「小さい」というあらがいがたい魅力――iPhone SEという都会派プレミアムコンパクト(2/2 ページ)

» 2016年03月29日 18時00分 公開
[神尾寿ITmedia]
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画面サイズと通信性能の違いをどう評価するか

 一方、iPhone 6sとiPhone SEで、明確に違うのは「ディスプレイ」と「通信性能」である。

 まずディスプレイのサイズが違うのは、両者の差別化ポイントなので当たり前。iPhone SEは4型のRetinaディスプレイで、iPhone 6sは4.7型のRetinaディスプレイになる。

 前述の通り、日常的な使い勝手ではiOSのUIデザインのよさもあり、iPhone SEの画面サイズの小ささを不利に感じることはない。また今回、dTVなど最近人気の動画配信サービスや、ナビタイムジャパンのカーナビタイムなど、大画面ディスプレイの恩恵を感じやすいアプリやサービスも使ってみたが、iPhone SEだと画面の小ささを不利に感じるということはなかった。ただし、カーナビアプリでは、運転中の視認性ではやはり4.7型ディスプレイのiPhone 6sの方が使いやすいのも確かだ。筆者の個人的な印象では、動画配信サービスよりもカーナビアプリの方が、大画面の恩恵を感じやすい。カーナビアプリを多用するというならば、iPhone 6sやiPhone 6s Plusなど大画面モデルの方がお勧めである。

iPhone SEiPhone SE iPhone 6sとiPhone SEで、ナビタイムジャパンの「カーナビタイム」を使ってみた。地図画面ではiPhone SEでも十分実用的だが、狭い車内での文字入力はやはり画面の大きいiPhone 6sに分がある

 次に通信性能だが、iPhone 6s/6s Plusは最大300Mbps(国内では262.5Mbps)のLTE通信に対応するのに対して、iPhone SEは最大150Mbps。Wi-Fi性能も前者は最大866Mbpsだが、後者は最大433Mbpsである。ここはCPU性能と違い、コンパクト化で妥協された部分といえる。

 iPhone SEと5sどちらにもドコモのSIMカードを挿し、実際に都内で簡単にベンチマークを取ってみると、iPhone SEの実効通信速度は、ダウンロード(下り)だとiPhone 6sのおおよそ半分くらいだった。これはiPhoneをテザリングモードで使い、MacBookなどをつないでいる人には少し気になる部分だろう。しかしその一方で、LINEやSNSなど“スマホ的”な使い方で重要になるアップロード(上り)速度は、iPhone SEとiPhone 6sでの差はほとんどない。これはiPhone 6s/iPhone 6s Plusで採用した高速化技術が、主にダウンロード速度の向上のためのものだからだ。実際の使い勝手で見ても、ノートPCのテザリング利用でもしなければ、iPhone SEだからといって通信速度を遅いと感じることはなかった。

iPhone SEiPhone SE ドコモ本社前でのベンチマーク結果。左がiPhone 6s、右がiPhone SE。電波環境のいい場所では、iPhone 6sの通信速度の速さは際立つ
通信速度のベンチマーク(Mbps)
iPhone 6s iPhone SE
ドコモ本社前(屋外) 1回目 下り 75.15 16.32
上り 8.42 8.41
2回目 下り 60.34 15.54
上り 7.53 24.54
3回目 下り 89.41 15.54
上り 16.34 24.54
4回目 下り 74.11 15.56
上り 15.5 18.13
5回目 下り 57.52 23.74
上り 16.48 20.94
平均 下り 71.306 17.34
上り 12.854 19.312
インターコンチネンタルホテルラウンジ(屋内) 1回目 下り 26.99 9.28
上り 7.4 6.35
2回目 下り 24.95 15.75
上り 8.97 5.3
3回目 下り 33.95 14.66
上り 9.44 2.67
4回目 下り 35.22 12.1
上り 10.08 3.96
5回目 下り 25.77 12.19
上り 6.01 4.84
平均 下り 29.376 12.796
上り 8.38 4.624
iPhone SEとiPhone 6sにドコモのSIMを挿して通信速度を比較。屋外では電波環境がかなりよいと思われるドコモ本社前と、屋内でノートPCを利用するシチュエーションで多いホテル(インターコンチネンタルホテル東京)のラウンジでそれぞれベンチマークを取った。これを見ると、iPhone SEのダウンロード速度は6sに及ばないものの、アップロード速度は健闘していることが分かる。テザリング利用が多いならばiPhone 6sの通信速度は捨てがたいものの、iPhone単体での利用ならばiPhone SEでも大きな不満はなさそうだ

iPhone SEのあらがいがたい価値

 筆者は2014年のiPhone 6、2015年のiPhone 6sともに発売日に購入し、メインのスマートフォンとして日常的に使ってきた。また同じく日常的に使っているAndroidスマートフォンも、画面サイズが5.2型のXperiaである。スマートフォンの大型化を、「市場ニーズの変化」であり、「時代の潮流」だと受け入れて積極的に使ってきた。

 しかし、iPhone SEを使った時の“しっくりとくる”感じはなんだろう? いかに理屈で抑えつけようとしても、あらがいがたい魅力として押し寄せてくる。これはすなわち、身体性の問題なのだ。まったくもって理性の問題ではない。

 無論、iPhone SEによるダウンサイジングが、今後の市場トレンドだとは思わない。やみくもなスマートフォンの大型化に一定のブレーキをかけるかもしれないが、Apple自らが範を示したように、iPhone 6sやiPhone 6s Plusのサイズにもそれぞれ市場があるからだ。

 とはいえ、私にはiPhone SEのサイズ感が合うようだ。試用し始めて3日で、理性ではなく身体的欲求として、筆者はiPhone 6sからiPhone SEに機種変更することを決めた。

 もし読者諸兄が、今のスマートフォンのサイズに違和感を覚えているのなら、店頭で新しいiPhone SEを手に取ってほしい。掌に包み込んだ時に“しっくりくる”と感じたのなら、恐らくそれがあなたにとってのベストサイズということだ。

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