電話番号からIMEIまで 携帯電話網で使われるさまざまな「ID」:MVNOの深イイ話(1/3 ページ)

» 2017年04月07日 11時40分 公開
[佐々木太志,ITmedia]

 携帯電話のネットワークは歴史も長く、進歩も激しいため、実のところ非常に複雑なものです。その全てを理解することは恐らくとても困難かと思いますが、もし技術的に興味をお持ちの読者がいらっしゃるとしたら、いくつかの専門用語を理解することで、より携帯電話のネットワークへの理解が促進されるのではないかと思います。

 今回は、技術用語の中でも皆さんが触れることが多い、携帯電話で使われるさまざまなID(識別番号)を紹介しつつ、それらのIDがどのような意味を持つかご説明しようと思います。

ID 今回紹介する4つの「ID」

MSISDN:いわゆる「電話番号」のこと

 MSISDN(エム・エス・アイ・エス・ディー・エヌ)とは、いわゆる携帯電話番号のことを指します。先頭のMはMobile(モバイル)の略なので、固定電話の電話番号はMSISDNには含まれません。

 ただ、国によっては固定電話の番号と携帯電話の番号の区別がない場合もあり(米国など)、固定電話と携帯電話の電話番号をあまり厳密に分ける意味はないともいえるかもしれません。

 固定電話、携帯電話とも、その電話番号の形式は、国ごとの電話の長い歴史を鑑みて、通信規制機関(日本では総務省)が決定します。一方、国際電話の観点から、全ての国が守らなければならない共通ルールも必要となるため、スイスに本部を持つ国際機関である国際電気通信連合(ITU)が、各国の規制機関に対する勧告(MSISDNの場合はITU-T E.164/E.190)を出して、それらの共通ルールを設けています。

 日本では、総務省の省令である電気通信番号規則の第9条1項3号でMSISDNが規定されています(固定電話番号は同じ第9条の1項1号)。この電気通信番号規則の別表には、それぞれの番号の割り当てを受けられる事業者の条件があります。

 MSISDNについては、

  1. 基地局を有すること(基地局要件)
  2. NTT東日本/西日本の固定電話の交換設備と接続がされていること
  3. 緊急通報(警察、消防、海上保安庁)が利用可能であること

 の3つの条件が設けられています(音声通話が可能なものに対して)。

 1つ目の基地局要件により、MVNOは総務省からMSISDNの直接の割り当てを受けることができず、MVNOの利用者の電話番号は全てMNOに割り当てられた番号から再割り当てを受けることになります。

 MSISDNの役割は、電話(音声通話)をかける際に電話機と電話機をつなげ、どの利用者に電話をかけるのか、どの利用者からの電話なのかを識別させることにあります。つまり利用者を識別するための番号といえます。

 そのため、MSISDNは利用者が携帯電話会社を変えても同じ番号を継続的に利用できる制度(MNP)が電気通信番号規則で定められており、音声通話が可能なサービスについては、MVNOを含めた各社がMNP転出入をサポートしています。

 反面、データ通信専用サービスではMSISDNの利用用途はほとんどありません。設備の互換性のためにデータ通信専用サービスにもMSISDNは付与されていますが、その番号に電話をかけても「おつなぎできない」という音声ガイダンスが流れ、またMNPの対象にもなっていません。

 MSISDNは、携帯電話の急速な普及と共に、番号のリソース不足を何度か経験しています。携帯電話の前身としてサービスが開始された自動車電話用として、1979年の民間サービス開始当初に用意された番号はわずかに10万個でした。その後、番号が不足するごとに追加され、現在は2億7千万個もの番号が準備されています(利用中の番号を含む)。

 ただ、これでも2018年には枯渇することが予想されたため、「060」から始まる9000万個の番号の追加が行われる見込みです。

MSISDN 携帯電話に割り当てられる電話番号は、年々減少しており、2018年には指定できる電話番号がなくなる可能性がある(画像は総務省の「携帯電話番号の有効利用に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」から引用)

 また、新たに020から始まる電話番号を確保し、スマートフォンなどから電話番号を分けることになりました。これは今後、IoTの本格的な普及と共に爆発的に端末が増えることが予想されているデータ通信専用サービスが、携帯電話番号を食いつぶすことがないようにするためです。

 020番号の利用は「2017年10月から始まる」とNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社からアナウンスされており、データ通信専用サービスを提供するMVNOでの利用も行われることとなるでしょう。

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