iPhone+格安SIMでスムーズにデータ通信できない原因は?――IIJが検証結果を発表IIJmio meeting 8(2/3 ページ)

» 2015年07月30日 21時56分 公開
[房野麻子ITmedia]

スピーディにLTE接続するには?

 SIMの種類に関わらず、素早くLTEをつかむにはどうしたらいいのだろうか。大内氏はCellular PayloadのAPN構成プロファイルを使うことを推奨する

 Cellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用すると、端末は接続時にどのような挙動をするのだろうか。同様に模式図と接続シーケンスで確認していこう。

 まず、データSIMの場合。3Gネットワークで接続を開始すると(Step0)、位置登録が行われるが(Step1)、データ通信接続の確立時に強制的にLTEネットワークに遷移させられ、データ通信接続を確立できない(Step2)。これは前述のデータSIMと古いAPN構成プロファイルを利用した場合と同様だ。

photo データSIMとCellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用した場合の接続。古いAPN構成プロファイルで失敗していたLTEネットワークで、データ通信接続の確立に成功する

 LTEネットワークで位置登録からやり直し(Step3)、LTEデータ通信接続の確立をしようとすると、古いAPN構成プロファイルでは失敗していたが、新しいCellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用すると、MVNOの認証サーバへ接続の要求が行われ、データ通信接続の確立に成功する(Step4)。本来つながるべきMVNOの認証サーバにアクセスするのが、新しいAPN構成プロファイルの特徴だ。

 音声/SMS対応SIMの場合はどうだろうか。3Gネットワークから接続する場合は、前述の古いAPN構成プロファイルを利用した場合と同じだ。LTEに遷移せずに位置登録(Step1)とデータ通信接続の確立に成功し(Step2)、短時間で3GからLTEへ遷移してLTE通信が可能になる。最初からLTEで接続する場合(StepX)は、データSIMの場合と同じように、Cellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用しているので、すぐにLTE通信が可能になる。

photo 音声/SMS対応SIMとCellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用した場合の接続の流れ。3GでもLTEでもスムースにネットワークに接続できる
photo 音声/SMS対応SIMとCellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用した場合の接続シーケンス

 以上の検証から、iPhone/iPadでスムースにLTEでデータ通信するには、データSIMではなく、音声/SMS対応SIMを使うこと、Cellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用することが大事だということが分かる。

データSIM+iPhone 5sでデータ通信できない原因は?

 2つ目の事例は、「データSIMを利用したiPhone 5sで、3Gでデータ通信ができない現象」だ。大内氏は「そもそも、iPhoneは電話なので、あまりデータ通信SIMのことを考えていないところがある」と語り、データSIMを利用しないことが基本的な対策だと指摘した。また、3Gで接続できなくても、「LTEで接続できれば、すぐ通信が可能になるCellular PayloadのAPN構成プロファイルを利用することも有効だ」と語った。

 この現象は、データSIMと古い構成プロファイルを利用した場合の挙動と途中まで同じだ。3Gネットワークに接続する際、強制的にLTEに遷移させられるが(Step2)、LTEでのデータ通信接続の確立に失敗し(Step3)、3Gにフォールバック(Step4)。その際、端末がLTE無線接続能力を無効化するので、3Gで位置登録をし、3Gデータ通信接続を確立しようとするはずなのだが、ここでデータ通信接続を確立するための制御信号が出ない状態になるのだという。結果、データ通信ができない状態になる。

photo データ通信ができない現象も、3GからLTEになかなか移行しない現象と似たような挙動を取っているため起こっている

iPhone 6/6 PlusはなぜすぐにLTEをつかめるのか

 iPhone 5sなどではLTEをなかなかつかまない事象があるのに対し、iPhone 6/6 Plusは当然のようにLTEネットワークに接続できる。この差は何なのか。大内氏は「iPhone 6/6 PlusでLTEをすぐにつかめる現象」を3つ目の事例として取り上げた。検証の結果、VoLTE対応の影響があったという。

photo iPhone 6/6 PlusはVoLTEに対応しているために、LTEをすぐにつかむ

 VoLTE対応iPhone 6/6 Plusが接続時にどのような挙動をしているか、同様に確認してみよう。LTEネットワークで接続すると仮定し、LTEで位置登録に成功(Step1)。データ通信接続の確立の際に、ドコモの「IMS」というVoLTE用のネットワークにつながるデータ通信接続を確立する(Step2)。その後、通常のLTEデータ通信接続の確立が成功する。VoLTE対応端末の場合、現在の古いAPN構成プロファイルでも、MVNOの認証サーバに入って接続できる仕組みになっているようだと大内氏は推測している。

photo iPhone 6/6 PlusはIMSに対し、VoLTE用のデータ通信接続を確立している
photo iPhone 6の接続シーケンス。特徴は、LTEネットワークへ位置登録とデータ通信接続を要求する場合にIPv6で接続要求をする点。そうするとIMSに接続し、VoLTE用のデータ通信接続を確立する。その後、インターネット用のデータ通信接続を確立する際にPDN Connectivity Requestを発信。この中にはMVNOのAPNにつなげる情報があるので、データ通信接続の確立が成功する

 一方、VoLTE対応iPhone 6/6 Plusで新しいCellular Payload版のAPN構成プロファイルを利用した場合はどうなるか。VoLTE用のデータ通信接続確立より前に、MVNOのデータ通信接続が確立されているという違いはあるが、どちらも成功しているので問題は何もない。

photo Cellular Payload版のAPN構成プロファイルを利用した場合。手順が入れ替わっているだけで、問題なく接続される。
photo Cellular Payload版のAPN構成プロファイルを利用した場合の接続シーケンス

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