「指紋」vs「虹彩」――「arrows」の生体認証、どっちの方が便利?どっちの認ショー(1/2 ページ)

» 2015年12月17日 11時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 富士通は、2003年からハイエンド機種を中心に指紋認証に対応する携帯電話を投入している。また、2015年夏モデルである「ARROWS NX F-04G」では、世界で初めて虹彩認証「Iris Passport(アイリス・パスポート)」を搭載した。

 NTTドコモ向けarrowsの2015年冬モデルでは、ミドルレンジの「arrows Fit F-01H」が指紋認証を、ハイエンドの「arrows NX F-02H」がIris Passportをそれぞれ搭載している。

 arrowsのハイエンドモデルをシーズンごとに入手していることから、筆者は「arrowsジャーナリスト」(他称)と呼ばれることもある。そのため、arrowsの買い換え(あるいはarrowsへの乗り換え)を検討している人から「指紋認証と虹彩認証、どっちがいいの?」と聞かれることも多い。

 スペック差のあるスマホの比較は本来“禁じ手”ではあるが、多くの人が持つ疑問に答えるため、「生体認証」という切り口でF-01HとF-02Hを比較することにする。

arrows NX F-02Hとarrows Fit F-01H 今回比較する「arrows NX F-01H」(左)と、「arrows Fit F-01H」(右)

生体データ登録:「指紋」の方がスピーディー

 生体認証を利用するには、登録をする必要がある。まずは、生体データを登録する作業から比較してみよう。

 F-01Hの指紋認証では、最大で10個の指紋データを登録できる。両手の指を全て登録できる計算だ。

 端末設定の「ロック・セキュリティ」から「指紋の登録・削除」を選択し、その後の画面で登録する指を選択する。選択後、注意を読んで「登録に進む」をタップすると、登録作業が始まる。登録は、同じ指で3回スワイプするだけ。非常にシンプルだ。

 登録完了後、再度指を選択する画面に戻るので、追加登録したい指紋がある場合は登録したい指を登録して、同じ作業を繰り返す。指紋登録を終える場合は「完了」をタップしよう。

指紋の登録開始画面指紋登録上の注意画面指紋登録中の画面 指紋登録の画面は、直感的で分かりやすい。なぞる回数は3回で済む。ちなみに、指紋センサー起動中はスクリーンショットが撮れないため、カメラで撮影した画面をトリミングしている
F-01Hで指紋を2個(右手人差し指→左手人差し指)登録する様子

 完了をタップすると、ロック解除方法に指紋認証を使うかどうか聞かれる。「はい」を選択すると、指紋認証を使えない場合の代替認証方法を登録する画面に進む。代替認証方法は、「パターン」「暗証番号(PIN)」「パスワード」「なし」から選択できる。代替認証「なし」は、指紋データを2個以上登録すると選択できるが、何らかの理由で指紋を読み取れない状況になるとロック解除ができなくなるので、できる限り代替認証を登録しておくようにしよう。

指紋登録が終わると出てくるダイアログボックス代替認証登録画面 指紋登録を完了すると、ロック解除を指紋認証で行うかどうか聞かれる(写真=左)。「はい」を選ぶと、代替認証方法の登録に移る(写真=右)

 F-02HのIris Passportでは、虹彩を1つだけ登録できる。ただし、認証精度を高めるため、最大で3パターンの虹彩データを保持することができる。

  端末設定の「ロック・セキュリティ」から「虹彩登録」を選択すると、注意事項が表示される。注意事項は、「室内で登録」「メガネを外す」の2点だ。なお、虹彩は原則として両目のものを登録するが、精度が落ちることを承知できるなら、片目の虹彩でも登録できる。「登録を開始する」をタップするとチュートリアルが始まり、終わるとシームレスに虹彩登録に入る。目が映し出されたら、ガイドに合うように目を持っていき、円状の進捗(しんちょく)表示が1周するまで待とう。早ければ8秒程度で登録が完了する。

 登録完了後は、そのまま代替認証方法の登録画面に移る。F-01Hの指紋認証とは異なり、代替認証を「なし」にすることはできない。「パターン」「暗証番号(PIN)」「パスワード」のいずれかを登録しよう。

虹彩の登録開始画面虹彩登録開始前のチュートリアル 虹彩登録時は、チュートリアルが表示されるので、その指示に従えば簡単に登録できる
F-02Hで虹彩を登録する様子

 虹彩は「早ければ8秒程度で登録を完了する」と述べたが、それは筆者がF-04Gで虹彩認証に慣れたからであって、初めて虹彩認証を使う人はもう少し時間がかかるはずだ。指紋なら、慣れ・不慣れ関係なく比較的早く登録を完了できる。生体データの登録という観点では、時間があまりかからない指紋認証に軍配が上がる。

ロック解除:(慣れてしまえば)「虹彩」の圧勝

 生体認証を一番使うシーンは、「端末のロック解除」だ。そこで、指紋と虹彩でロックの解除をしてみよう。

 まずは、F-01Hの指紋センサーでロック解除をしてみよう。F-01Hの指紋センサーは「スマート指紋センサー」と呼ばれ、センサーを押し込むとスリープキーの代わりになるようになっている。センサーを指で押し込んだ後、その指をそのままスライドさせればロック解除もできてしまう。所要時間は、3〜4秒ほどだ。

F-01Hでロック解除

 次に、F-02HのIris Passportでロック解除をしてみよう。スリープ解除という点で、スマート指紋センサーのないF-02Hは一見すると不利である。しかし、「タッチでON」機能を利用すれば、画面をダブルタップすることでスリープを解除できるようになる(※)。タッチでONでスリープを解除し、虹彩を赤外線カメラに映し出すと、最短で1秒程度でロック解除できてしまう。

※この機能を有効にすると、本当にわずかだがバッテリー消費が増える。ちなみに、F-01Hにも「タッチでON」は搭載されている

F-02Hでロック解除

 動画でも分かるように、ロック解除にかかる時間は、F-02Hの方が圧倒的に短く、圧勝だ。「“一瞬”でできる感動をあなたに。」というキャッチコピーはだてではない、ということだ。ただし、不慣れだとより時間がかかるのは、登録時と同様だ。不慣れでもすばやく、というのであれば指紋認証の方がベターだろう。もっとも、指紋認証の場合、慣れ・不慣れでかかる時間はそこまで大きく変わらないが……。

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