NTTドコモは、2014年6月に発表した「ポータブルSIM」を、CEATEC JAPAN 2014のブースで紹介している。
ポータブルSIMにSIMカードを入れてスマートフォンやタブレットにかざすと、NFCとBluetoothで回線認証が行われ、SIMカードの入っていないスマートフォンやタブレットで電話やデータ通信が可能になる。NFCはBluetoothでペアリングする際のスイッチとしての役割を果たす。NFCを搭載していないスマートフォンでも、手動でBluetoothのペアリング設定をすればポータブルSIMを利用できる。
ポータブルSIMを活用することで、スマホやタブレットのSIMカードを抜き差しすることなく、1つの電話番号を複数の端末で切り替えて使えるようになる。例えば、自宅ではタブレット、外出先ではスマートフォンという具合に、シーンに応じて通信する端末を切り替えられる。ただし回線認証できるのは1台のみなので、例えばデータ通信のみを契約したタブレットに切り替えると、電話を受けられなくなる。
認証させる端末ごとに壁紙を変更したり、使用できるアプリを制限したりできるのも特徴の1つ。例えば家族で1枚のSIMカードを共用し、子供が使用するときはアニメの壁紙にし、特定のアプリを使わせないように……といったことができる。
ブースでは、6月に発表したポータブルSIMの試作機を使い、複数のスマートフォンで回線認証をするデモを行っている。ポータブルSIMを利用するには「モデムチップをカスタマイズする必要がある」(ドコモ担当者)ため、現行機種では利用できない。ブースでは「Xperia Z2 SO-03F」が使われていたが、今回のデモで使うための特別仕様となっている。
もう1つ、ポータブルSIMをNFC搭載デバイスにかざすと、ID認証が可能になる。例えばPC(に接続したNFCのリーダーライター)にポータブルSIMをかざすと、サイトへのログインが可能になる。これは、SIMカードのセキュリティ領域にIDやパスワードなどの情報を記録することで実現している。
デモで使われていたポータブルSIMは、四角い形状のデバイスだったが、今後はさらなる小型化や薄型化に取り組み、ウェアラブル、カード型、コイン型といったさまざまな形での製品化を視野に入れている。ブースで公開しているデモムービーでは、リストバンド型のポータブルSIMを装着した女性が、スマートフォンにかざして回線認証して電話に出る、会社のPCにログインする、自宅のカギとして使用する……などのシーンが紹介されていた。
ブースではカード型やコイン型など、身近なアイテムと連携させたポータブルSIMのコンセプトモデルを参考展示している。ポータブルSIMの商用化やその時期は未定だが、近い将来の登場に期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.