サービスを拡充したが課題も多い「au HOME」/独自性が欲しかったau冬モデル石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2017年11月25日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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バリエーションは豊富だが“独自性”が課題のスマートフォン

 au HOMEと同時に、KDDIは冬モデル4機種も発表した。スマートフォンは、「isai V30+」と「AQUOS R Compact」の2機種。もう2機種は、Android搭載フィーチャーフォンの「GRATINA」と「AQUOS K」だ。

au HOME 冬モデルも4機種を発表。先行発表されていた秋モデルと合わせて、計7機種になった

 isai V30+は、グローバルでV30+として発表されたLGエレクトロニクスのスマートフォンで、ディスプレイに18:9と縦長の有機ELディスプレイを採用しているのが特徴。カメラにF1.6のガラスレンズを使い、ポイントズームなどの機能を備えて動画の撮りやすさも向上している。

au HOME ディスプレイやカメラにこだわった、「isai V30+」

 もう1機種のAUOQS R compactは、シャープ製のコンパクトモデル。フリーフォームIGZOを使い、インカメラをディスプレイの中に食い込ませることで、三辺狭額縁を実現した。ディスプレイはハイスピードIGZOとなり、120Hz駆動でスクロールなどの動作が非常に滑らかに見えるのが特徴だ。AQUOS Kは前モデルと比べてバッテリーを増量、GRATINAは通話データをあとから録音できる「あとから録音」に対応する。

au HOME インカメラ部分が“切り欠き”になった特徴的な見た目の「AQUOS R compact」

 KDDIは、秋モデルとして、Xperia XZ1とGalaxy Note8、AQUOS senseの3機種を発表しており、冬モデルも合わせると、12月までに全5機種のAndroid搭載スマートフォンが発売されることになる。ここにiPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plusと、フィーチャーフォン2機種を加えた全10機種がラインアップとしてそろった格好だ。iPhoneのように通年で発売されるモデルもあるが、秋冬モデルとしては、十分なラインアップが出そろったといえるだろう。

 一方で、他キャリアと比べたときの独自性の薄さは、気になったポイントだ。isai V30+は、au独自ブランドのisaiを冠しているが、中身はほぼV30+そのまま。V30+はドコモも2018年1月以降の発売を予定しており、“auならでは”の特徴が少なくなってしまったのは残念だ。他のモデルを見ると、Xperia XZ1は3キャリアで、Galaxy Note8はドコモで、AQUOS R compactはソフトバンクで発売される予定で、AQUOS senseに至ってはドコモのほかにも、傘下のUQ mobileなども取り扱う。

au HOME ドコモ版「V30+」。isaiならではの部分はなくなり、グローバルモデルの1つになった

 もちろん、iPhoneも3キャリアに加えて、SIMロックフリー版をAppleから直接購入することが可能だ。秋冬に限ってみると、auでしか買えないスマートフォンは1つもない。au Design Projectやisai、Qua Phoneなど、auはオリジナリティーを重視してきた端末を開発してきただけに、数に反してやや寂しいラインアップに見えてしまった。端末1つでユーザーが他社から移ってくる時代ではないとはいえ、他社に同じものがあれば、それだけ流出もしやすくなる。既存ユーザーへの還元の意味でも、独自性にこだわってほしかったのが筆者の本音だ。

 こうした見方に対し、先の山本氏は、東京・丸の内で開催された「au Design Project」の展覧会に来場した人の、「こういうのが欲しかった」という声を挙げつつ、オリジナル端末のニーズが根強いことを明かす。auとしても、「ネームにせよ、ハードウェアにせよ、ソフトウェアにせよ、オリジナルモデルをやってみようという気概でチャンレジしていきたい」(同)というだけに、今後の取り組みには期待したい。au Design Projectで、ケータイのデザインをリードしてきたauには、それができるはずだ。

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