JDIが4辺狭額縁の「FULL ACTIVE」ディスプレイを披露 18:9のニーズが増えている理由は?

» 2017年09月27日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 ジャパンディスプレイ(以下、JDI)が9月26日、4辺狭額縁を実現する「FULL ACTIVE」ディスプレイの狙いやロードマップを説明した。

 同社は2016年8月にFULL ACTIVEディスプレイを発表し、2017年6月にはアスペクト比を18:9にしたFULL ACTIVEディスプレイの量産開始を発表した。2017年1月には、曲がるタイプのFULL ACTIVE FLEXディスプレイも発表している。

FULL ACTIVE 現在、注力して開発しているのが、右の18:9の「FULL ACTIVE」ディスプレイだ
FULL ACTIVE 3辺ではなく4辺を狭額縁にしたのがFULL ACTIVEの特徴

 FULL ACTIVEは主にスマートフォンへの利用を想定したもので、このディスプレイを搭載したスマートフォンとして、中国Xiaomi(シャオミ)の「Mi MIX 2」が発売されている。5.99型ディスプレイを搭載するMi MIX 2は、上下左右に加え、下部のベゼルも極限までそぎ落としている。前モデルのMi MIXも狭額縁ディスプレイを採用しているが、ディスプレイはJDI製ではなく、下部のベゼルが広かった。

FULL ACTIVE Xiaomiの「Mi MIX 2」。約6型ながら、ベゼルがほぼない分細いので、片手でも持ちやすい
FULL ACTIVE 主なスペック

 FULL ACTIVEではパネルの配線を極限まで切り詰めることで、下部のスペース削減にも成功し、Mi MIX 2のベゼルは前モデルから12%削減した。

 日本でも「Galaxy S8」「Galaxy S8+」や「iPhone X」など、ディスプレイのベゼルを狭め、18:9やそれに近いアスペクト比を取り入れたスマートフォンが増えつつある。また、かつてはシャープが「フレームレス」「EDGEST」と銘打って狭額縁のスマートフォンを投入していた。JDIも、この新しいディスプレイトレンドを追求し、具現化していく。

FULL ACTIVEのメリット

 FULL ACTIVEのメリットは「本体の小型化に貢献する」「ARとの親和性が高い」「空間や人をつなぐ新たな体験を生み出す」ことだとJDIは考える。FULL ACTIVEのコンセプト動画では、複数の画面を持つスマートフォンで地図を見る様子も紹介された。かつて2つのディスプレイを搭載した「MEDIAS W」「Kyocera Echo」「Sony Tablet P」などのスマホやタブレットがあった。最近はこのような変わり種の機種はめっきり見かけなくなったが、FULL ACTIVEによって、こうした端末が再び脚光を浴びるようになるかもしれない。

FULL ACTIVE FULL ACTIVEのメリット
FULL ACTIVE FULL ACTIVEはARサービスとも相性が良い
FULL ACTIVE 3画面スマホでワイドな地図+操作画面を表示するイメージ
FULL ACTIVE 複数のスマホやタブレットを重ねて情報を表示
FULL ACTIVE 6台のスマホを並べて、よりワイドなゲームも楽しむデモ

 ジャパンディスプレイ 上席執行役員 モバイルカンパニー社長に10月1日に就任予定の永岡一孝氏は、「スマートフォンのディスプレイは、3〜4年ごとに進化している」と話す。10年前の2007年に発売された初代「iPhone」は2G対応だったが、その後、3Gから4Gへと通信インフラが発達していくのに伴い、画面の高精細化や大型化が進んだ。

FULL ACTIVE ジャパンディスプレイの永岡一孝氏
FULL ACTIVE スマートフォン向けディスプレイの進化

なぜ18:9がトレンドに?

 そして2017年は、狭額縁化と18:9のアスペクト比が新たなトレンドになり、多くのスマートフォンメーカーから要望が挙がっているという。特に、「18:9か、18より大きくしてほしい」(永岡氏)という要望が多いという。

 永岡氏は18:9のメリットとして「正方形の画面サイズを、1画面に2つ表示できること」を挙げる。「簡単に思い付くのがInstagram。画像フォーマットが1:1なので、撮った画像を表示させて、もう1つの画面で自撮りをしてどちらが良いかを選べる」(同氏)

 また、Android 7.0から1画面に2つのアプリを同時に表示できるが、これも18:9ならより多くの情報を表示できるようになる。

 このように、1画面に複数の情報を表示しやすくなることが、18:9(縦長)ディスプレイのメリットといえる。

 アスペクト比が18:9などの縦長ディスプレイを採用したスマートフォンは、2017年から2018年にかけて急増するとJDIはみている。永岡氏は「来年(2018年)は半分以上、7〜8割(のスマートフォン)が18:9のFULL ACTIVEになっていくのではないか」と予測する。将来的にはスマートフォンだけでなく、車のバックミラー、2 in 1ノートPC、VR/AR対応のヘッドマウントディスプレイなどにも搭載されるとJDIはみている。

FULL ACTIVE FULL ACTIVE+18:9ディスプレイの採用が今後増えていくという
FULL ACTIVE バックミラーやノートPCなどにも拡大していく可能性がある

 「なぜ2:1じゃなく18:9なのか」という質問に対しては永岡氏も「分からない」と言いつつ、「16:9が伸びて18:9になった。19:9や20:9がいいというお客さまもいるので、『9』を基準にしているのだと思う」と答えた。

完全なベゼルレスは難しい?

 FULL ACTIVEといいつつも、Mi MIX 2ではベゼルがわずかながら残っている。FULL ACTIVEの明確な基準はないようだが、永岡氏は「縁が0.5〜0.6mmほど」を目安にしていると説明。下額縁を狭くする工夫をしているのも、FULL ACTIVEならではだと永岡氏は説明した。

FULL ACTIVE Mi MIX 2はコンマ数mmベゼルがある

 完全にベゼルを無くすには、FULL ACTIVE FLEXの方が適している。ただ、「FLEXは継続して開発しているが、FULL ACTIVEよりもハードルが高く、FULL ACTIVEに対する要望が強い」(永岡氏)ため、現在は18:9のFULL ACTIVEディスプレイの開発に注力している。また、スマートフォンの前面にはインカメラや各種センサーを搭載しているため、ディスプレイ以外の要素を完全に無くすのは難しい。わずかにベゼルを残す方が現実的な設計といえる。

 現在、7〜8社のスマートフォンメーカーがFULL ACTIVEディスプレイの採用に向けて動いているそうで、国内メーカーも含まれるとのこと。永岡氏は「2017年4Q〜2018年1Qにかけて、FULL ACTIVEディスプレイを搭載したスマートフォンが出てくる」との見通しを示した。

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