本格展開を開始した「LINEモバイル」 嘉戸社長が語る“ユーザー目線”の戦略MVNOに聞く(3/4 ページ)

» 2017年03月27日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

カウントフリーの通信量はプランでまちまち

―― 発表会の際に、カウントフリーで使われるデータ量の割合が27%というデータも出されていました。これはどういう計算なのでしょうか。

嘉戸氏 全プラン、全通信量の中で、カウントフリーになっているものが27%ということです。コミュニケーションフリーもLINEフリーもMUSIC+も全部足しています。もちろん、中ではプランごとのカウントフリーの割合は見ていますが。

―― MUSIC+の方が高いなど、あるのでしょうか。

嘉戸氏 これが毎日変わるんです。3GBのユーザーと7GBのユーザーでもカウントフリーの割合が違うことがありますし。ただ、カウントフリーを使っているからといって、トラフィックに影響があるかというと、そうでもありません。

―― ちなみに、7GBの方が多いのでしょうか。

嘉戸氏 それも分からないんです(笑)。時期によっても違いますし。なるべく分かるようにと分析はしているのですが、MUSIC+にもけっこう波があって……。ですので、全平均という出し方をしました。

―― 27%分、他社よりお得という捉え方もできそうです。

嘉戸氏 ただ、私たちはこれをマーケティングデータとして使うべきではないと思っています。よく「カウントフリーになった容量を教えてほしい」ともいわれますが、そこまでリアルタイムに計算しているわけでもなく、端末側の情報と違うと「違う」といわれてしまいます。出さないのには、そういう技術的な問題もあるんです。謎にすることで、お客さんにもゲーム感覚で楽しんでもらえますし(笑)。実際、「こんなに使ったのに、データ通信はこれだけしか使ってない」という声はよく聞きます。

―― 今、10GBプランまでですが、これをもっと大きくすることはあるのでしょうか。

嘉戸氏 10GBプランの割合の少なさを見ると、入れてどうなるかというのはありますね。

LINEフリー、意味はあるから!!

嘉戸彩乃

―― 次にユーザー層ですが、現状では、やはり「よく分かっている人」や「よく分かってる人が渡した人」が多いのでしょうか。

嘉戸氏 (筆者の)Twitterで「ドヤSIM」(※お得だが、人があまり知らないため、ドヤ顔でオススメできる通信サービスのこと)っていわれてましたよね(笑)。まずは、そのドヤSIMから始めないと厳しいというのは、確かにありました。LINEモバイルがいいと感じてもらい、次はその家族という感じですね。

 現状はそれが圧倒的に多い。シニアがいきなりスマホにするようなときは、多分キャリア(MNO)に行くんです。そもそも、何でスマホにしないというと、周りがしていないことが大きい。その周りは誰かというと、それもまたシニアなので、子どもが「スマホにしてくれ」という話をする(LINEモバイルをオススメする)んだと思います。

―― 家族も含めてコミュニケーションフリーが多いのでしょうか。

嘉戸氏 15歳以下と50代以上は、圧倒的にLINEフリープランが多いですね。70代、80代になると、ほぼ100%がLINEフリーです。使っているのが生存確認に近いのでしょうか。タブレットとセットでという方もいます。

 よくこの辺(手書きのグラフで20代、30代を指しながら)の人たちに、「LINEフリーなんて意味ないじゃん」っていわれますけど、意味はあるから!!(語気を強めながら)  CMではコミュニケーションフリーに寄せていて、それはこの辺に向けたメッセージになっています。

音声定額を始める意図

―― 次に、初夏に始める新サービスについてうかがいます。音声定額ですが、これはアプリで通話サービスを提供しているLINEがやるのかという意外感がありました。

LINEモバイル 2017年初夏をめどに「通話定額オプション」を提供する予定

嘉戸氏 確かに、悩んだところではあります。ただ、固定電話にかけたい、知らない人にかけたいというニーズはそれなりにあります。「LINE Out」のような他のサービスもありますが、使い勝手を考えたとき、どっちがいいのかですね。出してみようという感覚に近いのですが、LINEは結構こういう会社で(笑)。カメラアプリも4つあったり、LINE WOWがあった中で出前館と提携したり(笑)。ユーザーに問うてみようという感じです。

 LINE Outでもいいじゃないかというと、難しいところがあって、あれは前払い方式なんです。ユーザーはどこかに電話するときに、前払いしてまで掛けないですよね。完全にかけ放題にしなくてもできるところが後払いのメリットで、そういう仕様であることが大きいですね。

―― 契約者獲得のための売りの1つにはなるとお考えでしょうか。

嘉戸氏 それで契約者数が3倍になるというようなことはないと思います。定額がなくても音声比率は高いですし、これはどちらかというと、迷っている人に向けたものですね。

―― 次に、MUSICフリー……(と言い間違える)

嘉戸氏 じゃなくて、MUSIC+。間違えますよね(笑)。あれは裏話をすると、商標が取れなかったからで、プラン名には変遷がありました。そもそも、LINEフリー、コミュニケーションフリーも、事業戦略を発表した当初は「Unlimited」でしたからね。あれも、アンケートを取ったら「中二病っぽい」といわれてしまって(笑)。

―― 話がそれてしまいました(笑)。あらためて、MUSIC+で追加するのは、どのようなサービスでしょうか。

嘉戸氏 上から順番にという感じです。ただ、パッケージになったサービスの中の音楽サービスだと、使っている人が多くても、実際に音楽を聴いている人が少なかったりもします。カウントフリーをやるにもコストはかかるので、何がカウントフリーに値するかは、しっかり見ていきます。シンプルをどれだけ貫くか。これはシステムに影響することですからね。

―― Twtiter、Facebook以上に音楽サービスは直接の競合になりそうですが、それでもやるのでしょうか。

嘉戸氏 それを排除するなら、最初からTwitterやFacebookはやってないです(笑)。LINEモバイル自体は結構無邪気なのでやっちゃいます。もちろん、社内調整はしていますけどね……。

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