2013年夏にブランド名を“X”から“NX”に切り替えて以来、安定性や使いやすさを重視してきたNTTドコモ向けフラグシップモデル「ARROWS」。NXの登場から1周年を飾る「ARROWS NX F-05F」では、使いやすさの新機軸として、「思いのままに文字入力」できるという、富士通・ジャストシステム共同開発の文字入力システム「Super ATOK ULTIAS」を加えた。
「ARROWS X LTE F-05D」以来、ドコモ向けフラグシップARROWSを使い続けてきた筆者は、発売に先駆けてF-05Fの実機を使うチャンスを得た。本稿では、その使い勝手を検証していく。
2013年冬モデルの「ARROWS NX F-01F」では、大画面と持ちやすさの両立を図るべく、ラウンドフォルムボディを採用した。F-05Fでも引き続きラウンドフォルムを採用し、高いホールド感を確保している。ボディの下部は「U-Frame」と呼ばれるU字形状になっており、手の腹でキープする持ち方をしても違和感は全くない。色味に関しては、F-01Fでは光沢加工だったものがF-05Fではつや消し加工になっていて、指紋が目立ちにくくなった。
F-01Fとの一番大きな違いは、ボディ側面に「サイドパーツ」をあしらったことだ。ボディカラーによって異なる色合い・模様を持つサイドパーツは、デザイン上のアクセントになっている。
先述の通り、F-05Fでは新しい文字入力システム「Super ATOK ULTIAS」(スーパーエイトックウルティアス※以下「ULTIAS」)を採用している。従来も、ATOK for Androidをベースにした「NX!input」を採用していたが、ULTIASでは、ATOK for Androidの上位版に当たる「ATOK Passport Pro」をベースにしており、従来と比較してさまざまな機能強化が行われている。
例えば、文字変換エンジンはPC版ATOKと同等のものになっている。誤変換・誤用した際の訂正機能や同音異義語・同訓異字の用法確認など、通常のATOK for Androidにはない強力な機能が搭載されている。
最新の語彙(ごい)をオンラインで取得できる「ATOK Expressキーワード」にも対応している。JUSTアカウントを取得の上、サービスを有効にすれば、流行語が常に変換候補に出てくるようになる。受信キーワードのジャンルは自分の好みのものを選べる。それなりにデータ量があるため、キーワード受信間隔を変えたり、Wi-Fi(無線LAN)接続中のみデータを受信すように設定したりできる。
ここまでは、ATOK Passport Proでも搭載されている機能だが、ULTIAS固有の機能もある。地名を入力するとその前に来る都道府県名、市区町村名、字名などを補ってくれる機能や、郵便番号から地名を変換する機能はその中でも特に役に立つだろう。
フィーチャーフォンや他メーカーのスマートフォンから乗り換えたユーザーに便利な「キーボードスタイル」の選択機能も付いている。標準状態では、F-01FまでのNX!inputと同じ配列のキーボードになっているが、そのほかに6種類の配列スタイルを選択できる。富士通のiモードケータイに慣れ親しんでいた人は、「STYLE-FP」を選べば、キー配列を含めて違和感なく文字入力できるだろう。そのほか、国内で主要な5つのスマートフォンブランドの標準キーボードと同配列のスタイルも用意されている。ただし、これらのスタイルを適用すると、キーボードテーマが設定できないので注意が必要だ。
フリック入力に不慣れな人向けに「フリック学習モード」も搭載している。タッチパネルのスマートフォンで文字を入力する場合、ボタンを連打するトグル入力よりも、フリック入力した方がすばやく入力できる傾向にある。しかし、フリック入力を苦手にしているため、いまだにトグル入力やQWERTYキーボードでの入力をしているユーザーも少なくない。このモードを利用すれば、ゲーム感覚でフリック入力を練習できる。
変換優先候補を設定できるのもULTIAS固有の機能だ。プライベートユースでは話し言葉を優先する設定にすればコミュニケーションがはかどるはずだ。話し言葉は、方言にも対応している。方言は、文字だけのコミュニケーションに“柔らかさ”を作る上で大変役に立つと考えている。筆者は標準語圏で生まれ育ったので、正直、使う機会に乏しいのだが、方言を日常会話で多用する地域にお住まいの方はぜひ試してほしい。
文字入力については、ULTIASによる改善が大きいが、それ以外の要素も細かく改良されている。例えば、文字列を長押しすることで現れる文字ツール。ARROWSならではの「スライドイン」機能には、新たに「なぞってコピー」が追加された。表示中の画面の文字をなぞって選択することで、画像中の文字列も含めてコピーができる。背景や文字フォント形状によって認識精度が左右されるものの、使いようによっては大変便利に使えるだろう。
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