―― Xperiaスマートプロダクトとは?
伊藤氏 最近のソニーは「ラストワンインチ」という言葉を使っているが、お客さまの近くで、お客さまとの接点で感動体験をお届けできるのが、今後のソニーの強みになっていく。スマートプロダクトでは、新しいコミュニケーションを喚起するための新しいインタフェースを提案したい。
―― スマートフォンは汎用(はんよう)的でいろいろな用途に使えるが、スマートプロダクトはそれを個別に切り出したものなのか?
伊藤氏 スマートフォンがなかなか使えないとき、Xperia Earならボイスインタラクションで同じ操作ができる。家の中では、スマホじゃなくてもいいといった状況があるはずだ。世代や職業などで、スマホではないベストなデバイスがある可能性も想定している。
―― Xperia Earは11月に欧州で発売するというが、色がグレーなのはビジネス向けなのか?
伊藤氏 まずは1色から展開する。カラーバリエーションの議論はしており、若い女性から欲しいという声もあるなどフィードバックを得ている。ただ、まったく新しい体験なので、いきなり多くの物を出すよりは、1つの色で象徴的に出したい。
―― 360度カメラについてはどう考えているか?
伊藤氏 現時点で明快な戦略はお伝えできないが、Xperia ProjectorやXperia Agentをやっている理由は技術のシーズがあるからだ。プロジェクターなら、SXRDというソニーの優れた技術があり、それにタッチを組み合わせて新しいコミュニケーションができる。360度カメラのどこに技術のシーズがあるかは、まだ試行錯誤している。
―― Xperia Agentはロボットなのか?
伊藤氏 顔と胴回りが動くので、意外とリッチな表現ができる。足はないが、家の中に置いて使う上では、かなり表現力が高い。
―― 2016年2月のMWCでは「Xperia Eye」があったが、中止されたのか?
伊藤氏 Xperia Eyeについては継続的に議論をしており、諦めたわけではない。フィードバックを得ながら、タイミングを考えている。現時点でのアップデートは早いと判断した。
―― Xperiaというブランドをどう派生させていくのか?
伊藤氏 Xperiaの中心にはコミュニケーションがある。これはチーム内で常に意識している。IoTの世界には電球から乾電池までさまざまなものがあるが、われわれはウェアラブルとか家の中のデバイスといったような定義は限定していない。コミュニケーションが発生する場所なら、Xperiaがあってもいい。
―― コミュニケーションはヒト対ヒトなのか、それともモノもあり得るのか?
伊藤氏 非常に面白い議論だ。まずはヒトとヒトだが、いま見えてきているのはXperia Agentとの会話のような、ヒトとモノというコミュニケーション。その先にはモノとモノがあり、家の中にあるデバイス同士がいろいろなベクトルで会話する世界が来るのではないか。どういう形であれ、ソニーらしいやり方で提案したい。
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