ケイ・オプティコムは1月19日、同社のMVNOサービス「mineo」の事業戦略説明会を開催した。説明会ではmineoの現状と今後の戦略の説明と、2月1日から販売する新端末の紹介が行われた。
1月13日に契約者数が50万件を突破し、3月末には「目標としている55万件を達成する見込み」(モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏)であるmineo。2017年度末(2018年3月末まで)には、100万契約の突破を目標として掲げている。
1年3カ月で、ユーザーをおよそ倍にするという計画は、一見すると厳しいものに見えるが、その達成に向けてケイ・オプティコムはどのような取り組みをしていくのだろうか。
先述の通り、mineoは1月13日付けで契約者数が50万件を突破している。2015年9月にNTTドコモのネットワークを利用する「ドコモプラン(Dプラン)」を追加して以来、契約者数は毎月増加している。とりわけ、2016年9月・10月に実施したキャンペーンの効果は大きかったようで、MVNOサービスの新規契約の単月シェア(MM総研調べ)において、2016年10月・11月はmineoが1位になった。
単月シェアだけではなく、独自サービス型SIM(※)におけるMVNOサービスのシェア(MM総研調べ)においても、2016年3月末時点の6位から、2016年9月末時点では4位に上がっている。
※独自サービス型SIM:独立したMVNOが、独自の料金プランで提供する通信サービス(SIM)のこと
新規契約の“中身”についても、変化が見られる。
2016年9月から12月の直近3カ月間におけるmineoの新規契約者のうち、約4分の3が「デュアルタイプ(音声通話プラン)」を選択したという。mineoを含め、MVNOサービスは「データ通信専用(mineoでは「シングルタイプ」)」を「サブ端末」で使うケースが多かったが、メイン端末で使おうという人が増えているのだ。MNPでの転入も増えているという。
また、同時期の新規契約者の女性比率は、約3分の1にまで高まっている。いわゆる「マジョリティ層」が増えている現れだ。より多くのマジョリティ層を獲得すべく、リアルイベントにも注力している。
総務省の各種施策もあって、MVNO市場は活況を呈している。また、mineoも先述の通り契約者数を伸ばし続けている。しかし、MVNOサービスは差別化が段々と難しくなってきており、事業の統廃合による淘汰(とうた)の時代に入りつつあるという指摘もある。
そんな中で、mineoは2018年度末までに100万契約の突破することを目標に据えているのは先述の通り。さらに、2019年度末(2020年3月まで)には200万契約を達成したいとしている。
市場もmineoも“上り調子”ではあるが、どのような戦略をもって高い目標を達成していこうというのだろうか。その“鍵”の1つが、mineoのファンサイト「マイネ王」とブランドステートメント「Fun with Fans!」による差別化だ。
マイネ王は、mineoユーザー同士だけではなく、mineoユーザーとmineoに携わるスタッフとも直接交流できることが大きな特徴だ。交流の中で、サービスに対するニーズ(需要)とシーズ(種)が可視化され、新サービスの展開や既存サービスの改善につながるだけではなく、カスタマーサービスの精度も向上する。mineo独自サービスである「フリータンク」や「プレミアムコース」は、マイネ王でユーザーから寄せられた意見をもとに作られたものだ。
結果として、既存ユーザーは継続契約の意向が高まり、サービスに対する評価を見た人がmineoの契約を検討するという好循環につながる。「マイネ王はmineoの成長エンジン」(上田氏)なのだ。
mineoは、そのサービスについて「データという無機質なものを運ぶだけの土管」ではなく、ユーザーの温かい感情を運ぶ「気持ちのインフラ」でありたいと考えているという。それを可視化すべく2016年12月からマイネ王で提供しているのが「HAPPY METER」だ。マイネ王内の投稿・コメントにあるハッピーな文字列の数やチップの送付数をカウントし、グラフ化するというものだが、マイネ王ユーザーからの反応はおおむね好意的であるようだ。
Fun with Fans!というブランドステートメントを実現すべく、ユーザーもmineoに携わるスタッフも「fun(楽しい・愉快)」と思える環境作りをすることこそ、mineo最大の武器なのだ。
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