MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供する、いわゆる「格安SIM」を主にサービス面から定点観測する本連載。2016年4月・5月のデータ通信編では、MVNOサービスにおける災害対策や公衆無線LAN(Wi-Fi)サービスの拡充を主に取り上げた。
2016年6月・7月のデータ通信編では、MVNO同士が協業して相互のサービスを販売する動きや、スマートフォンゲームの国内配信開始に合わせたサービス面での動きなどに注目した。
(記事中の料金は、特記のない限り税別。2016年7月31日までの情報をもとに掲載)
7月13日、東京都港区に「スマモバ×U-mobileストア 六本木」がオープンした。名前の通り、スマートモバイルコミュニケーションズの「スマモバ」とU-NEXTの「U-mobile」のコラボショップで、両者のSIMカードや端末とのセット販売を取り扱う。
スマートモバイルコミュニケーションズでは、自社のスマモバだけではなく他のMVNOサービスを取り扱う店舗「格安スマホの窓口」を展開しており、既にU-mobileも取り扱っている。一方、U-NEXTではU-mobileを含む自社サービスを販売する「U-NEXTストア」を展開しており、7月末までに全店舗でスマモバの取り扱いを開始した。今後は、家電量販店に展開している販売コーナーでも両者で共同化する取り組みも実施する予定だ。
MVNO同士が販売面で提携し、相互のサービスを販売するという取り組みは筆者の知る限りこれが初めてだ。参入事業者が増え、今後は淘汰(とうた)が起こりうるという指摘もあるMVNO業界。今後、MVNO同士が販売連携をする動きが広がるかどうか、注目したい。
7月22日、米Nianticのスマホゲーム「ポケモンGO(Pokemon GO)」の日本配信が始まった。それに前後して、一部のMVNOが“便乗”する動きを見せた。
まず、7月19日にドリームトレインインターネット(DTI)が「DTI SIM」の新プラン「DTI SIM ノーカウント」を発表した。新プランの大きな特徴は、契約から1年間は特定アプリでのデータ通信を料金計算に含めない、という点にある。発表段階で対象となった「特定アプリ」はポケモンGOで、提供開始予定日は「ポケモンGOの日本配信開始後」とされた。つまり、ポケモンGOをプレイする人を狙い打ちするように新プランを作ったのだ。
それに続き、プラスワン・マーケティングが「FREETEL SIM」において8月下旬から9月ごろをめどにポケモンGOのプレイに関連する通信を無料化することを発表した。こちらは専用プランではなく、既存の「使った分だけ安心プラン」「定額プラン」の無料通信対象範囲を広げる形で実現する。
さらに、日本通信が「b-mobile」のラインアップとして8月10日にポケモンGO“専用”のプリペイドSIMカード「ゲームSIM」を発売することを決定した。ポケモンGOのプレイ以外では「Google Play」「App Store」と日本通信のWebサイトのみ通信可能ということで、その“専用”ぶりは徹底されている。
ポケモンGOのために(準)専用プランを作ったり、無料通信サービスの対象に加えたりするMVNOは少数だが、独自の動作検証を行ったMVNOは少なくないようだ。MVNOの「ポケモンGOフィーバー」はいつまで続くのだろうか。
ソニーネットワークコミュニケーションズ(旧:ソネット)では、So-netブランドでさまざまなMVNOサービスを展開している。その中でも特に注目度が高いのは、月間500MB未満の通信ならデータ専用プランは月額0円(無料)で利用できる「0 SIM(ゼロシム)」だ。ITmedia Mobileでも複数の記事で取り上げているほか「通信速度定点観測」で定期的に通信速度を計測している。
普段はモバイル通信をしないスマホ・タブレットに入れておくと非常に便利な0 SIMだが、8月と9月は「0」の付く日(10日・20日・30日)のみ新規申し込みを受け付けることになった。
この変更の理由については、NTTドコモが8月1日から「USIMカードの貸与に係る費用」をMVNOから徴収するようになることが指摘されている。今後、ドコモ回線を利用するMVNOサービスでも、SIMカードの発行に新たな手数料を徴収するようになる可能性もある。今後の動向に注目だ。
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