これからの活動量計のスタンダードになると思われるのが心拍センサーの搭載だ。実際測定しているのは手首の脈拍だが、不整脈や脈欠損がない限り心拍数と脈拍数はとほぼ同じものだと認識されている。すでにスマートウォッチにはこの心拍センサーを搭載したモデルがいくつか登場しているが、手動で測定モードに切り換えないと利用できないものがほとんど。また、測定しても数値を表示するだけにとどまっている。
その中で、LEDによる独自技術の高精度脈拍センサーを搭載し、約36時間もの連続測定を可能にしたのが、エプソンの「PULSENSE PS-500B」(以下、PULSENSE)である。
リアルタイムで脈拍数がチェックでき、LEDやバイブレーションによる運動強度の通知、脂肪燃焼ゾーンの可視化、睡眠状況の把握、心の状態の分析などに活用できる。加速度センサーと脈拍センサーの両方が使われるため精度が高く、活動量の測定からトレーニングサポートまで幅広く網羅できるのが特徴だ。
リストバンド型の中では珍しくモノクロ液晶を搭載しており、脈拍数、日時、運動強度を1画面内にまとめて表示できるほか、側面のボタンを押すことで、消費カロリー、移動距離、歩数もアプリを起動せずに確認できる。メールやスケジュール、着信の通知機能も備えるため、スマートウォッチ的な使い方も可能。眠りの浅いタイミングで起こしてくれるアラーム機能も用意されている。
現在の脈拍数や運動強度を、時計を見るような感覚で確かめられるのは大変便利。驚いた時や緊張した時はもちろん、意外なシーンで自分が緊張していることが分かることもあるのが面白い。
運動強度は、本体に搭載された5つのLEDで見分けられる。ダイエット目的なら1〜3つ、持久力向上なら4つ、筋力・基礎代謝量向上、運動能力向上を狙うなら5つなど、LEDが点灯するように体を動かすことで、目的にあったトレーニングが可能。つまり、通勤時の歩行でも、意識して歩けばエクササイズに変えられるのだ。指定ゾーンに到達した時に通知を送ることもできるので、最適なゾーンで効果的な運動が可能。
睡眠測定時のモード切り替えは不要。着けたまま過ごすだけで寝ているか活動しているかを自動的に判定してくれるので、モードの切り替えが面倒だと思っている人にはちょうどいい。
アプリ「PULSENSE View」を起動するとスマートフォンと同期する。起動時の画面にはまず「リアルタイムHR」が表示され、自分の脈拍数をアプリからでもモニターできる。運動強度の変化を伴ったログも残せるため、エクササイズ時のペース維持にも使える。
チェックできるのはエクササイズ(運動強度別の時間)、歩数、距離、こころバランス、睡眠、カロリーの5項目。イベントマーカーという脈拍の変化と場所を連動させた地図も見ることができる。
PULSENSE Viewの特徴は、活動データと脈拍の変化を合わせて確認できる点だ。活動的なときは脈拍数が上がるというのは想像しやすいが、睡眠グラフでも眠りの深さと脈拍数を表示するため、眠りの深さの変化に脈拍数が連動していることが分かって面白い。就寝時の脈拍数を把握することで、体調や精神状態の管理に役立てられるだろう。
充電は専用の充電器に挟み込むようにして行う。1回のフル充電で約36時間の連続使用が可能だが、丸2日持つわけではない。1日逃しても大丈夫だと油断していると、翌日途中で事切れることになる。毎日充電する方がいいだろう。
気になるのは、同期に時間がかかって失敗が多い点。今のところ過去の履歴を簡単に振り返るためのユーザーインタフェースもないため、早急な改善を望みたいところだ。
活動量計といえば運動や生活習慣の改善目的のものがほとんどだが、ライフログという切り口での利用ができるのがソニーモバイルコミュニケーションズの「SmartBand Talk SWR30」(以下、SmartBand Talk)だ。
約1.4型の曲面型電子ペーパーを搭載しており、時間や活動量などの情報を常に表示できる。バッテリーの持ちは約3日間とPULSENSEに続いて短いが、IP68相当の水没も可能な防水/防塵(じん)性能や、ハンズフリー通話とボイスコマンド機能、地図上に行動ログを残せるといったライフログ機能など、ほかの端末にはない機能が多数備わっている。充電はUSBケーブルで行う。
SmartBand Talkの利用には、機能を管理する「SmartBand Talk SWR30」と、測定データを見るための「Lifelog」というの2つのアプリが必要となる。端末はAndroid 4.4以降、Bluetooth4.0をサポートした端末であれば、同社のXperiaに限らず利用できる。
バンドのサイズはS、Lの2種類で、いずれもパッケージに同梱されている。バンドの根元にある固定ピンを外せば、サイズや気分に合わせて交換できる(交換用のリストバンドは別売り)。加速度センサーと高度センサーを搭載しており、歩数、消費カロリー、移動距離、活動時間、睡眠の測定が可能。睡眠の記録にモード切替は不要だ。
これらをLifelogと同期することで、読書、動画や音楽再生、ゲーム、写真撮影といったスマートフォンの利用履歴や、天気などの情報と共にユーザの1日としてまとめられ、アニメーションとして再生することができる。1日の行動も地図上にルートとして記録できるので、いつどこで何をしていたか、自分が何に時間を費やしているかを可視化できるのだ。
活動記録も見やすく、ダッシュボード内の項目をタップすれば、活動の詳細を日、週、月、年単位で確認できる。今のところ食事や体重の管理機能は備えていないが、写真を撮ると「カメラ/アルバム」にまとめられるため、写真撮影だけでも食事の管理はできそうだ。
専用アプリは、好きなものをインストールしておくと機能キーで呼び出せる。ライフブックマーク、ボイスコマンド、カレンダー、世界時計、スマートカメラ、ボイスノート、天気ウィジェット、メディアプレーヤー、携帯電話の検索機能といったものが公開されており、いずれも「Google Play」から入手可能だ。
中でもライフブックマークと携帯電話の検索機能はおすすめ。ライフブックマークは印象的な場面を数秒間の音声で記録できるというもので、お店の名前や偶然出会った人など、ちょっとしたメモ代わりにも使える。携帯電話の検索機能は、スマートフォンが見当たらなくなった時に起動すると、スマートフォンが着信音で居場所を知らせてくれる。いずれもかなり重宝するのでぜひ活用したい。
現在デバイス内のアプリは機能キーで1方向にしか切り換えられないため、あまりたくさん入れるとSmartBand Talkのホーム画面になかなか戻れない、目的のアプリをすぐ表示できないという問題も出てくる。しかし、好きなアプリを入れることで単なる活動量計では終わらない便利な存在にできるはずだ。飽きっぽい人でも楽しみながら使い続けられるのではないだろうか。
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