HTV32が今までのHTCスマホから大きく進化した点を挙げるなら、「カメラ」と「オーディオ」は外せない。
アウトカメラは、1200万画素の 「UltraPixel 2」センサーを採用している。画素数こそ少なめだが、画素ピッチを1.55マイクロメートルとすることで、集光性能が向上している。レンズのF値は1.8で、センサーと合わせて暗所での撮影に強いカメラに仕上がっている。レーザーオートフォーカス(AF)によって、ピント合わせも高速だ。動画は4K(3840×2160ピクセル)撮影に対応しているだけではなく、音声をハイレゾ録音できるようになっている。
インカメラは500万画素のセンサー(画素ピッチ1.34マイクロメートル)を備えている。レンズはF1.8で、インカメラとしては世界初の光学式手ブレ補正にも対応している。暗所での自撮りに役立つ「ディスプレイフラッシュ機能」も備えている。
実際に夜景をHTV32で撮影してみたが、ハッキリ、クッキリした写真に仕上がった。レンズとセンサーの組み合わせの良さ、手ブレ補正の効果を誰でも実感できるだろう。
オーディオでは、HTCスマホではおなじみの「BoomSound」が、各スピーカーに独立したアンプを備える「BoomSound Hi-Fi edition」に進化した。また、イヤフォン端子はよりきめ細かい再生を実現する24bit出力に対応した。
HTV32は、同梱アクセサリーも充実している。
まずイヤフォンは、HTC製のハイレゾ対応品となっている。ハイレゾ対応スマホは数あれど、同梱のイヤフォンまでハイレゾ対応したのは日本では初めてだ。買うとそこそこ高価なハイレゾ対応イヤフォンを同梱するのは、ユーザーとして非常にうれしいのではないだろうか。
また、Quick Charge 3.0対応のACアダプターも同梱している。HTCの社内テストによると、このACアダプターを使えばバッテリー残量0%の状態から約30分で50%の充電が可能ということだ。最近はACアダプターが別売りであるスマホも珍しくない。この点でもHTV32はお買い得といえるだろう。
今回、筆者はHTV32の性能の高さと質感の良さに「久々にHTCらしい機種が発売される」とワクワクした。
HTC Jシリーズ以前からの古参ファンからしてみれば、HTC製スマホは「海外の個性的なハイスペックスマホ」というイメージだった。ところが、HTC Jシリーズでは日本市場のニーズに合わせるようになり、HTC製スマホは良くも悪くも「優等生」になってしまった。それが逆に、コアユーザーからしてみれば「没個性」と感じる要因になっていたことは否めない。
だが、HTV32では、キャリア向けのラインアップとしては本当に久しぶりに、グローバルモデルを最小限のローカライズで投入してきた。おサイフケータイやテレビの非搭載はマイナスポイントといえなくはないが、それ以上にグローバルモデルとほぼ変わりのない機種であることを素直に喜びたい。
HTV32は国内向けのスマホとしては最先端の機能を搭載している。「HTC 10の“10”はPOWER OF 10。10点満点を目指した」というHTC NIPPONの説明通り、隙のない製品であるといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.