプリペイドクレジットカードとしても利用する予定だ(KDDIの関係者によると、au WALEETはMasterCardプリペイドのシステムを活用しており、支払の最終確認先としてWebMoneyを利用しているという)。
なお、au WALLETの申し込みとカード発行に必要な料金やクレジットカードの年間会員料に相当する料金が発生するかについては、現時点では明らかにしていない。そのほかの詳細についても、5月の運用開始直前に公開するとKDDIは説明している。
au WALLETカードは事前に利用金額をチャージしてから利用する。KDDIではプリペイドとすることで未成年者でも利用可能とする予定だ。電子決済では、WebMoney、また、MasterCardと同じ利用手順となるが、リアル店舗における支払いでは、au WALLETカードをショップに設置している磁気式のMasterCard対応カードリーダーで「スライドさせて」利用するようになる。利用できるのはMaterCard加盟店舗で、日本だけでなく海外の店舗も対象になる。
KDDIでは、au WALLETのサービス開始にあわせて、新しいポイントプログラム「au WALLET ポイントプログラム」も開始する予定だ。このポイントプログラムでは、au WALLETに加盟するオンラインショップとリアル店舗でau WALLETを利用するたびにポイントがたまる。また、auの月額使用料や通信料でも毎月ポイントを付与する。ポイントは、auのオンラインショップでの購入代金や、これまでポイントでできなかった通信料金の支払いとして利用できる。また、付与するポイントが通常の加盟店より多くなるau WALLET特約店も登場する予定だ。
KDDIでは、スマートフォン用のau WALLETアプリを提供して、電子マネーの残高やたまったポイントの確認をできるようにする。ほかにも、au WALLETカードで特典がつくショップの情報や、位置情報や天気、時間、季節、購入履歴、商品情報、特売情報などからユーザーに勧めたいショップ情報を提供する機能も導入する。au WALLETの追加チャージもアプリでできるが、そのほかにもauショップで現金を支払う方法やauかんたん決済、クレジットカードからのオートチャージに対応する。
KDDI新規事業統括本部新規ビジネス推進本部事業開発部長の石月貴史氏によると、au WALLETはMasterCardプリペイドカードのインフラを利用しているので、MasterCardに加盟している場合は店舗側でau WALLETを利用するために新たにデバイスを導入する必要はないと説明している。
デバイス組み込みの電子マネーではなく、物理的に存在するカードという形態で決済方法を提供することについては、田中氏が「ユーザーの心理は、物理的にあるカードを使って支払いたいという気持ちが強い。そして、スマートフォンとカードを分けたいという気持ちも強い。ショップもカードを発効して使ってもらうほうが分かりやすい」というauスマートパスのユーザーフィードバックで得た情報を反映した考えを示した。
au WALLET構想は、現在KDDIが進めている「3M戦略」の第3弾として発表しているが、その意図については、「au IDをキーファクターにして、ネットとリアルの融合を本格化して新たな成長ステージへ進むため、O2O(Online to Offline)事業としてau IDにリアル世界における認証と決済機能を追加した」と語っている。
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