インタビュー
» 2018年05月02日 06時00分 公開

MVNOに聞く:100万契約突破、2018年の黒字化を目指す「mineo」 解決すべき課題は? (3/3)

[田中聡,ITmedia]
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+メッセージやフルMVNOへの取り組みは?

―― 5月には、SMSを拡張させた「+メッセージ」を3キャリアが提供します。MVNOにも解放するとのことですが、何か把握している情報はありますか。

上田氏 もともと興味はありました。サービスが開始したら、われわれにも卸していただけるのかという問い合わせはしていますが、まだ卸スキームにまで検討に至っていないのだと思います。サービスが開始して、仕様が出てきてから、MVNOにはこう卸すという検討が深まっていくのではないかと思います。

 メッセージサービスの手段が幾つかあって、その選択肢を示すことが大事なので、mineoにも導入したいと思っています。代替手段はあるかもしれませんが、MVNOだとLINEの年齢認証ができません。またキャリアのメッセージサービスだと迷惑メールフィルターもあります。

―― IIJが「フルMVNO」として新たなサービスを開始しました。MVNEとしてフルMVNOのスキームを解放することもあり、他社も参入できます。御社ははどうみていますか?

上田氏 フルMVNOになって広がる市場は2つあります。1つは法人向けIoTで、より回線をコントロールしやすくなって低料金になります。もう1つが海外に行く、海外から来る際の通信で、海外とのやりとりでSIMをフレキシブルに使えるのがメリットです。仮にmineoでフルMVNOサービスを始めるとして、2つの市場で存在感を発揮して回線数を伸ばしていけるかは見極めないといけません。今のところは、市場をきっちり取れるめどが立っていないので、勉強している状態が続いています。ただ、IIJさんの仕組みを使わせていただく可能性は排除しておらず、情報交換はしています。

―― 以前もうかがいましたが、ソフトバンク回線のサービスは提供しないのでしょうか。

上田氏 検討中です。ソフトバンク回線をつないで、さらにどれだけのお客さまに入っていただけるか。ドコモとソフトバンクの2017年度の接続料は、幸い18%下がりました。KDDIは11%減ぐらいです。接続料が下がるのは良い方向ですが、ソフトバンク回線に参入する意義がどれだけあるかは見極める必要があります。

―― FREETEL(の通信事業)が楽天に買収されるなど、MVNOに淘汰(とうた)の流れが来つつあります。例えば、ケイ・オプティコムが他のMVNOを買収するような展開もあるのでしょうか。

上田氏 欧州を見ていると、MVNOは一定層のシェアがないと生き残れないことが分かります。日本でもシェアが10%ぐらいはないと厳しいだろうと思っています。mineoは現在9.1%ですが、早く10%以上のシェアを確保して単独で生き残れるような存在になりたいと思っています。他社と提携する可能性は排除していません。いい話があったら……とは考えています。

―― MVNOでもある楽天が携帯キャリア参入に名乗りを上げましたが、ケイ・オプティコムにその可能性は……。

上田氏 正直、今から? というのはありますが、楽天があえて参入するのは商機があるからでしょう。ただ、弊社がそこに行こう(キャリア参入する)ということはないです。

2018年に黒字化する事業計画

―― 他社さんも含めて、黒字化が難しい業態ですが、そのあたりはいかがでしょう。

上田氏 黒字化はもう少し先になりますが、事業全体を長期スパンで見たときに、2018年に黒字化して、累損(累積損失)が解消するという計画があり、それをもとに、キャンペーンやテレビCMなどの施策を打っています。

―― 固定回線など、御社が提供している他のサービスとのシナジーを生かした展開もあり得るのでしょうか。

上田氏 今のところはやっていません。モバイルだけでなくて、加入いただいた、お客さんに対してモバイルではない、いろんなサービスを提供したいという思いはあります。mineoのファンになっていただいた方だったら、親和性があって受け入れらやすいものは何かという議論はしています。

―― (mineoのSIMを他ブランドで提供する)+SIMが「日経電子版+SIM」以降、音沙汰がありませんが、第2弾はあるのでしょうか?

上田氏 日経電子版+SIMは、加入者が計画ほど集まっていません。他の企業さんと組むやり方はいろいろあります。例えばコンテンツをmineoのオプションにするという方法や、われわれがMVNEになる方法もあります。日経電子版+SIMのように、相手先ブランドを前面に出す方法もあります。+SIMをやめたわけではなく、いろいろな組み方の手段の1つということです。

―― 店舗の状況はいかがでしょう。

上田氏 即日SIMのお渡しができるのは、2018年3月末時点で125店舗ありますが、積極的に増やしていこうとは考えていません。ただ、関西は他よりも弊社の認知度が高く、会社を知っているから店舗で契約してみようというユーザーも一定層いると思うので、関西では増やしていく予定です。

 オンラインとオフラインの比率は8:2ですが、mineoにしたいけど、Webで申し込むけどハードルが高いという人はいるので、店舗はコストとのバランスを見ながら考えていきたいですね。

―― ユーザーから「こうしてほしい」という声で特に大きいのは、どのあたりですか。

上田氏 一番大きいのは昼間の通信速度です。「全然気にならない」という人もたくさんいますが、声を挙げてくる人はそこが気になるということです。昼間に重い動画や画像をダウンロードするときに、遅さを実感すると。それ以外は、こんなに安く快適になるのなら、もっと早くmineoに行けばよかった、という声はよく聞きます。

取材を終えて:通信品質の問題をどう解決するか

 堅調に契約数を伸ばし、ファンからの支持も厚いmineo。キャンペーンで獲得したユーザーに短期間で離れられてしまったら、獲得コストが無駄になりかねないが、マイネ王を起点にユーザーからファンになってもらい、果ては事業者との一体感を醸成することが、解約抑止に貢献しているようだ。こうした地道な取り組みも、100万契約につながったといえる。

 一方で、混雑時の通信品質をいかに改善するかは、他社と同様、ケイ・オプティコムも頭を悩ませている状況が続いている。同社が検討している、昼の速度を落とす代わりに割り引くサービスを実現するなど、限られた帯域をいかに有効活用できるかが重要だ。帯域の増強を抑えれば、利益は上がるが満足度は下がるというジレンマをはらんでいる。コストとのバランスを見つつ、通信品質の満足度を高める施策にも期待したい。

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