MM総研は17日、独自調査による国内MVNO市場の2015年3月末実績を発表しました。 MVNO・格安SIM市場は驚くほどのスピードで拡大し、景気のいい話題が多く聞こえてきますが、今回のデータの数字を基に冷静に分析してみてもいいかもしれません。 調査結果と共に、今後のMVNO市場について考えていきたいと思います。
MM総研の調査結果は以下です。
株式会社MM総研 | ニュースリリース | 国内MVNO 市場規模の推移(2015 年3 月末)
まず目に付くのが、独自サービス型SIMの市場規模について。MVNOが提供するSIMカードのデータです。
MVNO提供のSIMカードの契約数は326万回線で、 2014年3月の173万回線から88.4%増加しています。しかし、モバイル市場全体の回線数は1億7,670万回線。構成比ではMVNOSIMは1.8%にすぎず、まだまだ伸長の余地があるように感じられます。
続いて、独自サービス型 SIMのシェアです。
上位を占める社の顔ぶれは前年と変わらず、「OCNモバイルONE」を提供するNTTコミュニケーションズ、「IIJmio」のインターネットイニシアティブ、「BIGLOBE LTE」のビッグローブ、「b-mobile」の日本通信が並んでいます。
4社のシェアの合計は、51.4%と過半数。MVNOが増えても、この「4強」の強さは揺らがないようです。
4強は全て、ドコモ回線を使用したMVNOです。au回線を使用したMVNOが「mineo」「UQ mobile」などしかないうえにソフトバンク回線を使用するMVNOはゼロなので、上位をドコモ系が独占するのは妥当ではありますが、今後はもう少し多様性がでてくると、競争・選択が面白くなりそうです。
前年との比較で見ると、日本通信が昨年のシェア10.4%の3位から、シェア5.3%の4位に転落しています。 煽りに煽って発表されたVAIO Phoneが「ガッカリ」と各方面で評されたことも影響されたのでしょうか。SIM売りのパイオニア、日本通信は、今が正念場かもしれません。
表に名前がない事業社だと、昨年から参入してきた楽天モバイルは圧倒的な機種数とWEBでの会員数の強みを活かして、かなりの勢いがあります。そしてTSUTAYA系列のトーンモバイルは実店舗の強みで契約数が伸びてくることが予想されます。
来年の調査結果では、4強体制が変わる可能性もあるでしょう。
前述したように、現在のモバイル市場の中での独自サービス型MVNOのシェアは、今後も伸びる可能性を秘めています。 そのためには、いかにして「あまり詳しくないユーザ層」を取り込めるかが鍵です。そうなると求められるのが「事業者の知名度」「リアル店舗での販売」「有名メーカー機種の取り扱い」「安心のサポート体制」などの要素。 CMや広告を打ったり、街中にショップを作ったりする必要が出てくるため、事業社の資金、規模などが勝負の鍵となりそうです。
NTTコミュニケーションズ、NEC系列のビッグローブ、楽天モバイルなどの、資金量のある会社が独立系のMVNOを吸収合併し、統廃合する未来もあるかもしれません。
(文:モバイルプリンス)
Copyright:(C) NTT Resonant Inc. All Rights Reserved.