freebit×CCC――トーンモバイルが「TONE」で変える5つのこと安いだけではダメ(1/2 ページ)

» 2015年05月01日 17時32分 公開
[井上翔ITmedia]
photo トーンモバイルの石田氏

 トーンモバイルは4月30日、Androidスマートフォン「TONE」と、通信サービス「TONE mobile」を発表し、5月5日から提供する。フリービットとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の戦略的資本・業務提携の成果がいよいよ日の目を見る。

 4月30日に、同社は都内でTONEの記者発表会を開催。代表取締役社長CEO 石田宏樹氏がTONEのサービスの詳細を説明した。

単なる価格競争は「レッドオーシャン」をもたらす

 「明日(5月1日)からSIMロック解除が義務づけられる」と切り出した石田氏。発表会を4月30日に設定した意図を明かしつつも、「SIMロック(解除)解禁と、MVNO(を取り巻く環境)の話は別」として、SIMロック解除の原則義務化がMVNOの事業運営環境にもたらす影響は限定的であるとの考えを示した。

 一方、「MVNOは、(総務省によって)新規参入の促進と、競争によって選択の多様化はもたらしてきたが、単純に(大手)キャリアよりも安い、価格がどうこうと言ったら必ず“レッドオーシャン”(血で血を洗うような競争環境)に陥る」と、安値競争ばかりに目が行きがちなMVNOの競争環境への危機感を隠さなかった。

photophoto 世の中はSIMロック解除が話題でも、MVNOへの影響は限定的であることを図示(写真=左)する一方、競争軸が価格ばかりになることで、MVNO市場のレッドオーシャン化に危機感を示した(写真=右)

 そんな中、「新しい取り組みをしたいと、フリービットでやってきた頃から考えてきた」という石田氏。そこで、「技術力・開発力を持つフリービットと、世界一の企画会社を目指すCCCが『結婚』して」設立したのが、トーンモバイルという企業であることを説明した。石田氏自身はフリービットの代表取締役社長という立場であったが、「インターネットを広げて、世界に貢献することが、自分たち(フリービット)の土壌以上に的確にできるチャンスがあるなら、それに賭けてみたい」として、自身がフリービットの社長職から退き、会長職になった上でトーンモバイルの社長に就任した意図を説明した。

Tの世界+ONEの世界=TONE

 並々ならぬ決意のもと、トーンモバイルが始める「TONE」のサービス。石田氏は、そのブランド名について、「CCCグループが提供している『Tの世界』と、フリービットが目指してきた、あらゆるものをインターネットでつなぎ、シンプルで簡単にしていき、その結果、さまざまなものが安くなっていく『ONEの世界』を、同心にする」ことを表現したと説明。「その名の通り、奏でる、響く(ことを表現できる)ブランド」(同氏)を目指していくことを説明した。

photophoto フリービットとCCCの2つの「世界」が同心し、響き合うことを表現したのが「TONE」ブランド

 TONEブランドのもと、さまざまなものを変えていくという石田氏。「従来のキャリアは、回線、端末、サービスを垂直統合で提供し、使いやすく、分かりやすかった。しかし、スマートフォンの世界になってから、端末の世界がグローバルスタンダード化し、回線やサービスからのコントロールがきかなくなってきている」と指摘した上で、「(フリービット時代から)我々は回線、端末、サービスを自社で開発している。そして、CCCグループが得意とするライフスタイル提案も含めた、世界でも類を見ない垂直統合を実現する」として、他のMVNOでは実現できない、高度な垂直統合がTONEの強みであることを強調した。

 また、石田氏は「携帯電話会社のロードマップは、電話の延長線上にあるので、あらゆるものが複雑になってしまっている。それに対して、我々は(PCから始まる)コンピューター屋の延長線上にあり、(スマートフォンに関する)全ての技術を理解できる。それを踏まえてTONEは進化していく」と、進化の方向性を「山の登り方の違い」に例えて説明した。

photophoto 超垂直統合(写真=左)と、コンピューターベースの進化の系譜(写真=右)がTONEの強み

TONEが「変える」5つのこと

 TONEは、「日本のスマホを変えるTのスマホ」というスローガンを掲げているが、何を“変える”のか。石田氏は「ワクワク」「シンプル」「安心」「料金」「買い方」の5つを変えていくと宣言した。ひとつひとつ、詳しく見ていこう。

ワクワク――CCCグループのサービス

 先述の通り、TONEの“T”は、CCCグループのサービスを指している。TONEは、従来のfreebit mobileのサービスと、「Tポイント」と「TSUTAYA」店頭でのサービスをはじめとするCCCグループのサービスを融合してワクワク感を演出していく。

 Tポイントは、TONEの端末・利用代金に対し、200円につき1ポイントが付与される。10月からは、Tポイント加盟店でためたポイントをTONEの代金支払いに充当できるようになる。

 また、TSUTAYAではCDとDVDをそれぞれ月に1枚、無料レンタルできるサービスと、有料レンタル時のTポイントが通常の10倍付与されるサービスを展開する。これらのサービスは10月末までの期間限定だが、「良い音楽、良い映画を楽しむ機会にしてほしい」(石田氏)という意図が込められている。

photophoto Tポイントと、TSUTAYAでのキャンペーンでワクワク感を高める

シンプル――オリジナルアプリ「ONE」

 多くのAndroidスマホでは、ギャラリー、音楽プレーヤー、複数のオフィスソフト――と、ファイル形式によって扱うのに必要なアプリが異なる。そのことがスマホに対する複雑さ、あるいは難しさを印象付けることも多い。それに対して、TONEでは「ONE」というアプリにファイルの取り扱いを集約することで、さまざまなデータをシンプルに扱えるように工夫をしている。ONEは独自の技術により、Web経由でファイル操作ができるほか、今後のバージョンアップでコンテンツの購入やダウンロードにも対応する。まさしく「ONEさえ使えば、お勧めのアプリ・コンテンツにアクセスできる」(石田氏)シンプルさが実現するのだ。

 なお、家にPCがない環境を考慮して、無線LAN(Wi-Fi)接続のワイヤレスCD-R/RWドライブ「T-Air」(仮称)の販売を6月から予定している。これを使うと、音楽CDの楽曲をWi-Fi経由でONEに取り込めるようになる。T-Airは、TONEだけではなく、iPhone、iPod touch、iPadやTONE以外のAndroid端末でも使えるようになる予定だが、仕様等の詳細は後日発表される。

photophoto あらゆるファイルを統合管理できるアプリ「ONE」をプリインストール
photophotophoto 今後、ONEでのかんたん決済やTSUTAYAのオンラインサービスへの対応が行われる予定
photophoto 「T-Air(仮称)」を使えば、音楽CDの楽曲をWi-Fi経由でONEに取り込めるようになる
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