WiMAX 2+の速度制限はどうなの? 携帯各社はSIMロック解除義務化目前に「駆け込み値上げ」ルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(1/2 ページ)

» 2015年04月21日 16時14分 公開
[島田純ITmedia]

UQ、「W01」のソフト更新で220Mbpsに対応 都市部はまだCA非対応

 UQコミュニケーションズがWiMAX 2+対応モバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W01」(以下、W01)のソフトウェア更新を3月19日に行った。今回のソフト更新でW01はWiMAX 2+のキャリアアグリゲーション(CA)に対応し、CA対応エリアで下り最大220Mbpsのデータ通信が利用できるようになる。

photo キャリアアグリゲーション対応エリアは順次拡大中

 CAによるWiMAX 2+の高速化は、既存のWiMAX用周波数の帯域を削る必要があるため、必然的に既存のWiMAXユーザーが多いエリアでは、その対応には時間がかかる。

 UQコミュニケーションズが公開しているCA対応予定エリアには、現時点で東京、大阪、名古屋などの大都市圏は含まれていない。都市部では通信速度の高速化ニーズも多いが、速度が低下してしまう従来のWiMAXユーザーも多く、CA対応には時間がかかってしまう。ユーザーだけでなくキャリアとしても悩ましい問題だろう。

 一方、3月5日に発売された「Speed Wi-Fi NEXT WX01」(以下、WX01)はMIMO方式の導入により、一部地域を除く全国のWiMAX 2+エリアで下り最大220Mbpsの高速通信を実現した。CA対応に時間がかかる都心部などでは、当面はWX01のほうが高速に利用できると言える。

WiMAX 2+が4月1日から速度制限を開始 その実態は?

 これまで「通信速度制限、容量制限なし」を訴求していたUQコミュニケーションズだが、4月1日からはWiMAX 2+で一定期間内に大容量通信を行ったユーザーを対象に通信速度制限を開始した。今後はWiMAX 2+およびauが提供する4G LTEの通信量が直近3日間で3Gバイトを超えると、通信速度制限の対象となる「場合がある」とされる。

photo WiMAX 2+も通信速度制限の対象に

 携帯電話各社は2014年後半まで、「直近3日間で1Gバイト」を超えた場合に通信速度制限を行う場合がある――としていたものの、2014年12月にドコモがXi契約者向けにこの制限を撤廃。その後各社が制限となる通信量を増量するなど、全体的には制限緩和の流れがあった。

 同社のWiMAX 2+向け速度制限は、各社が条件を緩和する流れに逆行しているとも言えるが、その実態はどんなものだろうか。4月1日以降、対応機種で実際に「直近3日間で3Gバイト」以上の通信をしてみたが、速度制限を意識することはほとんどなかった。スピードテストの結果でも、下り通信速度が100Mbps近くを記録することもあった。

photo 「直近3日間で3GB」を超えた状態のWX01でスピードテスト。下り100Mbps近くを記録

 UQコミュニケーションズが「通信速度制限の対象となる場合がある」と公式に説明している以上、「WiMAX 2+には直近3日間の通信量に基づく制限がない」と説明するのは誤りだが、少なくとも現時点ではユーザーに著しい影響を与える速度制限は行われていないようだ。

 WiMAX 2+の通信速度制限は1月の同社発表会で説明された。その場では制限時の具体的な通信速度は非公開とされたが、質疑応答の中で「YouTubeの標準画質程度は問題なく見られる程度」と説明しており、速度制限の対象となっても極端に速度が絞られる可能性は低そうだ。

NTTドコモ、国内最速となる下り最大225Mbps対応サービスを開始

 NTTドコモは3月27日、CAによって通信速度を下り最大225Mbpsまで高速化したLTE-Advancedサービスを開始した。新たに「PREMIUM 4G」というサービスブランドで展開中だ。

 PREMIUM 4G対応モバイルWi-Fiルーターは、「Wi-Fi STATION HW-02G」(以下、HW-02G)および「Wi-Fi STATION L-01G」(以下、L-01G)2機種のほか、4月23日に発売するスマートフォンの「Galaxy S6 SC-05G」や「Galaxy S6 edge SC-04G」も対応予定だ。

 ドコモのPREMIUM 4Gは全国22都道府県にて提供されており、今後は利用者の多いエリアから順次拡大する。CAの組み合わせは、1.8GHz帯+800MHz帯および、1.5GHz帯+2.1GHz帯の2つのパターンで、どちらの組み合わせでも最大速度は下り最大225Mbpsだ。

 また通信速度の高速化に加え、通信が混雑しがちなエリアにカバー用の基地局を追加する「アドオンセル技術」も導入された。通信が混雑しても通信速度の低下を防ぐ効果がある。

photo 安定した“快適さ”を実現するLTE-Advancedのアドオンセル技術

 国内のモバイルデータ通信は相次いで高速化し、下り最大220Mbpsを超えている。

理論上のトップスピードが従来から大きく改善しているものの、実効速度や混雑したエリアで通信が安定しているかも非常に重要な要素である。ドコモのPREMIUM 4Gには高速化だけでなく、混雑したエリアにおける通信の安定化にも期待したい。

 PREMIUM 4Gの対応エリアは利用者が多い地域から順次進められている。前述の通りUQコミュニケーションズは都心エリアでの対応が遅れる見込みであるため、人口密集地でのCA対応についてはドコモが先行する形だ。

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