電話番号からIMEIまで 携帯電話網で使われるさまざまな「ID」MVNOの深イイ話(2/3 ページ)

» 2017年04月07日 11時40分 公開
[佐々木太志ITmedia]

IMSI:ネットワークで使われる管理番号

 IMSI(アイ・エム・エス・アイもしくはイムジー)は、携帯電話の回線契約1つにつき1つ割り当てられる15桁程度の管理用の番号です。MSISDNと似ていますが、MSISDNが利用者に提供される番号であるのに対し、IMSIは携帯電話ネットワークの中で使われるための番号です。

 利用者が自分のSIMカードのIMSIを知る機会はあまりないかもしれません。ですが、MSISDNが電話をかけたり受けたりする時以外にあまり役に立つことがない番号であるのに対し、IMSIははるかに重要な役割を果たします。

 例えば携帯電話の電源が入ると、基地局との最初の通信においてIMSIをチェックされ、IMSIのデータベースである「HLR/HSS」が許可したサービスだけを利用することができます。

 例えば、国際ローミングの契約がない利用者のIMSIがHLR/HSSに記録されていれば、その利用者のSIMカードは海外で圏外になります(基地局への位置登録が失敗します)。音声通話が使えるか否か、あるAPNを利用できるかどうかなど、IMSIにより制御されるネットワークの機能は多岐にわたります。

 また、端末がIMSIにより動作を変える場合があることもよく知られています。SIMロックのかかった端末において、SIMカードを識別して使えるか使えないかを制御するためにIMSIが使われますし、SIMロックフリー端末においてもIMSIによって設定できる機能が変わったり、使える通信方式が変わったりすることがあります。端末がIMSIのデータベースを内蔵していて、そのデータベースにより端末の挙動が変わるのです。

 IMSIも、ICCIDと同様、その先頭の数桁が携帯電話会社を指す番号となっています。そのうち先頭の3桁がMCC(Mobile Country Code)と呼ばれる国の識別子となっていて、続く2〜3桁がMNC(Mobile Network Code)と呼ばれる事業者識別コードとなります。日本のMCCは440と441の2つです。

 このMCCとMNCの割り当ては、電気通信番号規則第8条にのっとって総務省が担当します。例えばNTTドコモはMCCとして440を、MNCとして10の割当てを受けています(ひとまとめにして44010とされることが多いです)。電気通信番号規則による事業者に必要な条件は

  • 端末設備を識別するための設備を設置すること

 の1つだけで、この「端末設備を識別するための設備」とはいわゆるHLR/HSSのことを指します。携帯電話会社(MNO)は全てHLR/HSSを持ちますが、日本のMVNOはまだHLR/HSSを運用しているところがありません。

 筆者の所属するIIJは、今後のフルMVNOサービスの開始に向けHLR/HSSの準備を進めており、2016年12月に日本のMVNOとして初めて、MCC440、MNC03の割当てを受けました。今後IIJがフルMVNOとして独自に発行するSIMカードは、44003から始まるIMSIを持つこととなります。

 なお、IIJの全てのSIMカードが44003に変わるわけではありません。個人向けに提供しているIIJmioサービスは基本的にこれまでの44010の(ドコモの)SIMカードのままとなります)。

ICCID:SIMカードに割り当てられるシリアル番号

 ICCID(アイ・シー・シー・アイ・ディー)はSIMカード1枚に1つ割り当てられる19桁程度のシリアル番号です。SIMカードに19桁の中の一部が印刷されていることが多く、お手持ちのSIMカードを見ることで確認できます(設定画面から全部の桁を確認できるスマートフォンもあります)。

 利用者や携帯電話会社のネットワークがこの番号を使うことはほとんどありませんが、MVNOの契約の際などにSIMカードを特定する目的で入力を求められることがあります。SIMカードを紛失して再発行する際や、SIMカードのサイズの変更をする場合には、電話番号は変わりませんが、ICCIDは変わります。

 ICCIDは先頭からの数桁がSIMカードを発行した携帯電話会社を指す番号(IIN)となっており、例えばICCIDが898110で始まっていればNTTドコモのSIMカードを指します(ドコモのSIMカードではこの6桁は省いて印刷されています)。また、より正確には、89が電気通信事業者を、81が日本を指し、ドコモを指すのはその次の10の部分となります)。

 IINは、今回紹介する他の番号と異なり、割り当てが総務省の仕事ではなく国際電気通信連合(ITU)の部局であるITU-Tとなります(ITU-T E.118)。現在、MVNOは独自のSIMカードを発行できませんが、今後の独自SIMカード発行を見据えてIINを取得しているMVNOがあります。例えば筆者の所属するIIJが日本のIINである898103を取得した他、ソラコムが子会社を通じてリヒテンシュタイン公国のIINである8942310を取得しています。

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