MVNOのSIMが手元に届くまでに行われていることMVNOの深イイ話(3/3 ページ)

» 2017年07月04日 06時00分 公開
[堂前清隆ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

物流と黒SIMのコスト

 MVNOはキャリアが発行するSIMカードの提供を受けていますが、これにかかるコストはどのように処理されるのでしょうか。ドコモの場合、新規開通の手続き費用として2000円(税別、以下同)、USIMカード貸与にかかる費用として394円がかかることが約款に定められており、SIMカードのプロビジョニングを行ったタイミングでこの費用が発生します。また、プロビジョニングを行ったSIMについては、基本使用料として毎月97円が請求されます。これは、通信を全く行わなかった場合でも発生します。

SIM MVNOが負担するSIMカード関連のコスト。ドコモの「MVNO様向け卸携帯電話サービス概要のご説明資料」から引用。赤枠は筆者が囲ったもの

 つまり、量販店の店頭に並んでいる黒SIMが入ったパッケージは、店頭に在庫しているだけで97円が毎月請求されるのです。これはMVNOにとっては地味に痛い出費です。多くの店舗にSIMを配置することができれば、自社のSIMが手に取られる可能性は上がるでしょう。しかし、そのためには店頭に在庫されるSIMの量が増え、それが月々のコストとなって跳ね返ってくるのです。

 支払金額が決まっているプリペイドタイプのSIMだと、長期在庫してしまうと赤字になる恐れさえあります。特に旅行者向けの短期間利用のプリペイドSIMではその傾向が強くなっています。MVNOの負担を押さえるために店頭在庫をなるべく減らし、回転をよくしなければなりません。その上で売り切れを回避するためには、適切な生産調整と頻繁な納品が必要になります。まるで生ものを扱っているようです。

 この状況は、SIMカードを自分で発行できず、キャリアが定めたプランの中でビジネスを組み立てなければならないライトMVNOの制約の1つです。フルMVNOであれば、SIMカードの調達コストや設備コストをどのように回収するか、自社でプランを組み立てられるため、別の解を見つけられるかもしれません。

使い終わったSIMは返却が必要なの?

 最後に、解約などによって使わなくなったSIMの扱いを取り上げましょう。規約を見ていると、使わなくなったSIMカードはMVNOに返却するように、と指示されていると思います。実は、MVNOに提供されるSIMはキャリアからの貸与(レンタル)品なので、MVNOはそのSIMを利用者にまた貸ししています。MVNOとしては、キャリアから借りたSIMを勝手に処分してよいというわけにはいきませんので、利用者にもSIMの返却を求めているのです。

 ちなみに、キャリアにSIMを返さなかった場合でも、MVNOがキャリアからペナルティを受けることは今のところないようです。IIJでも利用者からSIMが返却されなかった場合のペナルティは今のところ特に設けていません。

著者プロフィール

堂前清隆

堂前清隆

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) 広報部 技術広報担当課長

「IIJmioの中の人」の1人として、IIJ公式技術ブログ「てくろぐ」の執筆や、イベント「IIJmio meeting」を開催しています。エンジニアとしてコンテナ型データセンターの開発やケータイサイトのシステム運用、スマホの挙動調査まで、インターネットのさまざまなことを手掛けてきました。


基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年05月30日 更新
  1. Switch 2の「箱の中にHDMIケーブルが入っていなかった」との問い合わせ、任天堂に寄せられる (2026年05月29日)
  2. 「Rakuten Linkで着信拒否できない件」を楽天モバイルはどう考えているのか 置き去りにされた基本機能の行方 (2026年05月29日)
  3. 陸マイラーの筆者が「ANAモバイル」を契約 20%マイル付与だけじゃない、“メイン回線昇格”の理由 (2026年05月27日)
  4. スマホのバッテリー切れでも「モバイルSuica」は使える? “予備電力機能”がSNSで話題に (2026年05月29日)
  5. 「Xiaomi 17T」シリーズの価格は「非常に頑張った」 海外より激安 価格変動を抑えられた理由 (2026年05月29日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. 「Xiaomi 17T」シリーズ6月4日発売 17Tも光学5倍カメラ、17T Proは7000mAhバッテリーやFeliCa搭載で11万9800円から (2026年05月28日)
  8. サンコー、電動うちわを発売 10年ぶりの第3世代モデル、土台強化で“自走しちゃう問題”も克服 (2026年05月29日)
  9. ケータイ感覚で使えるスマホ「MIVEケースマ」がau Flex Styleに登場 3万4800円で販売中 (2026年05月29日)
  10. 厚さ約14mmの薄型急速充電器「CIO NovaPort SLIM DUO 65W 2C」が27%オフの4380円に (2026年05月28日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年