Tポイント×ソフトバンクのシナジー効果は?――モバイル連携と今後の課題を聞くTポイント・ジャパン 北村氏に聞く(後編)(1/2 ページ)

» 2015年10月19日 19時40分 公開

 Tポイント・ジャパンの北村和彦副社長へのインタビュー前編では、Tポイントの現状や基本的な戦略、Tマネーについて聞いた。後編では、ソフトバンクと提携したことによる効果や、今後の目標を聞いていく。

ソフトバンクとタッグを組んで競合サービスに対抗

――(聞き手:神尾寿) ドコモが「dポイント」を発表して12月にスタートしますが、それに合わせるように、PontaもRポイントも冬に向けてアグレッシブにサービス改定しています。御社はdポイントをどう評価されていますか。また、対抗マーケティングは考えてらっしゃいますか。

北村氏 我々は一番に始めたので、相手がこうだから合わせよう、ということはあまりないんですが、1つだけあるとしたら、ソフトバンクユーザーならファミリーマートでいつでもTポイントが3倍になります。これはどちらかというとTポイントがというより、両陣営の対抗として、我々がうまくアセットを組んだ形です。キャリアとしてユーザーを維持、あるいは新規が増えたら、また、コンビニの売上が増えたら、成功でしょう。

―― 御社の場合は、Tポイントのエコシステムにいろんな事業者さんがいらっしゃるので、組み合わせ次第でいくらでも共同キャンペーンできるのは強みですね。

北村氏 分かりやすい例ですと、ニッポンレンタカーで車を借りて、ENEOSで満タン返しをすれば何倍ポイントとかがあって、相互送客と我々は言っています。(Tポイントの)提携先同士で、車つながりでご一緒しましょうとか、いろいろなキャンペーンは恒常的に行っているのですよ。

―― ソフトバンクのTポイントへの参加はけっこう大きなトピックスだと思うんですが、その影響、参入効果はどのようなものになるでしょうか。

北村氏 ソフトバンクが、というより携帯3大キャリアにしても、料金プランやキャッシュバックなどで果てしない販促消耗戦になっていたと思います。そういった中でTポイントを採用していただくことは、ほかにない価値ですよね。違う価値に転換したということだと思います。違う次元でTポイントをご採用いただいたと思っています。

 我々の立場からすると、一度手続きしていただければ、継続的に毎月ポイントが付与されます。だまっていても毎月ポイントがたまる価値を、T会員に提供していただけた。両方の側面でインパクトがあったと思います。

photo ソフトバンクユーザーだと、ファミリーマート、ガスト、TSUTAYAでTポイントが3倍たまる

―― ソフトバンクはよく採用されたと思いました。キャリアのポイントは黙っていてもたまっていくし、2年に1回、機種変更という形でポイントが吐き出されるので、自社ポイントでやりやすい。こぢんまりとクルクル回るシステムです。それをわざわざ手放してTポイント陣営に入った。ソフトバンクは相当気合いを入れたと思いました。

北村氏 機種変更のときしかポイントを使わないというのは、そのお店でしか使えないという意味になる。それくらいしか使い道がなかった自社ポイントの価値よりは、違う価値に置き換えて他社ができないことにしたいと、思って踏み切っていただけたんじゃないでしょうか。少々のポイントがあったとしても、一定期間、ドカンとキャンペーンを展開すれば、それをひっくり返すことができますが、それも含めて効果がなくなってきたんだと思います。

―― 実際に効果があるんだなと思ったのは、女子大生への定性調査やヒアリングをしたところ、「Tポイントがたまるならソフトバンクに移ろうかな」という声があったことです。女子大生から20代前半の女性はTポイントのアクティブユーザーなので、そういったセグメントに関してはプロモーション効果がかなり高いと感じています。

北村氏 iPhoneが先行したというところもありましたし、ソフトバンクはどちらかというと若い人が多いのでしょうね。

―― 今回はソフトバンクとの提携になりましたが、今後、Tポイントとしてほかのキャリアとの提携を進める考えはあるのでしょうか。ドコモは独自にdポイントを導入するので難しいと思いますが、KDDIや最近はMVNOも増加しています。

北村氏 ソフトバンクと相手先(となるキャリア)と、我々の3社が合意したらあるかもしれません。直球の競合というのは、理屈上は排除しませんが、確率は今のところかなり低いんじゃないですかね。

お膝元だけ優遇することはあり得ない

photo Tポイント・ジャパン 取締役副社長 北村和彦氏

―― MVNOの点でいいますと、御社には「TONE」と「ふるさとスマホ」がありますが、Tポイント視点でみたときのTONEの位置付けや戦略についてお話いただけますか。その派生でふるさとスマホもあると思うんですが。

北村氏 グループ企業であっても提携先の1つなので、TONEだからどうするということはないです。また、提携先の価値としてはソフトバンクの方が大きいと考えています。ユーザーの数が違いますから。当然、自社だから優遇するとかはありません。Tポイントの胴元としては、TSUTAYAでさえ同列にしか見ようがないじゃないですか。そんなことで傾斜したら、みなさん(Tポイントのプラットフォームから)離れますよね。自分のグループだけ、お膝元だけ優遇するのかという話は、僕らの立場では一番気をつけてきたことです。

photo CCCグループのトーンモバイルが提供するMVNOサービス「TONE」では、携帯電話の利用に応じてTポイントがたまる

―― プラットフォーマーの倫理からすると当然ですが、それができていないプラットフォーマーが多いですよね。自社サービスを立ちあげると、どうしても自社優遇に走って、ポイントを自社で使わせる方向でやりたがるところが多いです。

北村氏 正直、最初の頃は当然TSUTAYAの会員組織が基盤でしたから、TSUTAYAからの送客を頑張っていただいたのが現実です。自分のところが共通ポイントでメリットを受けるというよりは、相互送客の核となってその価値を提供してもらって、ようやくTSUTAYAもみんな周りの提携先も理解していただいた。まずは自らがそういう立場にならないといけません。相手さんから、というのはないですね。

―― 分かります。胴元がきちんと全体を考えるのはすごく大事ですが、ほかの共通ポイントを見ていると、それができていないところがあったりしますので。

北村氏 だから、それを一番大切にしてきたといえると思います。

―― そうなると、TONEを特別扱いしないというのもロジックの通りなんですね。ふるさとスマホも、Tポイントの1加盟店ということである、と。

北村氏 あれは3大キャリアを抜いてやろうというよりも、TSUTAYAなりのTONEという名前のごとく、視点が違うじゃないですか。スマホに違いないし直接競合かといわれれば、そうですが、もともと狙うところが違っています。

―― 全体のプラットフォームが広がっている中の1つの選択肢であり、加盟店ということですね。

北村氏 我々は価値をお届けしなくてはいけない。ソフトバンクさんにも、という意味では、胴元としてフラットな立場で、というのが基本スタンスに違いないです。

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