被害は全ゲーム!?スマホチート最前線R25スマホ情報局

» 2015年12月04日 06時00分 公開
[R25スマホ情報局]
R25スマホ情報局

 新発売のゲームをいち早く手に入れて誰よりもやりこみ、誰も知らない裏技を見つけ出して披露すればヒーロー扱い――。と、アラサー世代の諸兄ならわかってくれるであろうが…そんな時代は、とうに過ぎ去っていたらしい。ネットで情報があふれ、スマホゲーム全盛となっている今、“裏技”がある問題を巻き起こしている。

成田さんは、「現在リリースされていて、ランキング上位にいるゲームはほぼ全て“チート”の被害に遭っています」と語る。あなたがやっているゲームも、もしかしたら…

「あらかじめ仕込まれている裏技ならいいのですが、問題なのは“チート”。スマホゲームではネットワーク回線を通じて他のユーザーと協力・対戦したり、ランキングを競い合ったりするものが主流です。そこにゲームデータを書き換えてキャラを強くする“チート使い”が現れ、ゲームバランスを壊すようなプレイをすると、一般ユーザーとの間に不公平感が生まれてしまいます。どのゲームメーカーも頭を悩ませていますよ」

 こう話してくれたのは、スマホゲームのセキュリティサービスを手がける「サイファー・テック」の成田直翔さん。

 スマホゲームは、アイテムやキャラクターを入手するために課金するシステムが大半。チートによってキャラを強化できると、課金の必要がなくなってしまう。それによる損失もあるが、不公平感を覚える一般ユーザーがゲームから遠のいたり、ゲームのイメージが悪化し新規ユーザーが寄り付かなくなったりする方が問題なのだとか。

 また、最近ではチートのプログラムを販売している業者まで出てきており、ゲームデータ書き換え用のソフトを、オークションサイトを通じて販売したり、ゲームごとの書き換え方法を動画サイトで公開したりする人まで現れている。一般に流通しているゲームでは、リリースから1カ月程度でチート方法が流布されているのが現状だ。

 では、メーカーサイドはどのような対策をとっているのだろうか。

「基本的にはチートをしているアカウントの削除です。最近ではチート使いと協力してプレイする一般ユーザーのアカウントもまとめて削除するなど、厳しい態度に出ています。ただ、セキュリティツールでチートをブロックすることもできますが、すぐに向こうも新しいチート方法を見つけてしまい、実態はいたちごっこ。なかなか対策は難しいのが現実です。よほど悪質なものに対しては、警察に相談して対応しているゲームメーカーも少なくありません」(成田さん)

 事実、11月下旬にも人気ゲーム「モンスターストライク」の不正プログラムの入った端末を販売したことで高校生の少年が逮捕されるという事件もあった。しかし、この“警察の対応”も、法整備がされていないため、威力業務妨害罪や不正競争防止法違反、著作権法違反など、ケースに応じていろいろな法を適用している状況で限界があるという。

 また、チート使いは中高生をはじめとする若年層が多く、彼らは何の罪悪感もなく“強くなる”ツールとしてチートを行っている。ただ、ここには“課金をして強くする”というゲームの性質上、課金額に限界がある若年層からすると、“チート以外に方法がない”という言い分もありそうだが…。

「確かにそれも否定はできないかもしれません。課金すれば強くなれるゲームが多いのは事実です。しかし、無課金でもテクニックや時間をかければ強くなれるよう、ゲームバランスを調整するメーカーがほとんどです。チートは法的な問題につながる行為ですし、普通に時間をかけてプレイをしている人の楽しみも踏みにじる行為です。チートは“よくない行為”であることをまずは知ってもらうことが大切だと思います」(成田さん)

 すでに業界内では、中高生向けにスマホゲームの遊び方をレクチャーするイベントなどを開催。チートだけでなく過剰な課金の問題なども説明して、啓発活動を行っている。

 人気スマホゲームのユーザーランキングの上位は、チート使いの独占状態という話もある。対策に限界があるとはいえ、すべてのユーザーがゲームを楽しめるように整備される日が訪れてほしいものだ。
(鼠入昌史/Office Ti+)

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