―― 総務省が開催してきた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」では、サブブランドが優遇されているのでは、という点が議題に挙がりました。あらためて、MVNOの競争の在り方をどのように考えていますか?
上田氏 あるべき姿は、透明性が確保されて、公正な競争環境になることです。検討会で挙がった課題や論点は多いですが、それが具体論に落ちたときに、いつまでに誰が何をやるのかが、今後はもう少しブレークダウンされていくでしょう。それが実行されて、市場に良い方向に向かってきたときに、透明性の確保された公正な環境になっていくのかなとみています。
―― 検討会では御社から、サブブランドと同程度の通信速度を実現するために必要な接続料を試算したところ、1加入者当たりのデータ利用料が極めて高額になったという話も出ました。
上田氏 MVNOのコストで一番かかっているのが接続料で、CMの原価よりも大きい。そこが変化するだけで相当なお金が動きます。毎年の接続料がどれだけ下がるのかはもちろん、快適な通信速度を継続するために、最低限どれだけの帯域を確保しないといけないかは常に考えています。
―― 今、DプランとAプランで通信品質は、大体同じぐらいなのでしょうか。
上田氏 プランごとには同じぐらいで、借りている帯域は(ドコモとauで)別々ですが、設計上は一緒になっています。ユーザーさんの使い方も一緒ですね。
―― マイネ王で、現在の通信状況を公表しています。
上田氏 公表しつつ、月に1回、ネットワークに関するスタッフブログを上げています。お客さんからは、そこにたくさんご意見をいただいています。「ちゃんと増強しているとはいえ、最近遅くなっていませんか?」といったものです。一方的に公表するのではなく、ファンの方の実体験を踏まえた意見もいただけているかなと。
―― 「混雑時間帯に200kbps程度に速度制限する代わりに料金を割り引くサービスがあったら利用するか」というアンケートがユーザーに送られているという話を聞きました。実際にこうしたサービスを検討しているのでしょうか。
上田氏 検討しているのは事実です。最もたくさん通信される12〜13時台に通信が減ると、借りる帯域が少なく済んでトラフィックを有効活用できます。例えば昼休みがない人や、時間帯が違う人などにとっては、12〜13時台の速度が制限される代わりに割り引くサービスはあり得るのではと思います。
―― 専用帯域を設けて高速な通信が可能な「プレミアムコース」もあります。こちらの状況はいかがですか。
上田氏 プレミアムコースは、数カ月や半年に1回ユーザーを募集して、30人〜50人に抽選して提供していますが、現在は応募受付はしていません。
―― 端末については、「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」を発売しました。売れ行きはいかがでしたか?
上田氏 iPhoneは仕入れが数百台しかなかったのですが、注目度が高くて、その数百台がほぼ1日、最終的には2日でなくなりました。申し訳なかったなと。もうちょっと、一定台数を確保した状態でやるべきでした。
―― mineoユーザーは、iPhoneを使っている人が以前から多いですよね。
上田氏 はい、MVNOでiPhoneを使っているユーザーはmineoが一番多いというMMDの調査結果もあります。キャリアで買ったiPhoneをそのまま使ってmineoのSIMを挿しているけど、新しいiPhoneに買い換えたいときに、(mineoも)割賦で払えるからという理由で、親和性が高かったのでしょう。
―― CPO(整備済製品)ではなく新品だったのが意外でした。(PRODUCT)REDがあるのも珍しいですよね。
上田氏 調達先は代理店が幅広く検討してくれましたが、「新品が欲しい」と言ったわけではなく、たまたまです。安定して仕入れられるので、もともとはCPOを探していました。(PRODUCT)REDがあったのもたまたまです。
―― 他社はiPhone 6sやSEを扱っているところが多いですが、初めから7狙いだったのですか?
上田氏 いえ、そこもたまたまです(笑)。6sやSEも検討機種には入っていたのですが。市場の状況を見て、仕入れられるものは仕入れていきたいです。一定数がたまったらユーザーに告知して販売する、という流れになると思います。
―― au回線のMVNOでは一部を除き、iPhoneでテザリングが使えないという問題もあります。
上田氏 iPhoneのテザリングについては、めどはほぼついています。キャリア側のシステムを変える形ですが、あとは実際にいつできるかというだけです。
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