キャリアと同じ通信速度と通信エリアが利用できて格安なMVNOのサービス。少しでも通信費を節約したいと考える人にとって使わない手はありません。しかしMVNOは特性上、大手キャリアの通信と同じではない部分がいくつかあります。今回はそんな事前に理解しておきたい「違い」について触れたいと思います。
MVNO SIMの通信について一部では「速度が遅い」という話があります。実際は常に遅いわけではなく、お昼だったり、夜の一部の時間帯で起きているようです。実は、大手3キャリアも常に速いわけでなく同様の時間帯で速度が遅くなります。通信速度が遅くなる時間帯の原因は何なのでしょうか。
「速度が遅くなる」といわれるタイミングは、大体午前7時〜9時、午後0時〜2時、午後5時〜7時、午後9時〜11時ぐらいの時間帯です。通勤通学ラッシュ、お昼休み、帰宅ラッシュに当たります。要するに使っている人が多過ぎる時間帯に起きている問題なのです。
MVNOはキャリアの無線通信インフラを借りてサービスを提供しており、例えばドコモ系のMVNOはすべてドコモの基地局を使用しています。ユーザが利用しているSIMサービスを提供する会社(NTTコミュニケーションズやIIJなど)が違っても、利用しているアンテナは同じであるため、一度にアクセスが集中すると通信が遅くなります。例えて言うなら、「お盆の帰省ラッシュ渋滞」が毎年必ず起きることと似ていますね。
アクセス集中による通信速度の遅延は、無線通信インフラの不足によって起こります。そのためキャリアが設備増強を実施しないことには全体の収容数を上がらない問題となります。
実は、上記に加えてMVNOならではの速度低下の原因があります。一般的に、スマホなどの通信端末が基地局にアクセスするとキャリアとMVNOは相互接続を行い、契約するMVNOネットワークを利用してインターネットアクセスしています。MVNOはこの相互接続区間の帯域を購入しており、量に応じた接続料をキャリアに支払う仕組みです。その為、ユーザトラフィックに対し購入した相互接続区間の帯域量が少ないとなれば、送れないパケットが出てきてしまいその結果、通信速度が低下してしまうということが起きうるのです。キャリアでのインターネットアクセスには、この相互接続は存在しません。これはMVNO固有の問題です。
この問題を解消するには、MVNOが帯域量を増やすのが解決の近道です。しかし、設備購入への投資額が上がれば利用料金が上がる可能性があるため、混雑時に少しでもスムーズに通信できるようにする事もMVNOの技術の見せどころでもあります。
低価格で高品質なものを届けようと日夜努力してくれているMVNO各社を今後も応援していきたいですが、良い付き合い方をするには、利用者側にもMVNOの仕組みに関する知識が必要なのかもしれません。
(文:空色ぐらたん)
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