未来は、ここから起動する――国産ハイスペックスマホ「ARROWS NX F-04G」の実力に酔う「ARROWS NX F-04G」先行レビュー

» 2015年05月28日 06時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 NTTドコモの2015年夏モデルとして5月28日に発売された「ARROWS NX F-04G」。虹彩認証「Iris Passport(アイリスパスポート)」と、近接無線通信技術「TransferJet(トランスファージェット)」に世界で初めて対応し、より高速に通信できる「PREMIUM 4G」と無線LAN(Wi-Fi)の「MIMO」通信に対応した、とびきりの国産ハイスペックスマホだ。

 今回は、2011年の「ARROWS X F-05D」以来、長きに渡りARROWSとともにある「ARROWSジャーナリスト」(他称)である筆者が、ARROWS NX F-04Gの魅力をできるだけたくさん紹介する。この夏に携帯電話・スマートフォンの購入や買い換えを検討しているITmedia読者の皆さまの参考になれば幸いだ。

(本文中に掲載されている最大通信速度は、全て理論値です)

photo 虹彩認証とTransferJetを世界で初めて搭載するARROWS NX F-04G

慣れると指紋認証より便利な虹彩認証

 富士通はフィーチャーフォンの時代から、ハイエンドモデルを中心に指紋センサーを搭載してきた。Androidスマホでは「REGZA Phone T-01D」で初搭載し、「ARROWS X F-10D」と「REGZA Phone T-02D」ではスリープボタンを兼ねたスマート指紋センサーとなり、現在に至っている。

 ARROWS NX F-04Gでは、その指紋センサーに別れを告げ、代わりに虹彩認証「Iris Passport」を搭載した。虹彩は目の角膜と水晶体の間にある薄い膜で、人によって模様や色が異なっている。これを、本体上部にある赤外線カメラで読み取ってロック解除、パスワードマネージャーとの連携や、docomo IDの認証・決済ができる、という優れものだ。

photo Iris Passportは、赤外線を照射するLEDと、赤外線を検知するカメラから構成される

 Iris Passportは、初回の登録にこそ時間がかかるが、一度登録してしまえば、本人確認は最短で0.6秒と、体感的に“一瞬”だ。指紋認証ではセンサーが水に濡れているとき、指がふやけているとき、手が使いにくいときの認証が困難、場合によっては不可能だったが、虹彩認証ならそんな状況でも認証ができる。筆者の場合、風呂場でのロック解除がすごく楽になった。F-04Gから新規に搭載された「タッチでON」を併用すれば、ロック解除の“スピードキング”になるのも夢ではない。

 なお、Iris Passportに関しては、別途レビュー記事を用意する予定なので、ぜひご期待いただきたい。

photophoto 認証の登録はアニメーションガイドの指示に従って行う
photo 虹彩を登録中の筆者(※イメージです)
photo 画面タップでスリープ解除できる「タッチでON」は、F-04Gからの新機能。反応エリアを調整できるのが大きな特徴

PREMIUM 4GとMIMO対応Wi-Fiで、通信がさらに快適に

 スマホはネットがあってこそ活用できるもの。ネットを快適に使えれば使えるほど、仕事、ゲーム、音楽、動画など、さまざまな面で恩恵は大きい。ARROWS NX F-04Gでは、通信を快適化する新要素として、ドコモのLTE-Advancedサービス「PREMIUM 4G」への対応と、無線LAN(Wi-Fi)のMIMO対応を追加している。

 PREMIUM 4Gでは、離れた周波数帯の電波を束ねて通信を高速化する「キャリアアグリゲーション」によって、下り最大225Mbpsの高速通信が可能となった。この技術では、通信速度が速くなることばかりに目が向きがちだが、人が多く集まった状況でもより安定してデータのやり取りができることも強みだ。対応エリアは順次拡大中で、ドコモのエリア情報サイトから確認できる。

 Wi-FiのMIMO対応では、通信速度が最大433Mbpsから867Mbps(いずれもIEEE802.11acで、対応アクセスポイントに接続した場合)に増速された。「MIMO」という言葉は聞き慣れないかもしれないが、「Multiple Input/Multiple Output」の略で、2本以上のアンテナを同時に使うことによって通信を高速化する技術のこと。MIMOは、Wi-Fi搭載ノートPCでは広く普及しているが、ボディ内の空間に余裕の少ないスマホでは、なかなか搭載されなかった。しかし、技術の進歩もあり、2015年夏モデルでは、F-04Gを含めてMIMO対応スマホがいくつか登場している。

 筆者の自宅には、IEEE802.11acで最大1.3GbpsのMIMO通信に対応するWi-Fiルーターがあり、最大1Gbpsで通信できる光回線とつながっている。そこで、F-04Gと、MIMO非対応(最大433Mbps)の「ARROWS NX F-05F」を使ってスピードテストを実施した。5回計測してベストの数値を取ると、F-05Fで下り188.06Mbps/上り136.09Mbps、F-04Gで下り368.13Mbps/上り285.68Mbpsと、下り・上りともに約2倍の速さとなった。体感面では、普通のWebブラウズ程度では正直、有意な差は感じづらい。しかし、ストリーミング動画、とりわけHDDレコーダーに録画した番組の視聴では、シークにかかる時間が短縮され、快適さが増した。家で動画を楽しむ方は、867Mbps以上の通信速度に対応した11acルーターをF-04Gと一緒に買うと、“幸福度”はかなり高まるはずだ。

 セッション(同時接続)数を増やして、データのダウンロードを高速化する「高速ダウンロード」や、LTE/3G通信とWi-Fi通信を同時待機させて、通信を途切れにくくする「マルチコネクション」も、従来機種に引き続き搭載している。高速ダウンロードは、最大セッション数が8から16に拡大され、従来よりもさらに高速化された。また、マルチコネクションはアプリ単位で有効・無効の切り替えが可能となった。

photophoto 「RBB TODAY SPEED TEST」で、F-05F(写真=左)とF-04G(写真=右)のWi-Fi通信速度を比較してみる。両者ともにIEEE802.11ac対応なのだが、MIMO対応の有無で、これだけの差が出る。
photophoto 高速ダウンロードは、引き続き搭載(写真=左)されるが、セッション数を倍にしてさらに高速化。マルチコネクションは、アプリごとに有効・無効を切り替えられるように(写真=右)

大容量動画や写真を素早く転送「TransferJet」

 ARROWS NX F-04Gに搭載している「TransferJet」は、FeliCaでおなじみのソニーが開発した非接触通信技術で、実効で約375Mbps(約46.9Mバイト/秒)の高速なデータ通信が行えることが特徴だ。ハイレゾ音源1曲(150Mバイト)なら約6秒、4K動画約1分(300Mバイト)なら約12秒と、NFCはもとよりBluetoothやWi-Fiでやり取りするよりも高速だ。

 データをF-04Gから送信する場合は、Androidの共有(インテント)機能からTransferJet、受信する場合は、受信アプリを起動しておく。準備ができたら、画面の指示に従って相手側の機器にかざせば一瞬でデータ共有が完了する。F-04G同士だけではなく、専用のドングルを接続したAndroid端末、Windows PC、iOS端末や、2015年夏に発売予定のTransferJet対応SDカード(と、過去に発売されたTransferJet対応メモリースティック)とも通信できる。

photophoto TransferJetの通信部は背面のスリープボタン付近にある(写真=左)。受信時は、あらかじめ専用アプリを立ち上げておく(写真=右)

シンプルなカメラで、静止画リアルタイムHDRと4K動画撮影

 F-04Gでは、カメラ機能も強化されている。まず、メインカメラは、有効約2150万画素のソニー製CMOSセンサー「Exmor RS for Mobile」を国内で初採用し、オートフォーカス速度が大幅に高速化された。また、メインカメラにおける動画の4K(3840×2160ピクセル)での動画撮影に対応した。4K撮影した動画は、F-04Gで“復活”したMHL機能を利用して4K対応の外部ディスプレイに出力できる。

 インカメラは、2014年冬モデルの「ARROWS NX F-02G」同じく有効約240万画素のCMOSセンサーだが、新たに富士通の画像処理エンジン「GRANVU(グランビュー)」による画像処理と顔検出に対応した。

photo ついにARROWSが4K動画撮影に対応した。ただし、ワイドクアッドHD(2560×1440ピクセル)サイズでの撮影時と同様、録画時間などに制約がかかる
photo ARROWS NX F-01Fから“削除”されていたMHLが、4K出力対応のバージョン3.0となって“復活”した。より安定した映像出力をしたいときも安心だ。ちなみに、筆者の家には4K対応テレビ・モニターはない

旅費精算がとても楽になる「アシストナビ」

 F-04Gには、「アシストナビ」という新機能がある。これは、毎日の行動・位置情報からよく行く場所を推測してナビゲーションしてくれたり、実際に移動した経路の運賃を計算して表示してくれたりする機能だ。ナビ機能における歩行時間は、ユーザーの歩行速度を反映して表示される。旅費精算の際に、この機能を使えば、発駅・着駅を入力して……という手間が省けるので、個人的にはイチオシしたい機能だ。なお、この機能を利用するには、別途「NAVITIME」アプリをインストールしておく必要がある。また、位置情報をより正確に集計するため、GPSを使った測位を有効にしておく必要がある。

 位置情報を活用する機能としては、F-02Gから搭載している「パーソナルアシスト」も引き続き搭載している。時間、曜日、場所、行動からユーザーが起動したいであろうアプリを推測して表示してくれる便利さが特徴だ。分析が必要なため、有効にしてから1週間程度たって初めて使える機能ではあるが、慣れてしまうとこれ無しではいられなくなるほど便利な機能だ。

 なお、これらの機能で利用する行動・位置情報履歴などは、暗号化の上、セキュアな領域に保存される。

photophotophoto F-04Gの新機能「アシストナビ」は、NAVITIMEとの協業で提供される
photo F-02Gに引き続き、パーソナルアシストも搭載。駅に近いとアシストナビ(またはユーザーが使っている乗り換え案内アプリ)を真っ先に勧めるなど、その場で使いたいであろうアプリを表示してくれる

 今回のレビューも、以前同様、(筆者的には)駆け足になってしまった。Iris PassportとTransferJetをはじめとして、使い始めたら「これなしではいられない」という機能が満載なのが、ARROWS NX F-04Gの魅力なのだ。

 次回は、Iris Passportに焦点を絞ったレビューを予定しているので、ぜひとも楽しみにしていただきたい。

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