「格安スマホ」市場を打破したい――HTC NIPPON玉野社長に聞く、日本のSIMフリー戦略SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/2 ページ)

» 2015年10月16日 20時27分 公開
[石野純也ITmedia]
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価格帯ごとに1機種ずつ出すのがよい

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―― 話をラインアップに戻しますが、HTCは、ミッドレンジやローエンドまで入れると、グローバルでは多彩なラインアップを持っていると思います。今回、EYEと626を選んだ理由を教えてください。

玉野氏 確かにミッドレンジにもいくつかのパターンが出ていて、EYEのようなものと、M9から派生したようなものがあります。ただ、同じ価格帯で2機種投入しても、市場としてはさらに過当競争になるだけで、自分で自分の首を絞めてしまいます。価格帯ごとに1機種ずつ出し、その上でどうするかの様子を見ていくつもりです。うまくいけば、3つのレンジ(ハイエンド、ミッドレンジ、ローエンド)を常にリフレッシュさせていくことができます。

 また、弊社の場合、導入にあたってはけっこうなコストをかけています。テストもきちんと行い、技適やPSEなど、法的に取らないところは当然として、それプラスαのテストも行っています。日本語がおかしくなっていないかなど、そういったところまで全部見ています。1機種あたりの初期コストをかけているわけです。

 そこにあまりいろいろなものを出してしまうと、値段が上がってしまいます。それは避けたいところで、価格帯ごとに1機種でいっています。メーカーさんによっては、メモリ(ストレージ)の数値などにレンジを持たせているところもあります。確かに、分かっている方々には響くのかもしれませんが、一方で初心者の方々には、どれを選んだらいいのか分からなくなる側面もあります。そういう意味でも、オススメを絞り込んでいます。

主要なMVNOの通信はテストしている

―― 新たに、「HTC e-shop」も立ち上げます。SIMカードはOCNのものを扱うとうかがっていますが、こちらはほかにはないのでしょうか。

photo HTCのスマートフォンやアクセサリーを購入できる「HTC e-shop」

玉野氏 今の段階でお話できるのは、OCNさんだけです。ほかにもお話はいくつかいただいていて、販売を開始してから、少しずつ明確にしていく予定です。

―― なるほど。料金については、HTC専用のものという形になるのでしょうか。

玉野氏 スペシャルなものというよりも、分かりやすく1つにしたというものです。例えば、データプランであれば、今は2、3Gバイトあれば、ほとんどのお客様が満足される。そうした1つのデータプランに、音声通話も付けるとこうなるという形で提示します。

 MVNOさんはいくつも料金プランをお持ちですが、我々自身がMVNOというわけではないので、ご紹介する以上、プランはシンプルな方がいいという考えがあるからです。もちろん、量販さんなどに行けば、いろいろなSIMカードが販売されていますから、ほかのプランにしたい方は、そちらを使うことができます。そうしたMVNOについても、ほとんどのAPNをプリセットで入れ、日本と台湾、両方のチームで試験もしています。

サポートも強化、補償サービスも視野に

―― サポート体制を強化されましたが、その詳細を改めて教えてください。

玉野氏 このビジネスをスタートするにあたって、どういう課題があるのかを話し合いました。キャリアさんだと、auショップのようなものがあり、故障などのときは、そこから弊社のサービスセンターに送っていただく形になっています。これが一般販売となると、いろいろなパターンが生まれてきます。ご自分の修理センターを売りにしている量販さんもあれば、メーカーにお任せするというところもあります。こうした、いろいろなパターンに対応していかなければなりません。

 また、個人と直接やり取りするとなると、別のスキームが必要になります。故障時に取りにうかがうところも宅配便で、箱をお送りして送り返してもらうなどの手続きが必要になります。

 都内だと、往復で2日あれば行き来できますが、遠いところの往復が4日ぐらいになります。私どもは届いてから2日以内にとにかく直す。万が一、それで直らなかったときは、交換することもあります。2日で修理してお送りしようというのは、かなりコストをかけていることなんですね。ですが往復の輸送時間までは保障ができないので、最短で5日という言い方をしています。

―― 故障してしまった際に、代替機がないと電話もできなくなってしまいます。そういったところまで、踏み込むお考えはあるのでしょうか。

玉野氏 キャリアさんも補償サービスの会社を使ってサービスを提供していますが、そういったものを導入すれば、コスト的には可能です。将来的にはそういうサービスも、提供できるようにしていきたいですね。特にスマホの場合、落下でユーザー責の破損がけっこうあります。そういうものも、有償でお得にサービスできないかというところまで含めて、今検討しているところです。

―― なるほど。今のサービスはあくまで第1歩ということですね。

OSのアップデートも行う方針

―― ソフトウェアの面でのサポートは、どう考えておけばいいでしょうか。具体的にまず伺いたいのが、OSのメジャーアップデートについての方針です。

玉野氏 SIMフリーモデルでは、基本的にグローバルスタンダードを販売する方針です。ということは、当然、グローバルに合わせて、メジャーアップデートがあれば上げていきます。さすがに完全に同じかどうかまでは分かりませんが、それほど遅れることなく、アップデートできると思います。

―― アップデートが放置されてしまうところも多いですからね。そういった意味では、安心感があります。

玉野氏 グローバルで売っているモデルと同じSKUで販売する目的には、そういったところもあります。Googleさんからのサポートも得やすくなりますし、弊社としても、コストを(グローバルに)分散できます。

取材を終えて:大手メーカーの本格参入は歓迎したい

 2機種を一気に投入したHTC。626はSIMロックフリースマホ市場のど真ん中を狙ったモデルなのに対し、EYEはよりHTCらしさを訴えかける端末だ。玉野氏によると、現状では予想以上にEYEの反響が大きいとのことで、3万円前後のミッドレンジモデルが売れ筋になっている市場に、変化をもたらせるかもしれない。SIMロックフリーモデルでは、故障時などのサポートに不満の声も聞こえてくるが、こうしたところに先手を打ってきたのも好印象だ。

 一方で、グローバルで見ると、EYEや626はやや古いモデルでもある。型落ちというほどではないが、最新動向を追っている人にとっては、少々物足りなさは残るかもしれない。HTCとしても、今後はグローバルの導入タイミングとあまりずれないようにしていく方針を掲げており、まずは性能的にも価格的にも安定した2機種で様子を見たいという思惑がある。

 他社に比べ、やや遅れを取ってしまった格好ではあるが、HTCのような大手メーカーがSIMロックフリー市場に本格参入してきたことは歓迎できる。今後の方針も明確に打ち出しているため、引き続き、その動向には注目しておきたい。

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