“ガラケー”ではなく“ガラホ”もちょっと違う、新しい携帯電話です――シャープが「AQUOS K」を開発した理由開発陣に聞く(2/3 ページ)

» 2015年02月24日 13時25分 公開
[房野麻子ITmedia]

「タッチクルーザーEX」を搭載した理由

濱田氏 操作は基本的にテンキーと十字キーで行っていただくんですが、利便性を高めるために「タッチクルーザーEX」を搭載しています。ノートPCのタッチパッド感覚で使える静電センサーになります。例えば写真を表示しているときに、キーボード上でピンチアウト/インすると写真が拡大縮小し、タッチしたままにするとポインタが変わってスクロールモードになります。タッチ、ロングタッチ、スライド、ピンチイン/アウトで操作できます。

photo タッチパネル感覚で利用できる「タッチクルーザーEX」

―― なぜタッチパネルを採用しなかったかのでしょうか。

濱田氏 開発当初は私たちも検討しました。しかし、フィーチャーフォンユーザーは片手で文字入力したり、十字キーで操作したりします。タッチパネルにすると画面に触れるときに持ち替えたり、両手を使ったりして操作しなくてはなりません。片手操作にこだわったので、タッチクルーザーEXを搭載しました。

―― 過去に、タッチクルーザーを搭載したモデルがありましたが、そのときよりも指を動かす場所が広くなっていますね。

濱田氏 SH904iやSH905iでは、十字キー上部のスペースで操作しました。AQUOS Kも当初は、十字キー周りだけとかテンキー部分だけとか、下の方がいいんじゃないかとか、いろんな意見が出ました。最終的に、十字キーの上からダイヤルキーの「*」「0」「#」の下までセンサーを搭載しています。今回搭載したqHDディスプレイのアスペクト比は16:9ですが、画面をスクロールして動かしたときに同じ移動感覚の方がいいだろうということで、ほぼ同じアスペクト比になるようにしました。

―― タッチクルーザーのセンサーなどは、どのような構造になっているんですか。

濱田氏 基板の上に静電シートを実装し、その上に白いフィルムを貼り付けています。その白いフィルムはクリック感を持たせなくてはいけないので、キー部分にドームを入れてあります。通常ですと、押したときにそれが分かるように、そのドームの中にハードスイッチを入れているんですが、今回は入れていません。というのも、金属物を中に入れるとその影響で静電センサーが誤動作する可能性があるからです。AQUOS Kでは、キーを押すことでドームが変形し、この変化量をセンサーで感知しています。

西郷氏 文字入力のときは垂直にドームがへこみ、なでたりスライドしたりしたときは、指が移動していることを、静電センサーが感知しています。

―― タッチクルーザーEXを搭載しないという考え方はありませんでしたか。

西郷氏 当然、ありました。搭載したのは、ブラウザを2つ搭載することをやめたから、という理由が大きいです。従来であれば、EZweb用のブラウザとPCサイトビューアの2つが搭載されていますが、見るサイトによってユーザーがブラウザを選ぶことになります。分かりにくく操作性も異なり、ユーザーに不便を強いているところがあります。

 フィーチャーフォン向けに開発したといいつつも、進化点はしっかり伝えたいという気持ちがありましたので、AQUOS Kでは、いかにしてオープンサイト閲覧のハードルを下げるブラウザを提供するかを重視しました。それには、このタッチクルーザーEXは外せないポイントだったので、開発当初から意識して取り組んできました。

 隠れた狙いはLINEです。弊社としては、LINEありきの姿勢で取り組んでいたところもあり、タッチ操作ありきのLINEで、その操作性を損なわないようにという意味もあります。

“着せ替え”のニーズに対応したアプリやアイテムを用意

―― LINEアプリもタッチクルーザーEXに対応しているんですね。アプリはプリセットされますか、それともauスマートパスからダウンロードするのでしょうか。

西郷氏 端末にはダウンローダーを用意し、弊社のサポートサイト「SHSHOW」からダウンロードしていただきます。

―― ダウンローダーを使ってサードパーティのアプリを追加することもできるのでしょうか。

西郷氏 サードパーティのアプリをダウンロードさせることはしていません。我々はマーケットを開きたいわけではなくて、端末の利便性を高めるためのサービスを行いたい。今回はLINEのコミュニケーション力を端末のバリューにしたいという意図がありましたので、アプリを用意しています。もう1点、従来のフィーチャーフォンで大きな特徴であった、壁紙やアイコンなどの着せ替えや、天気やニュースを配信するためのホームアプリ、きせかえホームを用意しています。この2種類をSHSHOWからダウンロードしていただく形です。

―― EZweb非対応ということを、ケータイユーザーがどう捉えるかが気になります。KDDIはauスマートパスで代用してもらうという感じのことをおっしゃっていましたが。

西郷氏 やはりブラウザを2つ搭載するデメリットが大きいと判断しました。KDDIさんが何も対応しないというなら話は別なんですが、この製品に向けたサイトを作成してくれると分かっていましたので、ブラウザは1つにしました。

河内氏 KDDIさんのauスマートパスでは、将来的に50種類くらいのアプリを用意していこうという話でしたが、我々がユーザーサポートの視点からアプリを用意したのは着せ替えニーズが高かったからです。初期状態の待受画面はGoogleの検索窓とカレンダーですが、我々が用意したホームアプリに切り替えていただくと、壁紙を含めたメニューの着せ替えができます。

―― ケータイ係長は復活しませんか。とても愛用していたのですが。

河内氏 それはありませんが(笑)、キャラクター系の着せ替えもあります。もちろん、きれいな景色やペットの画像も用意します。あとは情報ですね。ニュースを見たいというニーズは当然あると思うので、「情報ライブ待受」というアプリを弊社の方で開発しています。それほど深い情報ではありませんが、日々のニュース、天気予報、占いなどを待受画面上で出せるユーティリティ系のアプリです。

濱田氏 アプリ側で画面のイメージを変える着せ替えに加え、外観の着せ替えも用意しました。背面に使う「着せかえシール」と底面に使う「着せかえカバー」で、au +1 collectionで購入できます。また、オプションで卓上ホルダも用意しています。

photophoto au +1 collectionで販売されている着せかえシール(写真=左)と着せかえカバー(写真=右)

ディスプレイやカメラには最新技術を採用

西郷氏 フィーチャーフォンとしての高い基本性能をしっかり実現して、新しい体験をしていただきたいので、例えばディスプレイには色鮮やかな表示を実現する「PureLED」を採用した3.4インチの高精細なqHD(540×960ピクセル)液晶を搭載しています。

 我々は当然、スマホの事業を継続していて、むしろそちらが主流となっていますので、シャープのスマホとしてイメージが立っているものを取り込んでいきたいと思いました。1310万画素のカメラには、すでにスマホでは提供している、撮りたいものに合わせて最適な構図がアドバイスされる「フレーミングアドバイザー」も搭載しています。従来のフィーチャーフォンはセンターフォーカスですが、タッチクルーザーEXを採用したことでタッチしたところにフォーカスを当て、それに応じてアドバイスを受けていただけます。また「リアルタイムHDR」や「NightCatch」で明るくきれいな写真が簡単に撮れますし、「翻訳ファインダー」で英語をリアルタイムに翻訳できます。スマホで我々が取り組んできた最新技術を、フィーチャーフォンの中に取り込んでいます。

photo AQUOS Kと、2011年1月にKDDIから発売された“最新の”フィーチャーフォン「SH011」に、同じ壁紙を設定して液晶画面を比較。色合いがまったく異なり鮮やかさの違いが歴然だ

西郷氏 フィーチャーフォンといえば、タブレットとの2台持ちが昨今話題になっています。タブレットは多くがWi-Fiモデルで、通話用にフィーチャーフォンを持ち、中にはモバイルWi-Fiルーターを持っている方もいらっしゃいます。AQUOS Kはせっかくの4G LTEケータイですし、ユーザーさんに新しい体験を提供するいうことで、テザリングに対応しています。ダイヤルキーの下に専用のハードキーがあり、テザリングのオン/オフができます。

photo 専用キーを搭載し、テザリングのオン/オフがワンタッチで可能。短押しするとテザリングのメニューが表示され、長押しするとすぐにテザリングを開始できる

西郷氏 タブレットとの2台持ちという利用シーンを想定し、利便性を高めるものとして「PASSNOW」という連携アプリを用意しました。フィーチャーフォンとAndroidタブレットをペアリングすることで、着信通知やデータ転送などの連携が可能です。例えば、フィーチャーフォンはカバンにしまっておいて、タブレットの方でテザリングのオン/オフをすることもできます。至るところに、新しい体験、新しい提案を詰め込んでいます。

―― PASSNOWはAQUOS PAD以外のAndroidタブレットでも使えますか。

西郷氏 Android 4.2以降のタブレットで動作するようにしています。動作検証しているのはauさんがお取り扱いしているタブレットになりますが、機能制限を設けてはいないので、ほかの端末でもたぶん動くと思います。少し表示が乱れる端末はあると思いますが。

photophoto AQUOS Kで撮った写真をタブレットにBluetoothで転送し、大きな画面で見ることができる

西郷氏 “簡単に使いこなせる感”を提案しないと、新しい体験として伝わらないだろうと考え、あえてこういう作りにしています。もちろん「フィーチャーフォンじゃなきゃいけないんだ」と考えるユーザーさんの満足を目指しますが、少し考えを広げていただけるような提案も盛り込んでいます。

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